「雨漏りをした箇所の木材がかなり傷んで、耐久性が気になる…。」「雨漏りした家では、どんなトラブルが起こるの?」 雨漏りが起こっている家にお住まいの方は、このような点でお困りではないでしょうか。
実際に雨漏りが起こった家は、木材の腐敗や雨に濡れたことで起こる周辺症状など、雨漏りのあとの被害にも注意しなければなりません。特に雨濡れによる木材の腐敗は、天井が落ちることもあるくらいです!
では、雨漏りのあとに起こる被害、そして被害を最小限に抑える対処法にはどのようなものがあるのか。安全して暮らせる家を取り戻すために、それらのポイントについてご紹介していきます。
雨漏りを放置すると危険!雨漏りで起こる三大被害とは?
自宅で起こった雨漏りを放置したままにしていませんか?たとえわずかな雨漏りであったとしても、それを放っておくと、さまざまな危険に見舞われる可能性があります。
そんな雨漏りから起こる被害のうち、特に重症化しやすい3つの被害を中心にご紹介していきましょう。
①家の木材部分が腐る
雨漏りによって起こる被害で多いのが、家の建材として使われている木材が腐ってしまうことです。では、なぜ木材が腐るのでしょうか。その背景には、「木材腐朽菌」と「水」の存在があります。
まずは、木材腐朽菌について確認しましょう。
私たちのまわりにはカビなど、無数の菌類が存在しています。その菌類の中には有機物に付着し、それを分解して自らのエネルギーに変換するものも多いです。その簡単な例では、食べ物にカビが生えたり腐ったりするなどが代表的でしょう。
それら有機物を腐敗させる菌類の中でも、特に木材を好んで繁殖するのが、木材腐朽菌と呼ばれる種類です。
木材に木材腐朽菌が繁殖すると、その菌は木材を栄養素に変換しようとします。その過程で、菌は木材を分解する酵素を出し、その酵素に木材が触れ続けることで木材はだんだんと元の形状を失っていくのです。
つぎに、水と木材腐朽菌の関係性を説明します。
湿気が多いとカビが繁殖しやすくなるように、カビなどの菌類が活動を行うためには、一定の水分や湿度が必要です。木材腐朽菌も一般的な菌類と同じように、活動するためには水が欠かせません。したがって、水が付着した木材は、木材腐朽菌にとってこの上ない食べ物となります。
木材が雨で濡れる期間が長くなるほど、その雨の水分を補給して、木材腐朽菌の繁殖はスピードを増すことが考えられるでしょう。そのため、雨漏りを放置していると、木材部分が腐ってしまうのです。
なお、木材が腐ってしまったことで起こる事故や危険性については、以下の章で詳しく述べています。
②シロアリの被害にあう
雨漏りは、シロアリからの被害にあう原因にもなります。雨漏りとシロアリは一見すると関係がなさそうですが、じつは両者は意外な接点があるのです。
では、なぜシロアリの被害が雨漏りによって起こるのでしょうか。その理由は、雨で濡れた木材の水分を求めてシロアリがやってくるからです。
シロアリは乾燥に弱いという性質を持っている、湿った環境で生息することを好む生物です。そのため、雨漏りが起こって湿った家は、シロアリにとって住み心地の良い環境となります。
それに加えて、シロアリは木材を食べることを好むので、雨漏りで湿った木材はよりシロアリを呼び寄せる要素になると言えるでしょう。
シロアリが発生した家は、少しずつ木材を食べられていきます。この木材の侵食が進むと、家を支える柱や壁がスカスカになってしまい、耐震性や耐久性が低くなるので注意が必要です。
シロアリによる木材の侵食の威力は、家を倒壊させるほどとも言われています。ですので、シロアリの被害にあわないためにも、雨漏りへの対策は欠かせません。
③カビの発生で健康に害を及ぼす
雨漏りで濡れてしまった木材は、湿った場所を好むカビも生息しやすい環境です。そのため、雨漏りをしている部分にカビが繁殖してしまうことが考えられます。
もしもカビが家に発生してしまうと、健康被害が起こる可能性があるため、かなり危険です。以下に、カビが起こす代表的な健康被害の例をあげていきます。
肺や気管支の症状
カビが発生すると、その繁殖の過程で、胞子と呼ばれるカビの元となる細胞を空気中に大量に放出します。この胞子は小さいので、目に見えないことも多く、知らないうちに吸い込んでしまうことがあります。
もしもこの胞子を吸い込んでしまうと、それが肺や気管支から感染したりアレルギー反応を起こしたります。そして、それらの部位に不調をきたすのです。
主な症状としては、ひどい咳が続いてしまったり、肺炎や喘息を起こしたりすることがあげられます。これらがさらに重篤化すると呼吸困難にまで陥ることがあるため、かなり危険です。
結膜炎
カビの胞子が目に入ってしまうと、そこにアレルギー反応が起きて結膜炎を発症させることがあります。
結膜炎では、白目の部分が充血し、眼球やまぶたの部分に強いかゆみを感じるなど軽度な症状が中心です。ただし、結膜炎に加えて他の細菌が目に感染すると、視力障害を起こす可能性があります。
また、程度の重たい結膜炎にかかっていた場合、ドライアイを誘発してしまうかもしれません。
木材に繁殖したカビを放置した場合、1年中継続して胞子が飛び続けます。そのため、上記のような結膜炎の症状が頻繁に起こってしまうことが考えられるでしょう。
耳の病気
カビの胞子は耳や鼻に付着することによって、それぞれの部位で病気を発症させてしまいます。
耳の病気としては、外耳道真菌症と呼ばれる病気が代表的です。症状としては、強いかゆみを感じることに加えて、腫れなどが起こります。
外耳道真菌症は、何らかの原因で耳の中が傷つき、そこに真菌と呼ばれるカビが付着することで発症する病気です。
真菌は身近なカビなので、雨漏りで濡れた木材への繁殖は大いにあり得ます。
雨漏りによる木材へのカビの繁殖は、上記のような怖い病気や症状が引き起こす原因になることがあります。それに、これら以外にも、まだまだ細かなカビが原因となる病気・症状も存在しています。ですので、カビ対策の観点からも雨漏りの放置は危険です。
その他の被害
雨漏りによって起こる二次被害としては、先述した三大被害だけではなく、その他にもさまざまなものが存在しています。
鉄骨が錆びる
雨漏りは家の木造部分だけではなく、鉄骨部分にも被害をもたらします。それが、鉄骨の錆びです。
鉄骨は水に濡れると、その部分が酸化しやすくなります。そして酸化してしまうと、鉄の構造が不安定になってしまうので、だんだんと腐食してボロボロになるのです。
錆びてしまった鉄は、強度が格段に弱くなります。もしも腐食した鉄骨が家を中心的に支える柱であった場合、家を支えきれずに倒壊が起こることも考えられるでしょう。
鉄骨は一見すると頑丈そうですが、雨漏りによる錆びによって、いとも簡単にダメージを受けてしまうのです。
漏電
イオンなどが含まれた水分は電気を通す性質を持っており、雨水にもその性質があります。そのため、雨漏りをしてしまった家は、雨水で家電や電気設備が濡れて、漏電を起こすかもしれません。
漏電を起こすと、電気代が高額になってしまったり、漏電防止のためにブレーカーが落ちて家の中の電気が使えなくなったりします。さらに、漏れた電気に感電したり、コンセントプラグのホコリが雨水で濡れた上で漏電すると、トラッキング現象という発火現象も起こったりする危険性も知っておきましょう。
漏電は、人命に関わるほどの事故に発展するかもしれないため、見過ごさないようにすることが重要です。
家の資産価値が下がる
三大被害の項目でもご紹介したように、雨漏りをしている家は耐久性が下がるなど、さまざまな不具合が発生します。そのような不具合のある家は、雨漏りをしていない家に比べて、資産価値が下がる傾向があります。
資産価値が下がってしまうと、家を売却する際に高い値段で売ることができません。それに、雨漏りによる不具合が多いほど、買い手が値段を下げる交渉材料として使ってくることも予想できるでしょう。
たとえ築年数が浅かったとしても、雨漏りによる家の損傷によって大幅に資産価値が下がることもあります。家を売るときに、できるだけ高く買い取ってもらうには、雨漏りを放置せずに資産価値を高く保持しておくことが重要です。
雨漏りを放置すると天井が落ちる危険性大!
雨漏りをそのまま放置していると、天井が落ちてくるという、最悪の事態が起こることがあります。このような危険な状態にしないためには、雨漏りを見つけたら、すぐに対処をしなければなりません。
適切な対処をするためにも、なぜ雨漏りで天井が落ちる危険性があるのか、そして被害を最小限に止める方法を知っておきましょう。
雨漏りで天井が落ちる理由
なぜ雨漏りによって、天井が落ちるほどの被害がもたらされるのでしょうか。その理由について説明します。
天井が落ちる直接的な原因は、天井の木材が腐食することです。腐食してしまった木材は脆くなり、耐久性が下がるので、ちょっとした衝撃やダメージなどで破損します。
雨漏りによって天井が落ちるまでの流れとしては、以下のような経過を辿ることが多いです。
- 雨漏りによって木材が濡れる
- 濡れた木材に木材腐朽菌と呼ばれる、木を腐らせる細菌が繁殖する
- 木材の腐食がどんどん進む
- 天井が落ちる
天井の木材を腐らせる木材腐朽菌が繁殖するには、温度が20度から30度、湿度が85%以上であり、木材に含まれる水分が20%以上などの条件があります。雨漏りによって木材が濡れ、家の中の湿度も高くなってしまうと、上記の条件を満たしてしまうのです。
繁殖した木材腐朽菌は、木材の中にあるセルロースやリグニンといった有機物を食べて分解していきます。この分解によって起こるのが、腐食という現象です。
木材腐朽菌の活動は、その活動条件が整っている限り続きます。したがって、十分な対策を取らない限り、進行を止めることはできません。
腐敗によって木材は重量が減るため、それと同時に強度も低下してしまいます。そのため、わずかなダメージなどによって壊れることが推測できるでしょう。
雨漏りによる天井が落ちるという現象は、このような理由によって起こるのです。
被害の進行を止めるために取るべき対処法
雨漏りによって天井が落ちてくるのを防ぐには、雨で濡れた木材の腐食が進行しないように、適切に対処する必要があります。
木材が腐るのを止めるためには、木材腐朽菌が活動しにくい環境を作り出すことが重要です。
その環境づくりとして、まずは雨漏りを修理して、木材が濡れない状態にしましょう。さらに、天井の湿度が高いようであれば、定期的な空気の入れ替えができるようにし、湿度が低くなるようにします。
また、木材の腐食の進行を予防する上では、天井の定期点検を行ってもらうことも大切です。
木材の腐食の進行は、雨漏りが再発することで起こることが考えられます。そのため、天井が腐食していないか点検を行うと同時に、屋根などから雨漏りをしていないかという点も確認しましょう。
雨漏りの点検の頻度は、屋根に使われている素材によって変わってきます。瓦屋根であれば5年に1回、金属製の屋根材の場合は2年に1回程度の頻度で点検を行ってもらってください。
雨漏りと水漏れの違い
雨漏りに似た症状を起こすのが、水漏れです。そのため、雨漏りと水漏れは区別が付きづらいことがあります。
しかし、雨漏りは家屋の破損などによって雨が降り込んでくるのに対し、水漏れは屋内の給水設備の不具合によって起こるものであり、明確に原因や発生場所が違います。
このような雨漏りと水漏れを区別するために、どのような場所で雨漏りが起こりやすいのか確認していきましょう。
雨漏りをしやすい場所
雨漏りと水漏れは、その原因が雨かその他の水によるものかといった部分に違いがあります。しかし、私たちは雨漏りや水漏れの専門家ではないため、それらを見分けるのはかなり難しいです。
そこで、雨漏りと水漏れの違いを理解するために、雨漏りが起こりやすい場所を以下にまとめてみました。
屋根の破損部分
屋根に取り付けられた瓦や板金、その下に設置されている防水加工などが破損していると、その隙間から雨漏りが起こります。
このような屋根の破損は、暴風などによって起こるだけではなく、長年雨に濡れ続けて経年劣化するなどの理由でも起こるものです。
壁の亀裂
経年劣化や物理的な衝撃によって壁に亀裂が入ることがあります。雨漏りになるのは、この亀裂が家の内部まで達している場合です。
壁の亀裂は通常の壁にも起こりますが、サッシなどが取り付けられている場所、家屋を増築した部分などで起こりやすい傾向があります。
コーキング施工箇所
天窓や窓枠、壁の繋ぎ目などで隙間を塞ぐ際にコーキング処理を施すことで防水加工を行います。しかし、コーキングは時間が経過するにつれてボロボロになっていき、隙間ができるのが特徴です。そのため、コーキングの施工箇所は雨漏りを起こしやすいポイントにもなります。
また、施工から時間が経過していなくても、コーキングの施工に不備があった場合も雨漏りは発生するでしょう。
雨漏りのチェックポイント
つぎに、雨漏りが起こっていることを判断する上で、参考になるチェックポイントを室内・室外に分けてご紹介します。
【室内のチェックポイント】
- 天井や壁のシミやカビの汚れ
- 天井や壁のクロスが浮いている
- 家の中でカビの臭いがする
- 雨が降った日にポタポタと音がする
- シロアリ被害の痕跡がある
【室外のチェックポイント】
- 屋根の瓦がずれたり壊れたりしている
- 屋根の板金を固定する釘が錆びたり抜けたりしている
- 外壁にヒビが入っている
- コーキング部分の施工部分が朽ちてきている
上記のポイントを参考に、家で雨漏りの原因となるトラブルが起こっていないか、しっかりと確認してみてください。これらのチェックポイントに該当する場合、雨漏りをしている可能性は高いです。
実際に雨漏りをしてきたらどうする…?
雨漏りが実際に発生すれば、早急にその対処を行う必要があります。その対処については、自分自身で行える応急処置があるため、それを知っておき雨漏りが起こったときに実行しましょう。
代表的な応急処置の方法としては、以下のものがあげられます。
ブルーシートで屋根を覆う
雨漏りしている詳細な箇所がわからない場合、屋根の大部分をブルーシートで覆うことによって、雨漏りを防ぐことができます。
大きいブルーシートを屋根に敷き、それが風で飛ばないように土嚢で押さえつけるだけです。屋根の広範囲を覆うだけの作業なので、それほど複雑な手順を踏まなくても行える応急処置の方法になります。
防水テープで雨漏り箇所を塞ぐ
ホームセンターなどで、雨水を防ぐために使用する防水テープという製品が売られています。この応急処置は、防水テープを雨漏りをしている場所を塞ぐようにして貼り付け、雨水の侵入を防ぐという方法です。
防水テープは耐久性が高いものもあるため、一定期間であれば防水性を維持してくれるでしょう。
コーキング施工を行う
コーキングをしている箇所が朽ちていたり、壁にヒビが入っていたりして雨漏りが起こっている場合、その隙間を塞ぐためにコーキングを施工する方法です。
コーキング剤をコーキングガンにセットし、雨漏りをしている隙間に注入する形でコーキング処理をします。コーキング剤が乾けば作業は完了です。
コーキングの施工を正確に行うためには、施工技術が必要です。そのため、人によっては難しいと感じてしまかもしれません。
急遽発生した雨漏りへの対処としては、上記の方法を行うことで、一時的に雨漏り被害を避けることが可能です。状況に応じて、適した応急処置を行いましょう。
雨漏り修理業者に依頼する
先ほど雨漏りへの応急処置方法をご紹介しましたが、これらはあくまでもその場しのぎの対策であり、根本的に雨漏りが直ったわけではありません。確実に雨漏りを修理するのであれば、専門業者に依頼すると確実です。
専門業者の行う雨漏り修理は、「原因を明確に特定する」ことと「高い技術力で対応する」という点に特徴があります。
雨漏りを根本的に解決するためには、どこでどのように雨漏りが起こっているかを知ることが必要です。専門業者は、屋根材の破損や壁の不具合など、雨漏りの直接的な原因を調査して特定してくれます。
原因が特定できていれば、その原因への対処に1番合う修理方法を行えるので、修理作業の精度も高いです。
それに専門業者であれば、屋根の防水シートの再加工から瓦や板金などの修復、コーキングの打ち替えなど技術が必要な作業も行ってくれます。個人では対応できないような部分まで任せられるので、根本的に雨漏りを直したいならば専門業者への依頼は必須でしょう。
業者選びのポイント
雨漏りを修理してくれる専門業者は数多くあるため、どの業者に選べば良いのか迷うことも少なくありません。そのため、上手な業者選びができるように、注意するべきポイントもご紹介しましょう。
説明を丁寧にしてくれる
優良な業者かどうかを判断するポイントとして、説明の丁寧さはかなり重視するべきです。
どこで雨漏りをしており、それを修理するためにどのような方法を行うのかなど、具体的かつ分かりやすい言葉で説明をしてくれる業者であれば優良業者である可能性が高まります。
見積もり額が相場に見合った価格
良い業者であれば、修理にかかる費用についても相場に近い価格で設定していることが多いです。
費用の確認については、まず見積もりを依頼しましょう。複数の業者に相見積もりを行っておけば、見積額を見比べて費用の相場も確認できるのでおすすめです。
地域密着型で営業している
広範囲を対象としている業者よりも、特定の地域に密着した形で営業を行ってくれる業者ならば、臨機応変でタイムリーに動いてくれることがあります。そのため、地域密着型の業者さんを探して選ぶというのもポイントです。
近隣に住んでいる人の口コミや紹介で、良い地域密着型の業者を見つけられることもあります。近所の人に、情報提供をしてもらうのも良いでしょう。
まとめ
今回は雨漏りの後に起こってしまう被害や、それを起こさないための対処法についてまとめてみました。
雨漏りは放置していると、重大な事故や健康被害などの問題を起こす原因となります。そのため、放置はせずに適切な対処方法を知り、なるべく早めに解決するようにしましょう。
この記事のポイントとしておさえて欲しいのは以下3点です。
- 雨漏りを放置すると、家の木材が腐る、カビが生える、シロアリが繁殖するなどの二次被害が起こる。
- 木材が腐ると耐久性が下がるため、天井が落ちるなど家の損壊に発展することがある。
- 雨漏りは自分で応急処置をしつつ、根本的に直すために優良な専門業者に修理を依頼する。
これらのポイントを押さえて、正しく対処してくださいね!