アシナガバチの女王蜂と働き蜂の違いとは?女王蜂を見かけた時の対処法について

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蜂の影

「最近、自宅のまわりでアシナガバチを頻繁に見かける…。巣が作られてしまわないか不安!」「女王蜂しか居ない様子だけれど、働き蜂のような刺される危険はないの?」

アシナガバチは針で人を刺す可能性があるので、自宅の庭先や軒下など、身近な場所に急にアシナガバチが現れると不安ですよね。しかし、どう対策を行えば良いか分からず、とても困っているという方も多いのではないでしょうか。

アシナガバチからの被害を防ぐためには、アシナガバチの女王蜂の特徴を知った上で、巣作りを防いだり、既にある巣ごとアシナガバチを駆除したりする対策が必要です。

そこで今回は、アシナガバチの女王蜂と働き蜂の違いを比較しながら、被害に遭わないように女王蜂を見かけた時に取るべき適切な対処法をご紹介しましょう。

アシナガバチの女王蜂について

巣を作るアシナガバチの女王蜂

アシナガバチの女王蜂は、働き蜂と比べて体が大きいなどの見た目の部分や、初期の巣作りや繁殖など担う役割の面での違いがあるのが特徴です。これらの特徴を知れば、アシナガバチへの対策を行う上でのヒントを得ることができます。

それでは、以下により詳しく、アシナガバチの女王蜂の特徴について説明していきます。

見た目の特徴

アシナガバチの女王蜂は、働き蜂と比較すると見た目の部分で明確な違いがあります。以下の項目で、その違いについて詳しく見ていきましょう。

  • 体の大きさ

アシナガバチの女王蜂の特徴として、1番に挙げられるのが、体の大きさです。働き蜂の体の大きさに対して、女王蜂は明らかに一回りほど大きいので、よく観察すれば体の大きさだけで見分けがつきます。

  • 産卵管(お尻の針)

女王蜂と働き蜂の産卵管は、外見上はそれほど大きな違いはありません。

しかし、女王蜂の針は産卵が行いやすいように、産卵時に長く伸びるような造りになっています。

一方、働き蜂の産卵管は攻撃に適するよう、針の細かな部位に、広く栄養や神経系が配置されており、攻撃時の動作がスムーズに行える構造です。

女王蜂の翅は、働き蜂の翅と比較すると大きいという特徴があります。これは、女王蜂の方が体が大きいので、その体を飛行させるために翅も大きいものを有しているのです。

翅の構造については、後ろの翅にフック状のものがついており、それが前の翅に引っかかるような仕組みになっています。この仕組みにより、羽ばたく際に、前翅と後翅が連動します。

女王蜂が担う役割

アシナガバチの群において女王蜂が担っている役割は、初期の巣作りや産卵といった群を作る上での基盤的な部分です。

  • 冬を乗り越えて巣を作る

女王蜂は巣を作り始めるという役割を持っています。厳しい冬を乗り越えられるのは女王蜂だけなので、春になって再び活動をしていくために、女王蜂は1匹で巣作り開始するのです。

しかし、巣作りは最後まで女王蜂1匹で行うわけではなく、働き蜂の数が増えていくと女王蜂の代わりに働き蜂が巣作りを担うようになります。アシナガバチが1匹で小さい巣を作っている段階であれば、それが女王蜂である可能性が高いでしょう。

  • 新しい命を産む

女王蜂のもう1つの重要な役割が、産卵をすることです。オス蜂と交尾をした女王蜂は、働き蜂であるメス蜂や、次の年を生きる新しい女王蜂を産みます。

基本的に、産卵は女王蜂だけが行うものです。しかし、女王蜂が消えてしまった巣は例外的に働き蜂が産卵することがりあります。ただし、交尾をしていないためオスだけしか産むことができません。

もしも巣から女王蜂が居なくなると、働き蜂や次の女王蜂が生まれなくなります。そうなると、現存している働き蜂達が全て寿命を迎えた時点で、そのアシナガバチの群はなくなってしまいます。働き蜂の寿命は約1ヶ月なので、女王蜂が居なくなると、早ければ1ヶ月程度で群が途絶えると考えられます。

以上のように、女王蜂は巣を作り、新しい命を産み出すなど、アシナガバチの群における中核的な役割を持っています。そのため、女王蜂が居なくなると、アシナガバチの群は維持できなくなくなってしまうのです。

アシナガバチの女王蜂の一生

春夏秋冬

アシナガバチがどのようなサイクルで活動をするのか理解する上で、女王蜂がどのような一生を送っているのかを知るのはとても参考になります。ここでは、季節ごとに変わる、女王蜂の生活を確認していきましょう。

  • 冬眠から目覚め、栄養補給をし始める

女王蜂の活動の開始時期は、4月から5月の春頃です。寒さが引いて暖かくなったこの時期に、冬眠をしていた女王蜂が目覚めます。

目覚めた女王蜂がまず行うのは、花や木の蜜を摂取し、エネルギーを補給するという活動です。目覚めた直後は、厳しい冬を越えたため、冬眠前に蓄えたエネルギーは枯渇しています。そのため目覚めてすぐの段階では、十分な食事を摂って巣作りや産卵を行うための体力を確保するのです。

  • 場所を確認して巣作りを行う

栄養補給ができた女王蜂は、次に巣を作るのに適した場所を探し始めます。アシナガバチはどこにでも巣を作るわけではありません。営巣をする条件を満たしているかどうか、しっかり確認、吟味した上で巣を作ります。

この確認作業の際、目星をつけた場所を女王蜂が何度も飛び回るという傾向があります。そのため、女王蜂をよく見かける場所は、巣ができていなくても、その場所に巣を作られる可能性が高いと言えるでしょう。

巣作りに適した場所が見つかれば、そこにまず小さい巣を作ります。幼虫を育てるための部屋も、1室から3室程度と、とても少ないです。巣作りの初期は女王蜂1匹だけでその作業を行います。ですので、急激に巣が大きくなることはありません。

  • 働き蜂の卵を産み、育てる

小さい巣ができれば、群を拡大するために巣の中にある部屋へ働き蜂の卵を産みつけ、育成していきます。

この時期の女王蜂は、とても大変です。というのも、巣作りを行いながら産卵した卵や孵化した幼虫を守り、餌を幼虫に与えるといったさまざまな活動を1匹で行わなければなりません。そのため、初期に産卵した働き蜂が成虫になるまでの間は、女王蜂の試練の時期と言えるでしょう。

働き蜂が成長してくると、今まで女王蜂が行っていた巣作りや他の幼虫の世話を代わりに行うようになるため、徐々に女王蜂は産卵に専念できるようになります。

最初に産まれた働き蜂が成虫になるのは、おおよそ6月頃です。なので、女王蜂が産卵に専念して働き蜂の個体数が爆発的に増え出すのは、7月から8月頃です。その後、8月後半から9月くらいに、働き蜂の数が最も多くなります。

  • 次の年へ命を繋ぐ、新女王蜂とオス蜂の誕生

8月に入った頃に、次の年の女王蜂になる新女王蜂の卵が産まれます。そしてそれと同時に、オス蜂の卵も産まれ、育てられます。

この時期は新女王蜂とオス蜂を確実に守るため、アシナガバチの群全体が緊張状態になるのが特徴です。この緊張状態により、攻撃性も高くなります。人間が下手に近づいて、襲われてしまう可能性の高い時期です。

  • 新女王蜂の生殖行為と冬眠、そして群の解散

9月から10月の秋頃になると新女王蜂とオス蜂は成長し、次に命を繋ぐための生殖行為を行います。この生殖行為によって、新女王蜂は次の年に生まれる働き蜂や女王蜂といった新しい命を宿すことができるのです。

そして交尾が終わって受精することができた新女王蜂は、安全に冬を越せる場所を求めて飛び立ちます。冬を越す場所としては、木にできた空洞の中や、石と石などの隙間などが多いです。また、時として人間の住居で越冬をするケースもあります。

冬眠に入った新女王蜂は、ひっそりと冬を過ごし、次の活動の季節を待つのです。これが、アシナガバチの女王蜂の一生となります。

近くで女王蜂を見つけたら…巣があるか確認する

虫眼鏡を覗く女性

アシナガバチへの対処は、巣が既に作られているか否かによって変わってきます。ですので、もしも自宅や生活圏の近くで女王蜂を見つけた時は、その付近に巣ができているかどうか、しっかり確認しましょう。この確認は、その後の対策を判断する上での重要な情報になります。

具体的な確認方法について、以下に解説していきます。

時期を確認する

巣が作られているかどうかを判断するなら、まずは女王蜂を見かけた時期を確認してください。

女王蜂の一生でも触れましたが、アシナガバチが巣を作り始めるのは4月から5月の春頃です。この時期に女王蜂を見かけたならば、巣を作ろうとしている、又は既に巣が作られている可能性が高いでしょう。

巣が作られやすい場所を確認する

女王蜂を見かけたのが、女王蜂が巣作りをする春先だったら、次に、巣が作られやすい場所を確認してください。一例ではありますが、巣が作られやすいのは以下のような場所です。

  • 木の枝や空洞の中
  • 軒下
  • 戸袋の中や下
  • 天井の中
  • 植え込みの隙間

この他にも、蜂が巣を作りやすく、雨風をしのげて安全そうな場所であれば、巣が作られている可能性はあります。そのため、上記のポイントを参考にしつつ、付近に巣が作られていないか広く確認をしましょう。

ここからは、まだ巣が作られていない場合の予防策と、既に巣が作られていた場合の対処法をご紹介します。

巣を作られないための予防策

殺虫スプレーの噴射

アシナガバチの巣作りは、女王蜂の駆除や、巣作りを防ぐ効果のあるスプレーで、予防することが可能です。女王蜂を付近で見かけるものの、まだ巣は作られていない状態であれば、巣を作られてしまう前にこれらの予防策を取りましょう。

  • 女王蜂を駆除する

巣作り前に女王蜂を駆除できれば、巣が作られることや働き蜂の誕生を防ぐことができます。そのため、女王蜂の直接的な駆除は、かなり効果の高い対策になるでしょう。

駆除の方法としては、蜂を誘引させる効果がある捕獲器や蜂駆除スプレーの使用が効果的です。

女王蜂の姿が確認できるようであれば駆除スプレーで退治、スプレーでの直接的な駆除が難しい場合は捕獲器を使用するなど、状況に合わせて適切な方法を用いてください。

  • 巣作り防止スプレーを使用する

蜂の巣が作られそうな場所にあらかじめスプレーをしておくだけで、巣作りを防ぐことができるスプレーがあります。女王蜂を見かけても、このスプレーを巣が作られやすい場所に定期的に吹き付けておけば、巣が作られないので安心です。

このスプレーは、女王蜂を見かけた時だけではなく、毎年同じ場所に蜂の巣ができるような場合でも、あらかじめ使用しておくことで巣作りを防止できます。

既に巣が作られていたらどうする?

女王蜂の姿を見かけてその周辺を確認したら、もう既にアシナガバチの巣ができてしまっていることも少なくありません。この巣を駆除をするならば、その作業を自分で行うか、専門業者に依頼するか選択する必要があります。

選択肢
  • 自力で駆除をする方法

アシナガバチの駆除を自力で行う場合、自分の身を守るための防護服や、蜂の巣を攻撃するための蜂駆除スプレーなどを用意します。そして、蜂の巣に駆除スプレーを噴射してアシナガバチを撃退し、巣を当日か翌日中に撤去するという流れになります。

自力での駆除作業は蜂に襲われる危険性や、駆除技術が必要になる部分もあるため、十分注意して行ってください。

  • 業者に依頼する方法

専門業者にアシナガバチの駆除を依頼すれば、早急に駆除作業をしてもらえる、安全に駆除ができるなどのメリットがあります。また、駆除作業後もアフターフォローがついているので、アシナガバチが再発生した時も安心です。このようなメリットから、自分で駆除をする自信のない方や、駆除に手間をかけたくない方、再発を防ぎたい方は業者に作業を依頼すると良いでしょう。

さて、その専門業者に依頼する駆除作業についてですが、基本的に以下のような流れで行われます。

  1. 業者へ電話連絡
  2. 作業員が駆けつけ、現場の確認と見積もりを行う
  3. 駆除作業開始
  4. 駆除作業完了の確認

まずは専門業者へ連絡し、アシナガバチの巣の駆除をして欲しいということを伝えます。作業員が到着するまでのアシナガバチへの対処などの相談があれば、この段階で訊いておくのも良いでしょう。

電話連絡の後、業者の作業員が駆けつけてくれます。その時の状況にもよりますが、早ければ30分ほどで駆けつけてくれるので、とてもスピーディーです。そして、作業員が駆除をする蜂の巣の状況確認をし、作業費用の見積もりをしてくれます。駆除作業に入る前に見積もりをしてくれるので、料金面でも納得した上で駆除を行ってもらえるのも安心できるポイントでしょう。

見積もりに同意すれば、作業員の方が駆除作業に取り掛かります。依頼した人は待機するだけで、危険な思いをすることはありません。

最後に行うのが、駆除作業が完了したことの確認です。アシナガバチの巣ができていた部分や、撤去した巣などを、作業員の方と一緒に確認します。問題なく駆除作業ができていれば終了です。

専門業者への依頼と駆除作業は、以上の流れで行われます。この流れを知っておけば、よりスムーズに専門業者へ依頼を行えるので、参考にしてみてください。

まとめ

アシナガバチの女王蜂は、初期の巣作りや生殖など、越冬して次の年に新しい群を作る役割を持っており、働き蜂と比較して大きな違いがある特別な存在です。そのため、女王蜂を見かけた場合、その周辺に女王蜂を中心としたアシナガバチの群が繁殖する可能性が高いと考えられます。

もしもアシナガバチの女王蜂を見かけたら、なるべく早く巣の予防や撤去などの対処をするようにしましょう。

この記事のポイントとしておさえてほしいのは、以下の3点です。

  • アシナガバチの群において、女王蜂は冬を越し、初期の巣作りや繁殖を担う中核的な役割を持っている。
  • 女王蜂は体が大きいため、働き蜂と比較して見た目で判断することができる。
  • 女王蜂を見かけたら、巣を作られそうだったり、既に巣ができていたりするため、予防や駆除を行う必要がある。

ポイントをおさえて、確実なアシナガバチへの対処を行うようにしてくださいね。