アシナガバチの種類や特徴、巣の見分け方について

PR

アシナガバチ

あたたかくなってくると、家の軒下や庭木などにいつの間にか小さなハチの巣がつくられていて、びっくりすることがありませんか?もし、その巣がシャワーヘッドのような形をしていて、六角形の巣穴がきれいに並んでいれば、それはアシナガバチの巣です。

アシナガバチは、わたしたちの生活圏内に入ってきて巣をつくります。しかし、その巣は分かりにくい場所につくられることが多いため、巣があることに気づかず近づいてしまい、刺されることがあります。アシナガバチは、小さくても強い毒性をもっているので、やはり刺されないよう注意が必要です。では、アシナガバチの巣を発見したときは、何に気をつければよいのでしょうか?

この記事では、アシナガバチの種類巣の特徴刺されないための予防策万一刺されてしまったときの応急処置方法などをまとめてご紹介します。

アシナガバチの種類

アシナガバチと巣

ひと口にアシナガバチといっても、種類が細かく分かれていることをご存じですか? 現在、日本には以下のように3属11種類のアシナガバチが生息しています。

アシナガバチ属

  • セグロアシナガバチ
  • フタモンアシナガバチ
  • トガリフタモンアシナガバチ
  • キアシナガバチ
  • コアシナガバチ
  • キボシアシナガバチ
  • ヤマトアシナガバチ

チビアシナガバチ属

  • ナンヨウチビアシナガバチ
  • オキナワチビアシナガバチ

ホソアシナガバチ属

  • ヒメホソアシナガバチ
  • ムホンホソアシナガバチ

日本で見られる代表的な種類

アシナガバチにもたくさんの種類があることが分かりました。しかし、わたしたちの身の周りに生息しているアシナガバチは、この中の数種類に限られます。中でも人が被害に遭うことが多いのは、主にセグロアシナガバチフタモンアシナガバチキアシナガバチコアシナガバチの4種類です。それぞれのアシナガバチの特徴を見てみましょう。

セグロアシナガバチ

体長 21~26mm
外見の特徴 背中が黒く、黄褐色の斑紋がある。
生息場所 北海道以外の全国に分布。市街地でもよく見られる。
巣の特徴 最大直径15cm程度。最盛期の巣の形は円盤状。
その他の特徴 日本で最も多くみられる種。人家周辺に巣をつくることが多い。毒性が強く、刺されるとアナフィラキシーショックを起こすこともある

フタモンアシナガバチ

体長 14~18mm
外見の特徴 腹部に黄色い斑紋が2つある。
生息場所 全国に分布。市街地、または周りに草地や畑のある人家周辺で見られる。
巣の特徴 植物の茎や垂直な壁面に、横向きに巣をつくることがある。大きさは最大10cm前後。
その他の特徴 寒さに強い。晩秋でもあたたかい日は干している布団や洗濯物にとまっていることがあり、気づかず刺激すると刺されることがある。

キアシナガバチ

体長 21~26mm
外見の特徴 体全体が黄色っぽい。
生息場所 全国に分布。周辺に雑木林や緑地が多い郊外で見られる。
巣の特徴 釣鐘上の均整のとれた巣をつくる。
その他の特徴 攻撃性が強い。また、刺されたときの痛みがアシナガバチの中で最も強い

コアシナガバチ

体長 11~17mm
外見の特徴 全体的に茶色っぽいが、飛んでいるときは黒っぽく見える
生息場所 全国に分布。人家より林や草むらに多く生息する。
巣の特徴 ハスの実のように反り返った形の大きな巣をつくる。
その他の特徴 庭木の手入れなどをしているときに、気づかず巣に近づいてしまい、刺されるケースが多い。

アシナガバチに刺されると危険!刺されないための予防策

チェックリスト

アシナガバチは、種類によっては強い毒性をもっていたり、刺されると激痛に襲われたりすることが分かりました。アシナガバチの性格は大人しく、基本的にはこちらが何もしなければ、攻撃をしてくることはないと言われています。しかし、物陰につくられた小さな巣に気づかずに巣を刺激してしまうと、集団で襲ってくることもあります。では、刺されないためにはどのような予防策をとればよいのでしょうか?この項では、ハチの被害から身を守る方法をいくつかご紹介します。

巣をつくらせない

アシナガバチに遭遇する危険を減らすには、まずは自宅やその周辺に巣をつくられないようにすることが大事です。アシナガバチは、毎年同じ場所に巣をつくることがあります。それは、その場所がハチの好む環境だからです。巣がつくられそうな場所が分かっているなら、春先に、その場所に殺虫剤をまいたり、忌避剤(きひざい)を置いたりすることで、巣づくりを阻止できます。

アシナガバチの巣を見つけたら

アシナガバチは巣に対する防御本能がとても強いため、巣に人が近づいただけで襲ってくる場合もあります。巣を見つけたら、不用意に近づかないようにしましょう。また、小さいお子さんの手の届く場所や、頻繁に通る場所に巣がある場合は、駆除することも必要です。公園や街路樹などの公共の場所のハチの巣の駆除は、役場に依頼することができます。しかし、私有地にできたハチの巣は、所有者が処置しなければなりません。もし、自宅の敷地内に巣をつくられてしまったら、専門の業者に相談しましょう。

飛んでいるアシナガバチに遭遇したら

もしも、飛んでいるハチに遭遇したら、慌てないで静かにその場を離れましょう。大きな声を出したり、手でハチを振り払おうとしたり、急に走り出したりすると、襲われることがあります。刺されないためには、ハチを興奮させないことが大事です。

布団や洗濯物を取り込む際は注意する

外に干した洗濯物や布団に、ハチがとまっていることもあります。気づかず家の中に取り込んでしまい、被害に遭うケースが意外と多いです。洗濯物や布団は、ハチがとまっていないか、裏表をよく確認してから取り込みましょう。また、ハチはフローラル系の柔軟剤の香りを好んで、洗濯物に寄ってくると言われています。心配な場合は、柔軟剤を別の香りのものに変えることも考えましょう。

服装や汗の臭いに注意

ハチは、天敵である熊を連想させる黒いものを見ると攻撃してくる性質があります。ガーデニングや山歩きなど、屋外のハチがいそうな場所で活動するときは、黒っぽい服装は避けましょう。アシナガバチの攻撃性が最も高くなる夏は、特に注意が必要です。また、ハチは人の汗の臭いにも寄ってくると言われています。制汗剤などを利用して、ハチが寄ってくるのを防ぎましょう。

アシナガバチの嫌いな臭いを利用する

木酢液(もくさくえき)を水で薄めたものを、ベランダや家の周りに置いておくと、ハチが寄ってくるのを防ぐことができます。木酢液とは、木材から炭を作る際に出る煙を冷却した、煙の臭いのする液体です。ハチは山火事を連想させる煙の臭いを苦手としているため、木酢液はハチ除けに抜群の効果があります。

刺されたときの応急処置方法

蜂に刺された腕

アシナガバチが活発に活動している夏~秋にかけては、注意していても思わぬ場所で刺されてしまうことがあります。刺されると、とにかく痛く慌ててしまいがちですが、刺された後はいったいどのような処置をすればよいのでしょうか?ここでは、症状が軽いときの、自分でできる応急処置についてご紹介します。

アシナガバチに刺されたときの症状

ハチに刺されると、刺された場所だけに局所症状が現れる場合と、それ以外にも全身症状が現れる場合があります。

  • 局所症状・・・刺された箇所の痛み、腫れ、痒みなど
  • 全身症状・・・吐き気・動悸・じんましんなど

全身症状が更に重度になると、呼吸困難・意識低下・血圧降下などの症状が現れ、アナフィラキシーショックを起こす人もいます。

自分で応急処置できるのは局所症状のみです。全身症状が現れた場合は、病院へ行ってください。また、アナフィラキシーショックが疑われる場合は、命にかかわりますので、救急車を呼びましょう。

では次に、刺された後にどんな処置をとればよいか、具体的に見ていきましょう。

ハチに刺されたときの応急処置

局所症状のみのときは、できるだけ早く手当てすることで、症状の悪化を防ぐことができます。次の3ステップを参考に、すみやかな処置をとってください。

  1. 傷口を洗い流す
  2. 薬を塗る
  3. 冷やす

傷口を洗い流す

ハチに刺されると、刺したハチがフェロモンをまき散らし、他のハチを呼ぶことがあります。別のハチに更に刺されてしまわないよう、まずはその場をすぐに離れましょう。そして、刺されたところに流水をあてながら、毒を絞り出すようによくすすぎます。ハチの毒は水に溶けやすいので、大量の水で洗い流すのが効果的です。一方、唾液にも溶けやすいので、絶対に口で吸ってはいけません。

薬を塗る

刺された箇所に、抗ヒスタミン剤を含む、ステロイド系軟膏(市販の虫さされの薬)を塗ります。一般的な虫刺されの薬には、痒みと、痒みの元となる炎症を抑える働きがあります。薬を塗っておかないと、かきむしってしまうなど、その後の経過がよくありません。

冷やす

刺された箇所を、濡れタオルや氷、保冷剤等で冷やし、安静に過ごしましょう。冷やすことで、皮膚の感覚が麻痺し、痛みや痒みを和らげる効果があります。また、血管も冷やされて収縮するため、毒の体内への移行を抑える効果も期待できます。

ここでご紹介したのは、局所症状のみが現れたときの応急処置方法です。しばらくしても、腫れ・痛み・痒みが治まらない場合は、皮膚科を受診しましょう。また、それ以外の、じんましん・吐き気・頭痛などの症状がある場合は、アレルギー科の受診をおすすめします。

まとめ

今回は、アシナガバチの種類別の特徴や、刺されないための予防策、刺されたときの応急処置方法についてご紹介しました。

最後にもう1度ポイントをまとめておきましょう。

アシナガバチの特徴

  • 人が被害に遭いやすいのは、セグロアシナガバチ・フタモンアシナガバチ・キアシナガバチ・コアシナガバチの4種類
  • 種類によっては、猛毒をもっていたり、刺されると激痛に襲われたりすることがある

アシナガバチに刺されないためには

  • 家の周りに巣をつくらせない、巣に近づいてハチを怒らせない
  • 飛んでいるアシナガバチの近くでは、大声を出したり、手を振り回したりして、ハチを興奮させない
  • 洗濯物や布団を取り込む際は、ハチがとまっていないか注意する
  • 夏に屋外で活動するときは、ハチを刺激する黒っぽいものを身に着けない
  • ハチの嫌がる木酢液を家の周りに置いておく

アシナガバチに刺されたら

  • 「洗う・薬を塗る・冷やす」の応急処置をし、それでも治まらないときは病院へ行く

ここでお伝えしたようなアシナガバチの生態や危険性をよく理解し、くれぐれも刺されないように気をつけてください。それでも、もし刺されたら、適切な応急処置をとって重症化させないようにしましょう。