給湯器のお湯を使用すると、コーヒーを淹れたりカップ麺をつくったりするのが手軽にできていいですよね。
でも「給湯器のお湯は飲まないほうがよい」「やかんで一度沸かさないと気持ち悪い」「最初に出てくるお湯は不衛生」と思っている方もいらっしゃいます。
この記事では「給湯器のお湯ってそのまま飲んでもいいの…!?」「煮沸すれば飲んでも大丈夫?」という疑問をもっている方に、給湯器のお湯が安心して飲めるようになる方法をお伝えします。
目次
給湯器のお湯、飲んでも大丈夫?
「給湯器のお湯は飲まないほうがよい」という説はほんとうなのでしょうか。この項では給湯器のお湯がそのまま使えるかどうかについて検証していきます。
給湯器の種類
『給湯器』とひと口に言っても、実はさまざまな種類のものがあります。
まず熱源としては、以下の3つがあります。
- 電気
- ガス
- 石油(灯油)
そしてそれらを給湯方法で大別すると、以下の2つになります。
- 直圧式(瞬間式)
『直圧式』は給湯栓を開くと同時に加熱しながら給湯します。
- 貯湯式
『貯湯式』はタンクに必要な量の水を貯めてから時間をかけて加熱する方式です。
飲めるかどうか疑問視されているのは、貯湯式の給水器のお湯のほうです。給水器内のタンクに貯まったお湯はいったいどのように取り扱えばよいのでしょうか。
主要メーカーの見解
給湯器の主要メーカーは貯湯式の給湯器について、『長い時間、本体の内部に貯まっていた水は、雑用水として使用すること』という見解を公式に発表しています。
貯まったお湯は捨ててから使いましょう
メーカーの公式見解からもわかるように、給湯器内に長時間留まっていた水は、飲用しないほうがよいようです。
それでもどうしても給湯器のお湯を飲みたい場合は、次のことを実行しましょう。
- 給湯器内のタンクの水が入れ替わるまで排水する
- 一度の入れ替えで最大200リットルの排水を行う
200リットルというと、一般家庭用のお風呂に貯める水の量と同程度です。こんなに大量に水を捨ててはもったいない気がしますよね。
でもそこまでしないといけないのは、タンク内に長時間貯まっていた水には銅や亜鉛が溶け出しているからなんです。その水をそのまま飲むとどんな問題があるのか、次の項で見ていきましょう。
タンクに貯まっていたお湯を飲んだらどうなるの?
タンクに貯まった水には銅や亜鉛が溶け出しています。これを飲用すると、次のような害が発生することがあります。
味への影響
亜鉛・銅などが溶け出した水には、苦味や渋味、エグ味がつくことがあります。朝いちばんに歯磨きをしたときに「水の味が変だな」と感じることがあれば、亜鉛や銅が影響しているかもしれません。
健康被害
亜鉛や銅は健康のために必要な成分ではありますが、摂取しすぎると、吐き気・嘔吐・食欲不振・胃痙攣・下痢・頭痛などの症状があらわれる恐れがあるので注意が必要です。また、長期にわたり過剰に摂取すると免疫の低下にもつながります。
ペットへの害
銅の慢性的な過剰摂取は多くの動物に肝硬変や発育不全、黄疸などの被害をもたらします。また、猫は亜鉛を過剰に摂ると、ほかの栄養素の不足を引き起こしてしまうことがあります。
どんな給湯器なら、そのままお湯が飲めるの?
ここまででお伝えしたのは貯湯式の給湯器を使用する際の注意点です。 でも直圧式給湯器のお湯ならそのまますぐに飲用できます。
直圧式の給湯器には、床に据え置くタイプのものと壁掛けタイプのものがあります。一般的な家庭用としては省スペースの壁掛けタイプが多く普及しています。このタイプの給湯器が、壁掛けにできるほどコンパクトな作りになっているのは、貯水タンクをもっていないからです。
直圧式は、蛇口をひねってから、水が装置を通って出てくるまでの間に加熱し、瞬時にお湯にする仕組みになっています。だから常に新しく清潔なお湯を使用することができ、そのまま飲用しても安全なのです。
あなたのお家はどっちのタイプ?給湯器を見分ける3つのポイント
貯湯式と直圧式の仕組みの違いがおわかりいただけたと思います。それがわかると今使っている自宅の給湯器がどちらのタイプか気になりますよね。
直圧式の給湯器には、つぎの3つのような特徴があります。
- 壁掛け式などコンパクトである
ご自宅の給湯器が壁掛け式になっていれば、直圧式と思ってほぼ間違いありません。(※壁掛けタイプの商品の中には稀に貯湯式のものもあります。)また直圧式には床置きタイプのものもあります。床置きのタイプも壁掛け式と同様に、貯湯タンクの有無でどちらの方式か判断できます。
- 温度調整が1度ごとにできる
直圧式の給湯器は1度ごとの細かい温度設定が可能です。また水の流量が変わっても一定の温度を保ち続けることができます。
- 水を流したときにだけ燃焼音がする
直圧式はお湯を出すときだけ加熱します。だから水道を使用していないときは燃焼音がしません。それに対して貯湯式はタンクに貯めたお湯を一定の温度に保つために、定期的にお湯を沸かし直しています。そのため給湯していないときにも燃焼音がします。
ご自宅の給湯器はどちらのタイプでしたか?
排水しないと飲めないのはコレ!
もしご家庭が次のような環境であれば、最初に出る水を排水してから飲用しましょう。
- エコキュートを使用している
- 井戸水や地下水を使用している
エコキュートはどのメーカーの商品も貯湯式になっています。またメーカーによっては、最初に出る水を排水した後、更に煮沸してから飲用するよう推奨しています。参考:三菱電機公式HP よくあるご質問 FAQ
メーカーからの指示をきちんと守れば、エコキュートのお湯は安心して飲用できそうですね。
また、現行の給湯器で井戸水や地下水に対応しているのは貯湯式だけです。ご家庭に井戸水を引いている場合は、貯湯式の給湯器を使用しているはずです。やはり最初の水は排水してから、飲用に使いましょう。
排水・煮沸しても飲めないことがある!?
たとえ十分に排水や煮沸をしても、貯湯式のお湯の中には飲用に適さないものがあります。以下のようなサインが出ているお湯は飲めません。
- お湯が白く濁っていて、時間がたっても透明にならない
- 使い始めに赤水が出る
これは次のようなことが原因です。
お湯が白く濁っている場合
水道から出したお湯が、白く濁っているのを目にすることがあると思います。 お湯が白く濁っていて気になるときは、そのお湯を透明のグラスに入れて、しばらく様子を見てみましょう。
- しばらく経って、お湯が透明に変わる場合【飲める】
この場合は、水の中に空気が溶け込んでいるだけなので、飲むことができます。
- しばらく経っても白く濁ったままの場合【飲めない】
一方、しばらく置いても白く濁ったままの場合は、水の中に亜鉛が溶け出している可能性が高いので、飲むのは避けましょう。
このようなときは、給湯器のタンクやパーツの老朽化が原因で、水中に亜鉛が溶け出している可能性が考えられます。亜鉛が溶け出した水を試しに煮沸してみると、更に白く濁り、表面に油膜が発生します。
以上のように白く濁ったお湯は、時間が経つと透明になるかどうかで飲用できるかが判断できます。
使い始めに赤水が出る場合
赤水が出るようになったら、貯湯タンクの内部がサビついている可能性が高くなります。赤水は飲用に適さないだけでなく、使用しつづけると洗面所や浴槽にサビの色が付いてしまうこともあるのです。
このように白く濁った水の色が戻らない、赤水が出るなどの症状が出てきたら、給湯器の交換が必要です。
いつでもすぐに綺麗なお湯を使いたい!!
「お湯を使う度に排水したり、煮沸したりするのは面倒」という方は、直圧式給湯器への交換を検討されることをおすすめします。業者へ交換を依頼する際には必ず「直圧式で」と伝えましょう。
また、現在は残念ながら井戸水対応の直圧式給湯器が販売されていません。井戸水や地下水を利用されている場合は、可能であれば水道水への切り替えをしてから直圧式給湯器を設置しましょう。
こんなにたくさん!直圧式給湯器のメリット
直圧式給湯器を使用すると、いつでも清潔なお湯が出ます。更に、それ以外にも次のようなメリットがあります。
- 設置場所をとらない
貯湯タンクを必要としない直圧式は、給湯器自体がコンパクトなので設置場所に困りません。
- 省エネ効果がある
最初に出る水を排水しなくてすむので節水になります。また、お湯が必要な時だけ加熱するので、常に保温状態にしておく貯湯式に比べ、電力がかかりません。
- すぐにお湯が出る
貯湯式の給湯器を使用すると、最初は冷たい水が出てしばらく経つとお湯に変わります。直圧式はすぐにお湯が出るので、待つストレスがありません。
- 湯切れの心配がない
貯湯式だと、普段より多くお湯を使用した日はタンクが空になり湯切れしてしまうことがあります。直圧式は使いたいときに加熱するのでその心配がありません。
- 水圧が高い
直圧式は水道の圧力をそのまま利用するため、強い水圧で使用できます。お風呂を沸かすのにも時間がかかりません。
まとめ
貯湯式と直圧式の給湯器の違いについて、理解していただけましたでしょうか。
この記事のポイントは以下の4点です。
- 給湯器には、貯湯式と直圧式がある
- 貯湯式の場合は、最初に出るお湯を排水し、その後に出るお湯を更に煮沸すれば飲用や料理に使える
- 白く濁ったお湯の色が戻らなかったり、赤水が出るのは給湯器交換のサインである
- いつでもすぐに綺麗なお湯を使いたい場合は、直圧式給湯器に交換する
みなさんの給湯器のタイプがわかり、お湯をいつでも安心して飲めるようになることを願っています!