ハチは黒い色の服を狙うって本当?リュックや帽子は?対策はある?

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黒い衣類と小物

ハチに襲われやすい条件の一つは黒い服を着ていることだ、という情報を見聞きしたことはないでしょうか。そのような情報を目にすると、

「本当に、ハチは黒い色の服を着ていると襲ってくるの?他に身につけるものも、黒色だと襲われる?」 「ハチに狙われにくい服の色や、黒い服を着ててもハチからの被害を防ぐ対策はある?」

などの疑問が浮かんできますよね。

黒い色の服をハチが狙うというのは本当か、その疑問を解決するためには、ハチが人を襲う理由や特性を知る必要があります。そしてその特性を押さえることができれば、特性を利用してハチから身を守る対策が可能です。

それでは、なぜハチは人を狙うのか、その時に黒い服は本当に関係があるのか、そして知っておくべきハチ対策方法についてご紹介しましょう。

「ハチは黒い服を狙う」は正しい?

正誤を悩む女性

ハチが黒い服を狙ってくるというのは、全てが正しい情報ではないと言えます。それは、黒い服だけがハチに狙われ、被害に遭う色ではないからです。

また、「黒はハチを刺激する色だから、黒い服を着ていると狙われる」という認識をされている方もおられるかもしれません。しかし実際のところは、黒がハチを刺激するのではありません。ハチの目の見え方や攻撃の特性上、黒などの濃い色がハチ狙われやすい、ということが真実です。

ここからは、ハチと黒い服の関係について、そしてハチの攻撃の特性や、なぜ人を刺そうとするのかについて、解説していきます。

「ハチは黒い服を狙う」は、半分正しい。

服が黒いことだけが、ハチに狙われる理由であるとは言えません。しかし、ハチが黒などの濃い色を認識しやすいのは、事実です。そのため、ハチは黒い服を狙うという情報は、半分正しく、半分は間違いと言えるでしょう。

それでは、以下により詳しく、ハチと黒い服の関係についての情報をお伝えしていきたいと思います。

【黒い色だから攻撃対象と認識されるのではない】

ハチは黒いもの全てを敵として認識して、攻撃を仕掛けるわけではありません。ハチに狙われてしまうのは、あくまでハチに敵であると認識されてしまった時です。

逆に、ハチは攻撃対象と認識すると、服の色は関係なく襲ってきます。したがって、白い服を着ていても襲われてしまいます。ですので、服の色と襲われやすさに、絶対的な関係はありません。

【日中、ハチは色の濃い部分を狙って攻撃する】

日中、ハチがある動物を攻撃対象として認識すると、針を刺すターゲットとして、その動物の色の濃い部分を狙います。そのため、人も明るい環境下でハチの攻撃対象になると、頭や黒い衣類などが攻撃されやすくなるのです。

ハチは色彩感覚がそれほど優れているわけではありません。そのため、日中であれば黒のような濃い色を認識しやすくなります。この特性により、攻撃対象を刺す際にも色の濃い部分を狙うようになるのです。

ハチが黒い色の服を狙うと言われるのは、この特性がピックアップされて世間的に認知されているからです。

また、その他のハチが濃い色を狙う理由としては、一番の天敵であるクマが黒い色をしていること、その他の天敵の急所である目や鼻が黒い色をしていることなどの説があります。

【仲間を呼び寄せるハチの毒液の効果】

ハチが出す毒液には、「敵がいる!」と他の仲間に知らせる、警報フェロモンが含まれています。もしもハチに毒液をかけられた場合、そのフェロモンが付いた対象が攻撃の標的になるのです。つまり、着ている服の色は関係なく、ハチに狙われるようになります。

なお、警報フェロモンの主成分は2‐ペンタノールという成分であり、果物に含まれていたり、香料の一つとして食品・飲料・香水に使用されたりしています。そのため、果汁や食品、飲料、香水の匂い成分が衣類や体に付着していた場合も、服の色は関係なくハチに狙われやすくなるでしょう。

なぜ、ハチは人を刺すのか?

数多く存在するハチの種類のうち、人を刺すのはごく一部の種類だけです。さらにその中のどの種類のハチでも、人を刺すのは、ハチがその人を自分の巣や仲間に危害を加える存在と認識した場合です。

ハチに刺される原因の例としては、以下のものが挙げられます。

  • ハチを刺激したり攻撃したりする
  • 巣に近づく、巣を攻撃する
  • 餌場に近づいたり、餌場での活動を邪魔したりする

人がハチに刺されるのは、故意もしくは偶然に、上記のようなハチに害を与える行動を取っていることが考えられるでしょう。

ハチも毒針を刺してくる時は命がけですので、攻撃する必要がなければ、無闇に襲ってはきません。人を刺すのは、それだけの理由があるのです。

ハチの世界の見え方は、わたしたちと違う

ハチの色を認識する能力は、人間と違ってかなり乏しいです。そして、その色の認識の仕方はハチの種類によっても少し違いがあります。

【スズメバチの場合】

スズメバチの場合は、周囲の色を明るさの差、いわゆる白黒のコントラストで見ています。そのため、どれだけカラフルなものも、スズメバチにとってはモノクロのような世界にしか映りません。この特性から、コントラストの強い濃い色であれば黒に映り、コントラストの弱い薄い色であれば白に映るということになります。

【ミツバチの場合】

ミツバチはスズメバチとは違って、多少の色の認識をすることができます。その色の内訳としては、白・黒・黄・青・青緑・紫外線です。

人間と比較してみると、まず三原色の一つである赤が見えない点が挙げられます。そのため、赤はミツバチの目で見ると、黒もしくはグレーの色として認識されているようです。

逆にミツバチは、人間の目には見えない紫外線を色として見る能力を有しています。花の多くは花びらで紫外線を吸収しているため、ミツバチはその紫外線を見る能力を使って花を見つけるのです。

以上のように、ハチは私たちとは全く違った形で世界を認識していることがわかります。

上記の点を踏まえた上で、スズメバチの色の見え方と、攻撃対象の認識の仕方の関係についても触れておきましょう。

  • 明るい場所では濃い色で動くものを認識しやすい

スズメバチは明るい環境であれば、コントラストの強い濃い色をしたものを狙いやすくなります。明るい環境の中では濃い色の方が認識しやすいからです。

さらに、スズメバチは左右に動く者に対して敏感に反応する傾向もあります。

以上の点から、明るい環境においてスズメバチが攻撃する態勢になると、濃い色をしてなおかつ左右によく動くものを狙う可能性が高くなるのです。

  • 暗い場所では薄い色も認識されやすくなる

明るさの差という視点で見ると、暗い場所では、白などの明度の高い薄い色の方が目立つようになります。先述したように、スズメバチの目はコントラストで世界を見ているため、暗い場所では薄い色の方がスズメバチに認識されやすくなるのです。

意外かもしれませんが、周囲が暗い環境の場合、薄い服を着て動いている方がハチに襲われる可能性が高くなります。

ハチに刺されないために、今からできること

麦わら帽子を被った女の子

ハチの活動が活発になる暑い時期は、人もキャンプやハイキングなど、屋外で活動をする機会が多い時期でもあります。そのため、「外に出たいけど、ハチには刺されたくない!」という不安を多くの方がお持ちではないでしょうか。

今から予め知識を得て、対策をしっかりとしておけば、ハチに刺されるのを回避することは可能です。

ハチ刺されを防ぐために、レジャーや屋外での活動の際にしておくべき対策、そして家のまわりでハチ被害に遭わないように気をつけておくべき点について解説していきましょう。

山などのレジャーや外で遊ぶ時にできる対策

日中はハチが巣から出て活発に行動をしているため、屋外で遊ぶ際にはハチに刺される心配があります。特に山などの自然が多い場所での活動は、ハチの巣も多いため、ハチに刺される可能性が高いです。

せっかくの楽しいレジャーがハチの恐怖で台無しにならないように、大人はもちろんのことお子さんにも使える、ハチ対策を挙げていきます。

  • 濃い色の服を着ない

この記事でもお伝えしている通り、日中は濃い色の服がハチの目に止まりやすいです。攻撃態勢になると、色の濃い部分を狙って刺してきますので、外で遊ぶ時は濃い服を着ずに白系などの薄い色の服を着ましょう。

  • 薄い色の帽子を被る

黒い髪の人は、その黒色がハチに認識されやすいです。そのため、白系などの薄い色の帽子を被れば、黒い髪色を隠すことができます。

  • 衣類や体の匂いに気をつける

果物や食品添加物、香水等の匂い成分の中には、ハチが仲間に攻撃対象を知らせるための警報フェロモンに含まれる成分と同じ成分が含まれていることがあります。果物や食品の匂いが服に付かないようにする、香水の使用を控えるなどして、ハチに狙われる匂いがしないように気をつけましょう。

  • ハッカ油スプレーを使用する

ハッカ油スプレーには、ハチが嫌いな香り成分であるメントールが含まれています。それを体や衣類に塗布しておくことで、ハチが寄り付かないようにできるでしょう。

ハッカ油を希釈するだけで自家製ハッカ油スプレーを作ることが可能です。とてもお手軽なので、気になる方は、ぜひこちらを参考にしてみてくださいね。

これらの対策を行いつつ、ハチの巣に近づかない、ハチを刺激しないなど、攻撃対象として見られないように行動に気をつけていれば、ハチに刺される可能性をかなり低くできるでしょう。

意外と多い、家のまわりでのハチ刺されにも要注意

ハチ刺されの被害が多いのは、レジャーで活動をしている時だけではありません。ハチは建物や、庭の木などに巣を作るため、自宅近くでハチに刺されたという事例はかなり多くあります。

巣があることで、ハチに刺されるリスクは格段に上がってしまうんです。

スズメバチの一種であるキイロスズメバチは、自然の多い場所よりも民家や公園・庭などの木に巣を作ります。それに、アシナガバチやミツバチなども、人間の生活圏で営巣するハチです。そのため、家の近くでもハチからの被害を受けることは十分起こり得るでしょう。

このような被害に遭わないために、巣があれば早い段階で撤去することが重要です。
撤去しようとして刺されることも多いため、専門のハチ駆除業者にお願いするようにしましょう。

また、ハチが活動を本格化させる夏の前から、ハチの巣ができそうな場所に巣作りを予防するスプレーを噴射しておいたり、庭木を適切に剪定したりして、ハチに巣を作らせないことも大切です。

自宅や近所の巣がありそうな場所には無闇に近付かないといった行動も効果的です。このような対策を取り、自宅でのハチ刺され被害を防いでください。

知っておこう!ハチの攻撃前のサインと対処法

スズメバチ

ハチは基本的にいきなり攻撃はせず、その前に「これから攻撃を仕掛けるぞ!」というサインを出します。そのサインと、サインが出た時の逃げ方を知っておけば、ハチに遭遇した時に攻撃を回避できる可能性を高められるでしょう。

【攻撃前のサイン】

攻撃のサインは、大まかに以下に挙げるものがあります。これらの攻撃のサインを出している間に逃げることができれば、ハチの攻撃を避けられる可能性が高くなるため、ハチに遭遇した際はそのサインを意識して確認してください。

  • 飛び回る

ハチがある動物を敵として認識すると、その動物の周囲を飛び回る行動を取ります。この行動は「これ以上近付かないように」というメッセージであったり、どのような相手なのかをじっくりと観察したりするためのものです。

  • 音を立てて威嚇をする

攻撃をするサインとして、翅をバタつかせたり顎をカチカチと鳴らしたりするなど、音を立てる形での威嚇行為も取ります。この音を立てる攻撃のサインは、攻撃を仕掛ける一歩手前のサインと考えていいでしょう。

  • 空中で止まって攻撃する狙いを定める

敵の周囲を飛び回ったり、音を出したりしても敵がいなくならない時、ハチは攻撃態勢に入ります。その際、空中で動きを停止し、毒針を刺す狙いを定めるのです。

【サインが出た時の逃げ方】

ハチからの攻撃サインが出た場合、まずは精神的に慌てないことが大切です。そして腰を低くし、自分が移動してきた道をゆっくりと後退しながら逃げてください。

また、逃げる最中に仮に襲ってきた時の事を考えて、タオルや衣類で頭や顔を覆って保護しておいた方が良いでしょう。

重要なのは、ハチを刺激せずに、「自分は敵ではない」とアピールすることです。急いで逃げたり、ハチを手で払ったりしてしまうと、ハチを刺激し、攻撃対象と判定されてしまいます。威嚇行為の段階は、ハチが逃げる猶予を残してくれているため、逃げることだけに集中しましょう。

【攻撃前のサインがないケースに要注意】

ハチの攻撃は、サインがないまま行われることがあります。それは例えば、巣があると知らずに巣のある木や枝を揺らしてしまう、土の中に巣があるのに気づかずに踏みつけてしまうなど、ハチにとって直接的な攻撃を行ってしまった場合です。

このようなケースでは、攻撃前のサインなしにすぐさま毒針を刺そうとしてきます。さらに、警報フェロモンによって仲間が触発され集団で襲ってくるので、こちらがゆっくり動いていたのでは逃げきれません。そのため、すぐに全力で逃げるようにしましょう。

まとめ

ハチは独特の色彩感覚を持っていることから、黒などの濃い色を認識しやすい特性があります。それゆえに、ハチが攻撃態勢になれば、黒い色は攻撃する対象として目立つ色となるでしょう。

ただし、ハチが人を襲うの理由は服の色ではなく、自分に危害を加えると認識するからです。そのため、どのような服を着ていても、ハチに危害を加えると襲われます

これらのことから、本当にハチに襲われないようにするためには、身につける服の色にも気をつけつつ、ハチの特性を知った上で対策を取ることが重要です。

それでは、ハチに刺されるのを避けるために、この記事のポイントとして押さえておいて欲しいのは以下の3点になります。

  • ハチは服の色は関係なく、ハチ自身や巣に近づいたり攻撃したりする相手に対して攻撃を仕掛ける。
  • 攻撃態勢に入ったハチは、日中だと濃い色の部分に攻撃を仕掛けるため、濃い色の衣類を身につけないことが大切。
  • もしもハチに遭遇した際、攻撃サインを出していれば、ハチを刺激しないようにゆっくりと逃げる。

また、巣があるうちは刺されるリスクはなくなりません。
「今、家の近くに巣がある」という場合は、被害が出る前に専門業者に相談してみましょう。

このポイントを押さえて、ハチに刺されない安全な暮らしを送るようにしてくださいね。