もう11月なのに、アシナガバチは何をしているの?まだ巣を作るの?

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晩秋のイチョウ並木

アシナガバチを見かけたときや、アシナガバチが近寄ってきたとき、「刺されるのでは?」とつい警戒心を抱いてしまいますよね。

蜂の活動時期は春から秋にかけてになります。ですが、秋が深くなった11月頃でも蜂を見かけることがあります。ときには洗濯物についていることもあり、これからもアシナガバチが活動するのかと思うと不安になってしまいます。

そこで、アシナガバチに対する不安を少しでも和らげるために、この記事では、秋から冬にかけてアシナガバチがどう過ごすのかや、秋に見つけたアシナガバチやその巣への対処法をご紹介します。

秋になっても見かけるアシナガバチは、これからどうなるの?

アシナガバチと巣

一般的に蜂の活動ピークは夏で、秋になるとその活動が次第に落ち着いてくるもの。ところが、10月、11月になってもアシナガバチを見かけると不安になりますよね。

秋になっても活動しているアシナガバチは、一体何をしているのでしょう。秋のアシナガバチの生態について詳しく見ていきましょう。

その年に生まれた新女王蜂

その年に産まれた新女王蜂は秋に交尾活動を始めます。

種や環境などにもよりますが、大体10月頃になると新女王蜂は巣から離れ、オス蜂と交尾をするのです。交尾を無事に終えると、新女王蜂はそのまま冬眠の準備に入ります。

この間、交尾のために飛行していたり、冬眠場所を探したりしている女王蜂に遭遇することがあるかもしれません。暖かい場所を求めて、洗濯物に紛れ込むことも増えるので、洗濯物を取り込むときには注意が必要です。しかし、秋になってから、アシナガバチに巣作りをされることはないので安心してください。

冬を越して春になると、女王蜂は巣作りを行い、産卵をして、そしてその年の秋には寿命を終えます。女王蜂の寿命は約1年ほどです。

旧女王蜂・働き蜂・オス蜂

その年に生まれた新女王蜂以外の全てのアシナガバチは、冬のうちに寿命を迎えます。

働き蜂の寿命は蜂の中でも最も短く、1カ月ほどしか生きることができません。

また、オス蜂の寿命も短く、9月頃から巣を出たオス蜂は、女王蜂との交尾を終えると、その後数日以内に死んでしまうのです。オス蜂の役割は、女王蜂と交尾をすることだけです。

このオス蜂も、秋になるとよく見かけるようになります。日当たりの良い場所など、暖かい場所に集団で止まっていることもあり、人を驚かせることもあります。しかし、オスは針を持っていないので、刺してくることはないのです。

アシナガバチの1年

ここで参考に、アシナガバチの1年の活動を、月ごとに紹介していきます。

4月から5月頃

温かくなってくると冬眠に入っていた女王蜂が目覚めます。冬眠の間に失われた栄養を補給するため、花の蜜や樹液を吸います。その後、巣作りを始めます。

5月から6月頃

最初は女王蜂だけで巣作りを行うので、巣はそれほど大きくはありません。巣の中でいくつか育房室ができると、最初の産卵をします。働き蜂が成長するまで(約1カ月)は、女王蜂は子育てと巣作りに専念します。

6月から7月頃

働き蜂が成長してくると、女王蜂は再び産卵し、今度は働き蜂が幼虫の世話や巣作りを行うようになります。

7月から8月頃

働き蜂の数も増えて、巣の大きさもピークを迎えます。

9月から10月頃

夏に産卵したオス蜂と新女王蜂が、この頃までに羽化し、交尾をするために活動し始めます。また、他の働き蜂などは寿命を迎えて死んでいきます。

10月から11月頃

交尾を終えた新女王蜂は冬眠の準備を始めます。

アシナガバチの活動が最盛期を迎える7月から8月頃は、攻撃性も高く働き蜂の数も多いので、巣には近づかないように気をつけましょう。

秋に見つけたアシナガバチは、どうするべき?

クエスチョンマークを浮かべる女性

蜂に刺されてしまったら大変なので、蜂を見かけたら駆除した方がいいと思ってしまうでしょう。 確かに、時期によっては早急に駆除したほうがいいのですが、秋に見かけたときはその必要はなさそうです。それは、アシナガバチの多くが冬前に寿命を迎えるからです。

秋になって洗濯物に紛れ込む蜂が増えたのはなぜ?

今まではそれほどでもなかったのに、秋になってから洗濯物に蜂が紛れ込む回数が増えたと感じたことはありませんか?秋になって気温が低くなってきたので、温かい場所を求めて洗濯物に寄ってきた可能性が考えられます。

蜂が洗濯物についているのに気づかずに家の中に取り込んだり、誤って蜂に触れたりしたら大変ですよね。蜂が洗濯物に寄ってこないようにするためには、いくつかの対策を試してみましょう。

まず、万能な虫除けである木酢液を洗濯物を干す場所のまわりに使うことです。木酢液を使うと、蜂だけでなく害虫全般予防にもなるのでおすすめです。

また、柔軟剤や洗剤を変えるのも手段のひとつです。柔軟剤や洗剤の中には蜂を引き寄せる花の香りなど、甘い香りを放つものがあります。洗剤や柔軟剤は無香料にするか、甘くない香りのものを選んで使いましょう。

11月頃には女王蜂も冬眠の準備に入るので、その頃までは洗濯物の扱いに気をつけるようにします。

巣は撤去するべき?

家のすぐ近くでアシナガバチに巣を作られてしまったら、駆除するべきか悩むでしょう。基本的に、来年以降巣がそのまま再利用されることはありません。

秋を過ぎると中にいる蜂はほぼすべて死に絶えていますので、駆除するのも難しくはありません。

蜂の巣をそのまま放置しておくと、次の年以降の蜂の巣作りの材料にされてしまうことがあるので、必ず撤去してください。

また、蜂が巣を作った場所は来年以降も巣を作られる可能性が考えられます。そこで、蜂が巣を作らないように対策を取ることをおすすめします。

女王蜂は春頃から巣作りを始めるので、その前から対策を取ります。巣作りの材料になる木や葉っぱはできるだけ取り除き、殺虫剤や忌避剤を置いておくとよいでしょう。

こんな場合は気をつけて!

基本的に秋に見かけるアシナガバチは攻撃性が低く、また冬眠に入ったり寿命が尽きたりするので、人間に害が及ぶことは少ないと考えてよいでしょう。

しかし、秋になって家の中でアシナガバチを見かける回数が増えたら、要注意です。それは、新女王蜂が家の中やその付近で冬眠しようとしているかもしれないからです。

温かく安全な場所を求めて新女王蜂は冬眠場所を探します。民家の屋根裏などは温かく、しかも風雨もしのげて快適なので、冬眠場所にはピッタリです。

おまけに冬の寒い時期は暖房を使うのでとても快適です。家の中で冬眠されてしまったときは、暖房をつけたときに部屋に侵入してくることもあるので要注意です。

このように、秋冬に家の中でアシナガバチを頻繁に見かけるようになったら、迷わず専門業者に見てもらうことをおすすめします。

まとめ

この記事のポイントとしておさえてほしいのは以下の3点です。

  • 秋に見かけるアシナガバチは危険性が少ないので、それほど心配する必要はない
  • アシナガバチは秋までにほとんどの個体の寿命が尽き、新女王蜂だけが越冬する
  • 秋にアシナガバチの巣を見かけたときは駆除し、来年以降同じ場所に巣を作られないように、春先から予防をするのがおすすめ

アシナガバチの生態を知り、重要なポイントを押さえておけば、必要以上にアシナガバチを恐れる必要もなくなりますよ。