蜂は種類ごとに特徴のある巣を作ります。巣から蜂の種類を知ることもできるほどです。
中でもひときわ人目を引くのが、とっくり型をした蜂の巣です。そんな巣を見つけたら、
「蜂がとっくり型の巣を作っているのを見つけたけど、これは何ていう蜂だろう?」
「このとっくり型の巣、蜂の巣のようだけど、駆除する必要はある?」
などといった疑問が湧いてきますよね。
蜂の巣が家の敷地内や近所にあったら怖いですが、蜂にもいろいろな種類がいるので、場合によっては巣を駆除する必要がないこともあります。
この記事ではとっくり型の蜂の巣について、その巣を作る蜂の種類や、見つけた巣への対処法を紹介します。
とっくり型の巣を作る2種類の蜂
とっくり型の巣を作る蜂は大きく分けて2種類います。
1つはトックリバチという名前の付いた蜂の1群で、ミカドトックリバチやムモントックリバチという種などが含まれます。
もう1つはスズメバチ仲間です。コガタスズメバチとツマグロスズメバチの2種が作る巣の、初期の形状がとっくり型をしています。
コガタスズメバチとツマグロスズメバチは、トックリバチとは違うグループに属する蜂で、オオスズメバチやキイロスズメバチといった種と同じグループに入ります。
中には、コガタスズメバチやツマグロスズメバチが作る巣の形から、これら2種のスズメバチのことをトックリバチと呼んだり、コガタスズメバチ・ツマグロスズメバチ=トックリバチだと思ったりする人もいるようですが、これらの蜂には大きな違いがあります。
ではここから、それぞれの蜂の特徴や危険性などについてさらに詳しく見ていきましょう!
トックリバチ
トックリバチの特徴や概要について以下にまとめてみました。
- 概要
トックリバチは、ドロバチ科トックリバチ類に属する蜂を指します。(ドロバチ科はドロバチ亜科とする場合もあります。)
体長は10〜17mmほどの個体が多く、スズメバチと比べると小さめです。
体の色は黄色と黒の縞模様で、スリムな体形をしています。特に細い腰が特徴的です。
- 巣の特徴
名前の通り、お酒を入れるとっくりのような巣を作るのが大きな特徴です。
主に泥を使って巣を作るのですが、巣の大きさは直径10〜15mmと小さく、蜂がやっと1匹入れるほどのスペースしかありません。
トックリバチは他の種類の蜂と同じで家のベランダや軒下、屋根裏などに巣を作る他、植物の細い茎や葉にも巣を作ります。ベランダなどに巣を作る場合は、ちょっとしたL字型の部分などに、とっくりのような細い首がある巣を作ります。
巣のサイズが小さいので、巣があることに気が付かないこともあります。
- 危険性
トックリバチは穏やかな性格の持ち主なので、人間に危害を与える危険性は低いです。人間から攻撃を仕掛けない限りは、トックリバチから襲い掛かってくることはほとんどありません。
また万が一、刺されてしまったとしても、毒性が弱いので被害もそれほど大きくならないことがほとんどです。
- 巣を見つけたらどうするべきか
トックリバチの巣を見つけたら、駆除するかどうかで迷うかもしれません。
もしもトックリバチの巣が、玄関のような日常生活の邪魔になる場所などに作られてしまって、駆除をしたい場合は、幼虫が羽化して巣を離れる春まで待つのがオススメです。
完全に塞がっている巣を駆除しようとすると、中のトックリバチに刺されてしまうかもしれないからです。大人しいトックリバチでも、自分の身を守るためには攻撃をしてくる可能性があります。
日常生活に支障がない場合は、基本的に人間に襲い掛かってくるリスクは低いので、そのままにしておいても問題ないことがほとんどです。
- 巣を作らせない予防法
蜂の巣を作らせないようにするためには、他の蜂と一緒で予防対策をしておくことです。
トックリバチの活動時期はおよそ6〜10月と他の蜂とほぼ一緒ですが、巣を作る時期は異なります。
トックリバチは冬の前に巣を作って卵を産み付けるのです。
幼虫は冬の間に卵からかえり、巣の中でエサを食べながら成長して成虫になります。そして、春になると巣の外に出て活動をするようになるのです。
巣を作り始める7〜9月頃に対策を取るのが1番効果的です。蜂が巣を作りやすい場所に、忌避剤を噴きつける、木酢液を置くなどしてトックリバチを寄せ付けないようにしましょう。
コガタスズメバチ・ツマグロスズメバチ
コガタスズメバチとツマグロスズメバチもとっくり型の巣を作ります。
- 概要
- コガタスズメバチ
コガタという名称ですが、体長22〜27mmとそれほど小さいわけではありません。
コガタスズメバチは見た目がオオスズメバチに似ているのですが、オオスズメバチより小さいことから、コガタスズメバチという名称が付けられたと言われています。
都会周辺でも生息でき、人家にもよく巣を作るため、刺症被害も少なくありません。
- ツマグロスズメバチ
体長は20mmから、30mmに満たないくらいの小ぶりの蜂です。
腹(細くなった腰より下の部分)が上下で2色に分かれ、上半分が黄色、下半分が黒色をしています。
暖かい地域に生息する蜂で、日本では宮古島以南に分布していて、地上から1m未満の低い場所に営巣することもあります。
- 巣の特徴
どちらも、住宅の軒下や樹木の枝といった場所に巣を作ります。また、開放的な場所に巣を作ることも多く、民家の庭などに巣を作ることが少なくありません。
庭仕事をしていて刺されたというケースが多いので、注意が必要です。
最終的には、コガタスズメバチは直径30cmほど、ツマグロスズメバチは大きいもので直径50cmほどの大きさの巣を作ります。
- 危険性
スズメバチは凶暴なイメージがありますが、コガタスズメバチもツマグロスズメバチも比較的温厚な性格の持ち主です。
ただし、1度怒らせてしまうと、高い攻撃力を発揮するので注意が必要です。
- 巣を見つけたらどうするべきか
基本的に人間が攻撃を仕掛けない限り、襲ってくることはほとんどありません。
しかし、誤って巣に触れてしまって刺されることもあるので、巣を見つけたときは駆除することをオススメします。
- 巣を作らせない予防法
この2種を含むスズメバチが巣を作り始めるのは春頃なので、その前から対策を取るのがオススメです。巣を作りやすい場所に、木酢液を置くなどの予防をしましょう。
詳しい蜂の巣の予防法については、こちらの記事でまとめています。蜂の巣予防の実践をお考えの方は、ぜひ参考にしてくださいね!
トックリバチとスズメバチの巣の見分け方
とっくり型の巣を見かけたときに、トックリバチの巣なのかスズメバチの巣なのか、分からないことがあるかもしれません。
しかし、両者の巣は大きく違うので、見分けるポイントを理解しておくと役立ちます。
- 大きさ
大きさの違いが、最も区別しやすいポイントです。
トックリバチの巣が10〜15mmと小型サイズであるのに対して、スズメバチの巣であれば直径10cmほどと、ソフトボール位の大きさがあります。
- 見た目
トックリバチの巣は泥で作られているので、泥が乾いたような見た目をしていて、色が均一です。
一方、スズメバチの巣は木から取った繊維で作られているので、厚紙のような見た目をしています。スズメバチが巣材として利用した木によって、単一の色をしているものや、マーブル模様をしているものがあります。
まとめ
この記事のポイントとしておさえてほしいのは以下の3点です。
- とっくり型の巣を作る蜂にはトックリバチとコガタスズメバチ・ツマグロスズメバチがいる
- 両方とも温厚な性格なので、危害を加えなければ攻撃を受けるリスクは低いが、場所によって駆除の検討は必要
- トックリバチとコガタスズメバチの巣は、巣の大きさで見分けることができる
ポイントをおさえて、上手に対処しましょう!