コウモリが哺乳類である理由、鳥類との違いや特徴を教えます!

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コウモリ

コウモリは、実は哺乳類です。その事実を目の当たりにすると、「翼もあって空も飛べるから、鳥の仲間だと思っていた!」とか「哺乳類なのに飛べるのは何故?」等の疑問を持たれる方も多いのではないでしょうか。

コウモリが哺乳類に分類され、鳥類でもないのに空を飛べるのは何故のか。さらに野生のコウモリには、どのような危険性や、法律面での制約があるのかなど、コウモリの持つ秘密を解明していきます。

コウモリが哺乳類である理由

哺乳類と鳥類の違い

まずは哺乳類と鳥類の違いについて触れておきましょう。

鳥類との違い①胎生と卵生

哺乳類と鳥類の違いとして、まず挙げられるのが子供の作り方の部分です。動物の主な子供の作り方は、お腹の中で子供を育てて出産をする胎生か、卵を産んで孵化させる卵生の二つとなっています。

胎生を行える能力を持っているのは、哺乳類だけです。一方、鳥類は全てが卵生であるため、必ず卵を産んで子供を作ります。特に鳥は、殻のある卵を産むことが特徴的です。

この点で、胎生であれば哺乳類である証明になると言えるでしょう。

コウモリは体の中で胎児を育ててから出産をします。さらに出産後は、母乳によって栄養補給をさせて育成させます。この二つは、哺乳類の典型的な特性です。

鳥類との違い②皮膚の毛

皮膚に生えている毛は、実は哺乳類と鳥類を見分ける上で大きなポイントとなります。

鳥類の皮膚の毛であるのが、羽毛です。羽毛の内、羽についている正羽は左右非対称で風圧を逃しやすく、頑丈な作りをしているため、飛行をする上で主要な役割を持ちます。綿羽の方は、ふわふわとした保温性の高い羽であり、飛行時の体温低下を防げる構造です。

では、哺乳類の皮膚の毛はどうでしょうか。哺乳類は体全体を覆うように、体毛が生えている種類が多い傾向があります。人間も、体の全体に何らかの毛(髪の毛や産毛、髭など)が生えているのが特徴的です。

特に、哺乳類の毛は皮膚の角質層からできています。つまり、皮膚から派生したと言えるものです。その点で羽毛は角質層からできた毛ではありません。

以上のことから、鳥類は基本的に羽毛を有していますが、哺乳類には羽毛は無く、体毛に覆われている点が違いとして挙げられます。

コウモリの翼は、皮膚が剥き出しで、鳥のように毛は生えていません。そして、胴体部分においては他の哺乳類の動物にも共通した、フサフサとした体毛がついています。

上記の点で、皮膚の毛についても、哺乳類の条件に合致します。

鳥類との違い③歯の有無

次に、歯の部分において、哺乳類と鳥類の違いを見てみましょう。

哺乳類は一部の種類を除き、その多くに歯が生えています。歯の本数については種類によって違いがありますが、小さい哺乳類の動物でも数本の歯が生えていることが多いです。

しかし、鳥類には歯がありません。その代わりにクチバシや、喉の置くにある砂嚢といった歯に準ずる器官が発達しています。特に砂嚢は、食べた物をすり潰す、実質的な歯の役割を果たしている場所です。

口を開けた状態で、少しでも歯が見られれば哺乳類、歯が全くなければ鳥類であると判断することができます。

コウモリの口を開けてみると、種類によって本数や大きさが変わりますが、歯が生えているのを確認できます。それに、コウモリは牙を皮膚に刺して血を飲む吸血鬼のモチーフでもあるように、歯はコウモリの代表的な特徴の一つです。そのため、歯の部分でも、哺乳類の条件を満たしています。

以上、コウモリは数々の哺乳類の特徴に該当しているため、哺乳類であることは確実です。

しかし、これだけ哺乳類と断定できる特徴に該当していたとしても、「空を飛ぶから、哺乳類ではなく鳥類ではないの?」という疑問を持たれる方もいるかもしれません。

その点については、空を飛ぶことが鳥類の絶対的な条件ではないことを踏まえると、理解がしやすいです。

例えば、鳥類の中には空を飛ばない種類が多くいます。代表的な例では、大地を走ることに特化したダチョウや、泳ぐことが得意なペンギンなどです。これらは紛れもなく鳥類に分類される動物ですが、空を飛ぶことはできません。

鳥類の中で進化によって空を飛べなくなった種類が居るように、哺乳類の中で例外的に空を飛ぶように進化した種類がコウモリなのです。そのため、空を飛んでいたとしても、コウモリは哺乳類であり、鳥類ではありません

コウモリはなぜ空を飛べるのか?

コウモリが鳥類ではなく、哺乳類であることが理解できたとしても、まだ疑問が残るのは哺乳類なのになぜ空を飛べるのか?という点ではないでしょうか。

その飛行能力を解明していく前に、まず押さえておくべきポイントなのが、コウモリの翼は鳥類が持つ羽とは全く別物であることです。

鳥類の羽は、その大部分が羽毛によって作られています。その点、コウモリの翼を構成しているのは、手から後ろ足にかけて伸びた飛膜と呼ばれる皮膚です。

さらに、コウモリは翼である飛膜の中に、細かな筋肉があります。鳥類の羽毛は筋肉が無いので自由に動かせませんが、コウモリはこの細かな筋肉によって、微細な翼の動きを可能にしているのです。

この飛膜の働きが、コウモリの飛行能力の中核的な要素だと言えるでしょう。

飛膜は羽ばたくことで浮力を作り出せますし、ハングライダーと同じ原理で、空気抵抗を利用しながら滑空することもできます。そして飛膜の筋肉を動かすことによって僅かに翼の角度を変え、空気抵抗を微妙に変化させることで、垂直降下、急旋回などの難しい動きも可能です。

このように、飛膜の著しい発達が、哺乳類であるにも関わらずコウモリが飛行できる理由となります。

コウモリをペットにすることはできる?

コウモリに関する興味の延長線で、ペットとして飼育したいとの考えを持たれる方もおられるかもしれません。その点について、野生のコウモリはペットとして飼育は不可ですが、飼育用のコウモリをペットにすることはできます

飼育用のコウモリとして知られているのが、オオコウモリ(別名:フルーツコウモリ)です。

オオコウモリの特徴の一つなのが、その別名にも表されているように、果物を主な食料とする点です。この食性から、果物が餌になるので、リンゴやバナナなどの身近な果物を餌にすることができます。

ただし、どのような果物でも食べるわけではないため、飼育をし始めた頃は、好みを探りながら餌として与える果物を見つける作業が必要です。

また、オオコウモリのもう一つの特徴として、眼の大きさがあります。野生でよく見かけるアブラコウモリは、聴覚を視覚代わりにしているので、視覚機能の弱さから眼は小さいです。その点で、オオコウモリは視覚によって周囲を見ているので、眼も大きくなっています。

このフルーツコウモリは、ペットショップ等で入手できますが、取り扱い店舗は限定的です。そのため、入手するのは難しい傾向があります。

それに飼育する際には、コウモリが運動をしやすい大き目のゲージの用意や、元々の生息地域が熱帯なので暖かい気温を維持すること、大量の糞の処理などの手間がかかるのも注意点です。

もしもオオコウモリをペットとして飼育する際には、それらの注意点を理解した上で入手するようにしましょう。

野生のコウモリに触れるのは危険!

もしも野生のコウモリを見つけた場合、絶対に直接触れてはいけません。なぜならば、野生のコウモリの体には危険な病原菌や寄生虫が沢山付着しているからです。

また、法律の面でも、野生のコウモリは保護されるように、取り扱いが規制されている部分もあります。

その危険性や、法的な規制の面について、詳しく解説してきましょう。

コウモリが持つ危険な細菌や寄生虫について

野生のコウモリの皮膚には、多種多様な病原菌や寄生虫が潜んでいます。そして、その一部の種類は、人間に感染・寄生することによって、健康被害が起こるので注意が必要です。

日本に生息しているコウモリに付着している細菌で、体に害を与える有名なのものとして、ハンタウィルス、ヒトプラズマが挙げられます。

<ハンタウイルス症>

体内にハンタウイルスが侵入すると、ハンタウイルス症にかかります。このウィルスが感染し、障害を起こす部位は、主に腎臓と肺です。

腎臓に入ったハンタウイルスは、腎不全を引き起こします。この症状が起こるのは、概ね感染してから1週間以内です。さらに皮膚に点々と出血があったり、顔が真っ赤になったり、低血圧を起こす、高熱が出る等の症状もあります。

肺にハンタウィルスが入った場合、初期症状としては風邪のような軽度な状態です。しかし、急激に呼吸ができなくなります。その他にも、高熱や悪寒、嘔吐下痢、筋肉痛などの複数の周辺症状が出てしまうのも特徴的です。

ハンタウィルスによる肺症候群は、死亡率が50%以上であり、かなり危険な病気であることが分かります。

<ヒストプラズマ症>

ヒストプラズマは、真菌と呼ばれる細菌の一種です。ヒストプラズマは主に肺に感染し、症状を引き起こします。

その症状として、ヒストプラズマが感染した初期は、風邪のような軽度の症状が出るだけです。その後、体の怠さや痛み等の急性症状が起こったり、複数回感染することによって咳、発熱、呼吸不全などの症状を引き起こしたりします。

さらにヒストプラズマ症の怖い部分が、全身にその細菌が行き渡ってしまう可能性がある点です。全身にヒストプラズマが行き渡って感染した場合、的確な治療をしなければ命を落とす病気に発展します。

特に免疫不全の病気を持たれている方、ステロイド治療によって免疫力が低下した方等は、罹患するリスクが高いです。

<寄生虫がもたらす影響>

次に、コウモリに付着している寄生虫についてです。ダニやシラミの類の寄生虫がコウモリに寄生しています。これらの寄生虫は人間にも寄生し、吸血やアレルギーによる痒み、痛みを与えるなどが共通した被害です。

そんなコウモリに寄生する虫の中で、一番気をつけなければならいのがマダニ類でしょう。

マダニの種類の中には、人間にとって重篤な症状を引き起こすウィルスを媒介する者が居ます。そのウィルスであるのが、フレボウィルスです。

フレボウィルスが人体に媒介されると、重症熱性血小板減少症候群という症状を引き起こします。その具体的な症状は、発熱、そして吐き気、嘔吐、下痢、腹痛、下血などです。

致死率も10%から30%であり、重篤な症状になる可能性があります。

以上のように、コウモリの体には命を奪ってしまう可能性が高い、危険な病原菌や寄生虫が多く付着しています。だからこそ、直接触れることは禁忌なのです。

コウモリが「狂犬病」を運んでくる可能性も…!

この世で一番致死率が高い病気は、エイズと狂犬病です。そしてこの狂犬病は、コウモリが運んできてしまう可能性があります。

狂犬病は犬だけの病気と思われがちですが、実は哺乳類の全てが感染してしまう病気です。さらに、現代医学では未だ治療法が無いため、それに人間が罹患した場合、ほぼ死亡するとされています。

日本では、コウモリから狂犬病に罹患したという事例はまだありません。しかし諸外国では、コウモリが媒介者となり狂犬病に罹患したケースが報告されています。そのため、日本でも同様の事が起こる確率はゼロではないのです。

これほど危険な病気の経路になる可能性があるコウモリですから、その取り扱いは慎重になるべきでしょう。

コウモリは許可なく捕獲・殺傷してはいけない

野生のコウモリについては、鳥獣保護法に違反しないようにも注意しなければなりません。

鳥獣保護法は、野生に生息している鳥類と哺乳類を守るために制定された法律です。その法律による保護の対象として、コウモリも含まれています。それによって、野生のコウモリの捕獲、飼育、処分を許可なく行うことは禁止されているのです。

野生のコウモリを無許可で捕獲、飼育、処分をした場合、罰則が適用されます。その罰則は、懲役1年以下または50万円以下の罰金という内容です。

野生のコウモリに触れてはいけないのは、上記のような法令違反を犯すことを防ぐ意味も含みます。もしも野生のコウモリが居たとしても、自分で捕獲等をしないように気をつけましょう。

コウモリ被害でお困りの方は専門業者に相談を

私たちの住居にも、コウモリが住み着くことは多いです。そして糞尿を撒き散らしたり、感染症や寄生虫の媒介をするなどの被害をもたらします。この被害を防ぐためには、コウモリの駆除をしなければなりません。

コウモリを駆除するには、それを行う技術だけではなく、タイミング、専用の道具の用意が必要です。個人で駆除を行うとなると、失敗のリスクやかなりの労力を要します。それに個人でのコウモリ駆除をしていると、誤ってコウモリに触れてしまい、危険な病原菌や寄生虫の犠牲になる可能性も否めません。

以上の点から、できるだけスムーズに、そして安全に駆除をするのであれば、個人でそれを行うようりも専門の業者を利用しましょう。

専門業者であれば、失敗なく駆除作業をしてくれますし、コウモリの糞害など汚れた部分の清掃まで行ってくれます。それに、自らコウモリを触れる事もないので、危険な病気や寄生虫の被害に合わず、鳥獣保護法の違反にもならないのがメッリトです。

コウモリが自宅に発生して、その被害が辛いという場合は、自分でどうにかしようとせずに、安心して任せられる専門業者に相談することをお勧めします。

まとめ

・コウモリは空を飛ぶ能力を持つ哺乳類であり、鳥類ではない。

・野生のコウモリは、鳥獣保護法により飼うことはできない。しかし、オオコウモリであればペットとして飼育することができる。

・危険な病原菌や寄生虫が野生のコウモリには付着しているので、絶対に直接触れてはならない。

コウモリは完全な飛行能力を有する生物ですが、鳥類ではなく私たち人間と同じ哺乳類の仲間であることが分かりました。そして、認可を受けている種類であれば、ペットとして飼育することも可能です。

しかし、野生の個体については、人体に多大な影響を与える病原菌や寄生虫が付いています。ですので、駆除をする必要がある場合があれば、無理に個人で駆除を行わず、専門業者に駆除を依頼するようにしましょう。