コウモリはなぜ飛べる?空を羽ばたく哺乳類の翼の構造とは

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羽を広げたコウモリ

家に鳥のような生き物が…と思ったら実はコウモリだったということは珍しくありません。

コウモリは鳥ではなく実は哺乳類なのですが、そうなると「どうしてコウモリは空を飛べるの?」、「哺乳類なのにどうして羽がついているの?」といった疑問が湧いてきますよね。

その他にも「コウモリって本当に血を吸うの?」「私たちの身近にもコウモリっているの?」などといった疑問にもお答えします。

今回は「コウモリはなぜ飛べる?空を羽ばたく哺乳類の翼の構造とは」についてまとめてみました。

コウモリはどうやって空を飛ぶの?

コウモリの最大の特徴と言えば、哺乳類にも関わらず空を飛べることです。けれども鳥ではないコウモリはどうやって空を飛ぶのでしょうか。

モモンガやムササビもコウモリ同様哺乳類の仲間ですが、その飛び方には大きな違いがあり、コウモリの方が自由に飛び回ることができます。またその飛ぶさまはまるで鳥類のようですが、鳥類とも翼の構造は違っています。

コウモリの翼の構造ってどうなってるの?

コウモリの翼は人間の手のように5本の指があります。そして肩から尾にかけて皮膚でできた被膜と呼ばれる膜が張られています。

コウモリの被膜は、肩から指の付け根の間にある前膜、それぞれの指の間にある指間膜、手の小指と足の指にある体側膜、そして足の指と尾の間にある腿間膜の4種類からなります。

この4種類の膜は伸縮性があり、それぞれの形を変えたり調節したりすることで飛ぶことができると考えられています。ただしオオコウモリなど一部のコウモリには腿間膜がない、もしくはあまり発達していない場合もあります。

この膜の形を変えるための筋肉がとても発達していて、翼にも筋肉があるというのがコウモリの大きな特徴でもあります。手を開くと翼が広がり、閉じるとたたむことができるという仕組みになっています。

哺乳類で空を飛ぶのはコウモリだけ!

同じ哺乳類であるモモンガやムササビにも膜はありますが、コウモリほど膜は発達しておらず、飛ぶというよりは滑空飛行をします。

一方でコウモリは4種類の膜を駆使して翼を羽ばたかせることができます。そのためモモンガやムササビは空中での急旋回や急上昇などはできませんが、コウモリは空を自由に飛び回ることができるのです

鳥類とコウモリの翼って、何が違うの?

コウモリは哺乳類であるにも関わらず、鳥類と同じように自在に飛び回り、空中でエサを捕まえるという難技まで繰り出すことができます。そのためコウモリと鳥類の翼は似ていると思われがちですが、鳥類の翼は羽毛で覆われている一方で、コウモリの翼は被膜でできており、羽毛はありません。

鳥類はコウモリよりも関節の数がかなり少ないため、コウモリのように翼を折りたたんで体に引きつけるという動作はできません。また鳥類にはダチョウやペンギンなど飛べない鳥も存在しますが、コウモリの種類に飛べないコウモリは存在しません。

コウモリはどんな生き物?

コウモリの種類はとても多く、世界の哺乳類のうち1/4をコウモリの種類が占めるほどです。

コウモリと言えば木や洞窟でぶら下がっている姿が一般的ですが、その理由は哺乳類が空を飛べる理由ともつながっており、とても理にかなっています。

日本で一番よくみかけるコウモリと言えば、アブラコウモリです。別名イエコウモリという名前が付くほど人間の家に根差していることもあり、アブラコウモリによる被害は甚大かつ深刻になりがちです。

コウモリの生態について知ろう

コウモリは哺乳類翼種目に属します。世界には約4000種類の哺乳類がいますが、そのうち約1000種類がコウモリです。つまり哺乳類のうち1/4がコウモリの仲間であるということになります。

日本には陸生哺乳類が移入種を除いて約100種類いますが、そのうちコウモリは約30種を占めます。つまり1/3がコウモリの仲間ということになります。

オオコウモリとコウモリの違いについて

コウモリはさらにオオコウモリ亜目とコウモリ亜目の二種類に分類されます。

<オオコウモリ亜目>
大型で、中には翼を広げると2mにも達する種類も。視覚が発達しており、植物性のエサを主食とする。

<コウモリ亜目>
オオコウモリ亜目よりも小型。視角が発達しておらず、超音波で障害物を避けたりエサを探したりできるエコーロケーション能力があるのが大きな特徴。昆虫、植物、肉食、血液食などその食性は様々。

コウモリはどうしてぶら下がっているの?

コウモリは空を飛ぶためにできるだけ体が軽い状態でいる必要があるため、余分な筋肉はついていません。
そのためコウモリは飛ぶための筋肉は発達しているものの、飛ぶことに関係しない、例えば歩くための筋力は発達しておらず、両足で自立することができません。

代わりにコウモリの脚の腱はとても特殊で丈夫であるという特徴を持ち、非常に少ない力で木の枝にぶら下がることができます。そのため最小のエネルギーで休憩をすることが可能になり、極端な話ですが死んでもなおぶら下がっていられます。

また食物連鎖の下位にいるコウモリにとって、高い場所にぶら下がることにより天敵に捕食されないというメリットもあります。

日本に生息するコウモリの種類って?

日本にいるコウモリの種類は主にオオコウモリ科、キクガシラコウモリ科、カグラコウモリ科、ヒナコウモリ科、オヒキコウモリ科に分かれます。さらにヒナコウモリ科はホオヒゲコウモリ属、アブラコウモリ属、クビワコウモリ属、ヤマコウモリ属、ヒナコウモリ属、チチブコウモリ属、ウサギコウモリ属、ユビナガコウモリ属、テングコウモリ属に分かれます。

約30種類のコウモリがいますが、そのうち20種類以上が絶滅危惧種に指定されています

これらの種類のうち、家に住み着くコウモリはアブラコウモリ一種類のみです。アブラコウモリは絶滅どころか、その強い繁殖力であっという間に数を増やします。

吸血コウモリは海外にしか居ない?

コウモリと言えばドラキュラのように人間の血をエサとする怖い生き物、というイメージが強いですよね。

しかし数あるコウモリの種類のうち、吸血するコウモリはたったの3種類しかいません。また、そのうちの2種類にいたっては生息数が少ないと言われています。

吸血コウモリはドラキュラのようにガブリと噛みついて血を吸うのではなく、鋭い歯で獲物の皮膚を切り裂き、出血した場所をぴちゃぴちゃ舐めることで血液を摂取します。

また、吸血コウモリは南米にしか生息しておらず、日本には一切生息していないのでご安心ください。

コウモリの被害にあったときの注意点

コウモリは私たち人間に多大な悪影響を及ぼす存在でもあります。特に私たちの身近にいるアブラコウモリの被害にあった場合は、注意しなくてはならない点がいくつかあります。

「できれば自力で駆除したい」と思うかもしれませんが、コウモリ駆除業者に依頼することも視野にいれて対策を打つ必要があります。

アブラコウモリが及ぼす被害はこれだけある

日本に住むコウモリのうち、私たちの身近にいるコウモリはアブラコウモリ1種類のみです。

アブラコウモリは別名イエコウモリとも呼ばれ、体長はわずか5センチほどしかありませんが、その小さな体を活かして人家の隙間から家内に侵入します。繁殖力が強く、気づいたときには100匹単位にまで繁殖が進んでしまっていることもあります。

アブラコウモリは直接人間に害を及ぼすことはありませんが、間接的に大きな被害を人間に及ぼします。アブラコウモリによる被害のうち、もっとも大きな割合を占めるのが糞害によるものです。

糞の臭いはもちろんのこと、大量の糞尿が建物に悪影響を及ぼしたり、乾燥した糞が空気中に飛散して恐ろしい感染症を引き起こしたりするなど、その被害は深刻です。

またコウモリ自体にノミやダニが寄生しているため、布団やカーペットにまでノミやダニが繁殖するといった二次被害も多く起こっています。

コウモリを駆除するときに気をつけるべきこと

人間に感染症をもたらす恐れのあるコウモリですが、実は鳥獣保護法の対象になっているため無許可で殺処分を行うことができません。そのためコウモリを自力でどうにかしたいと思った場合、まずは追い出すことを念頭に入れて対処する必要があります。

そして、数ある駆除方法の中でもっとも手軽なのが、コウモリ用の忌避スプレーやラジコンカーなどを使って煙や音でコウモリを追い出す方法です。

道具を使ってコウモリを追い出した後は、必ず侵入経路を塞いで、コウモリが家に戻ってこないようにしましょう。

コウモリを追い出す前に侵入経路を塞いでしまうと、家の中でコウモリが死んでしまい、そこからノミやダニが大発生してしまう恐れがあります。そうならないように、必ず全てのコウモリを追い出してから侵入経路を塞ぐようにしてくださいね。

無理をせずに業者に依頼することも選択肢に入れる

家にコウモリが出た場合、できればお金をかけずに駆除したいと思うかもしれません。けれどもコウモリは恐ろしい感染症を引き起こすウィルスを媒介している可能性があるため、慎重に対処しなくてはなりません。

コウモリのみならず、コウモリの糞尿にもウィルスが含まれている可能性があるため、処理をする際は細心の注意が必要になります。

素人作業ではどうしても危険を伴いますし、再侵入されてしまっては元も子もありません。決して無理をせず、プロの業者に依頼することも選択肢に入れておくようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
この記事でお伝えしたいのは以下3点です。

・コウモリの翼は4種類の膜からなる被膜でできているが、ムササビやモモンガの膜はコウモリほど発達しておらず滑空飛行しかできない。急旋回したり急上昇したり、自由に空を飛び回ることができる哺乳類はコウモリだけである。コウモリの飛ぶ技術は鳥類に匹敵するが、翼の構造は全く違う。

・アブラコウモリは繁殖力が強く、人家に住み着きあっという間に繁殖してしまう。アブラコウモリによる糞害は、建物への影響だけでなくウィルス感染など健康にも及ぶ。そしてコウモリに寄生するノミやダニなどが大繁殖する二次被害も起こり得る。

・コウモリは鳥獣保護法の対象になっているので追い出すことしかできない。そしてコウモリ駆除には危険を伴うため、コウモリ駆除業者に依頼することを選択肢に入れた方がよい。

哺乳類でありながら、空を飛ぶことができるコウモリはとても神秘的ですが、害を被るとなれば話は別です。コウモリ被害にあってしまったときは、被害が広がる前に専門業者に相談し、被害を最小限に抑えるようにしましょう。