雨漏りが起こった時、どう対処すれば良いか分からず困っているという方は多いのではないでしょうか。特に瓦屋根にお住いの方は、屋根の破損箇所や修理方法が分かりづらいので、その悩みは深刻になりがちです。
今回はそのような方に向けて、
- 瓦屋根で起こりやすい雨漏りの発生原因や自分でもできる対処方法
- より確実に修理をする場合に頼れる業者へ依頼するためのポイント
この2点にポイントを絞って解説していきます。それではさっそく見ていきましょう!
目次
雨漏りの原因と発生場所を知ろう!
雨漏りが起こっていたとすれば、それには必ず何らかの原因があります。 雨漏り対策をする際は原因と発生場所を確認して、状況に応じた対策を行いましょう!
瓦の不具合や下地材の腐食
瓦屋根から雨漏りが発生した場合、雨漏りの原因になりやすいのが瓦の不具合や、その下に葺かれている防水材の経年劣化です。
瓦は頑丈なものですが、割れることもありますし、暴風などによってズレたり浮いてしまったりします。そのような瓦の不具合が起こった屋根は、下葺きの部分に雨水が大量に侵入してしまい、それが原因となって雨漏りを発生させてしまうのです。
定期的に屋根の点検をしていない限り瓦の不具合には気がつきませんので、知らず識らずの内に雨漏りが起こっているというケースが多いのも特徴です。
さらに、瓦の下地に防水材として使われている素材は、永久的に耐久性があるわけではありません。昔の瓦屋根の下地に使われていた土は、年数の経過とともに量が少なくなっていきます。 それに近年の瓦屋根に多く使われるルーフィングなどの防水材も、一般的なものであれば10年から20年程が寿命の目安とされています。
このように、防水のための下地材は経年劣化していくため、その耐久性が低下した段階で雨漏りが発生しやすくなります。
漆喰・壁・板金部分からの雨漏り
雨漏りが発生するのは、瓦やその下地材だけではありません。漆喰や壁、板金部分などからも雨漏りが発生することがあるので、屋根以外の場所もしっかりチェックしておきましょう。
まずは漆喰についてです。漆喰は強固な素材ですが、年数とともに弱くなり、破損してしまう可能性があります。漆喰が剥がれたり、ひび割れができたりすると、そこから雨水が侵入してくるのです。
また、漆喰の寿命は20年程度と言われているので、漆喰の施工から20年以上経過している場合は特に注意が必要です。
次に考えられるのが、屋根材として使われている板金部分からの雨漏りです。
瓦屋根は瓦だけではなく、棟や瓦の隙間などに金属の板金が使われていることがあります。この金属は瓦よりも耐久性が低いため、錆びや腐食などによって破損します。当然、破損した場所からは雨水が侵入するので、雨漏りの原因となります。
以上のように、雨漏りが起こる原因はさまざまです。
そのため、屋内から雨漏りが確認できても、屋根のどの部分で雨漏りが起こっているのか判断できないことがあります。
ですので、雨漏りの原因が分からないときは早い段階でプロに相談するのがオススメです。
自分でもできる瓦屋根の修理方法
雨漏り発生の主な原因となる「瓦の破損」について、自分で補修を行う場合は、防水テープを使う方法と瓦パテを使う方法があります。具体的にどのような工程で修理を行えば良いのか、そしてどの程度の雨漏りがカバーできるのか説明していきます。
防水テープを使う方法
瓦屋根の修理方法として、まず行いやすいのが防水テープを使用した方法です。
【準備物】
- 瓦屋根に用いることができる防水テープ
- ハサミ
- 雑巾
防水テープは、ニトムズの瓦補修テープがおすすめ。合成ゴムの柔らかい素材で出来ているので、瓦の形にぴったりフィットし粘着力も抜群。
上から塗料を重ねることもできるので、瓦と色が違うのが気になる方はスプレーやペンキで上塗りすることができます。
【防水テープを貼る手順】
- 破損している瓦を一度取り外します。
- 瓦の下地部分に破損や腐食がないか確認をしましょう。もしも破損・腐食箇所があれば、防水シートなどを用いて応急処置を行って下さい。
- 防水テープを瓦に貼る前に、用意した雑巾で瓦の表面と割れた間の部分を綺麗にします。外にずっと出されたままの瓦は、その表面や割れ目に細かなゴミや汚れが付着しています。それを取り除くことによって、防水テープが粘着しやすい状態にすることができます。
- 割れた瓦の繋ぎ目に沿って、下から上へと防水テープを貼り付けていきます。この時、隙間ができないように、防水テープを瓦にぴったりと強くくっつくようにしておかなければなりません。
- 1度目に貼り付けた防水テープを補強するように、3回ほど防水テープの重ね貼りをしてください。防水テープが瓦の色と違っている場合、テープを瓦と同じ色のスプレーで着色してもOKです。
- 修理ができた瓦を、元あった位置に戻せば補修作業は完了です。
防水テープは比較的簡単に行える修理方法ですが、防水の強度はそれほど高いわけではありません。そのため、しばらくの日数が経過すると防水テープが浮いたり剥がれたりして同じ箇所から雨漏りが再発することが考えられます。
特に、修理作業に慣れていない人がこの修理方法を行った場合、雨漏りの再発リスクはさらに高まります。ですので、ここで行うのは一時的な補修として考えておくのがいいでしょう。
瓦パテを使う方法
もう一つの補修方法が、パテを使って割れた瓦を修復する方法です。
【準備物】
- 瓦用のパテ
- ヘラ
- 雑巾×2
- アルミニウムもしくはガルバニウムの鋼板
- ハサミ
【パテを使って瓦を修復する手順】
- 作業を開始する前に、破損した瓦を取り除いてその下地に腐食や破損が無いか確認をしてください。瓦に付着した汚れは雑巾で拭き取り、乾燥させるところまで行いましょう。
- 破損した割れ目の部分にパテを塗ります。ズレが無いように押さえつけながら瓦の隙間を埋めるようにしましょう。
- この時に圧力によってパテが隙間から出てきますので、ヘラを使って綺麗にそれを削ぎ取ります。
- はみ出した細かいパテは、もう一つ用意した雑巾を使って繊細に拭き取っていってください。
- アルミニウム鋼板もしくはガルバニウム鋼板を瓦よりもやや大き目にハサミで切り取ります。
- 切り取った鋼板を、瓦にピッタリと合う形状に変形させ、下支えするための補強具として元々瓦があった場所におきましょう。
- 鋼板を下に敷くようにして補修した瓦を取り付ければ、補修作業は完了です。
瓦パテを使用した修理方法は、パテを塗ったり余分なパテを削ぎ落としたりする部分や補強具である鋼板を加工する際に繊細な技術が必要となります。
細かな作業が苦手な方は、これらの作業で苦戦するかもしれません。また、補修した瓦の強度は通常の瓦よりもかなり弱いため、割れやすく再び破損してしまう可能性が高いことも気に留めておきましょう。
瓦屋根の補修は業者に依頼するのがオススメ!その理由とは
雨漏りは早い段階で専門業者に修理を依頼するのがオススメです。屋根の構造や瓦の種類を熟知しなければならないこと、素人判断で雨漏りの症状を判断することに大きなリスクがある理由を解説していきます。
瓦屋根は住宅によって設置方法が異なる
瓦屋根は瓦の下に敷かれている防水材や構造上の違い、そして瓦の原料になっている素材に違いがあります。そしてそれらの違いによって、一番適した瓦の設置方法があります。 雨漏り対策として瓦屋根の修理をするならば、その住宅の瓦屋根に最適な方法で瓦を設置することが求められます。
まず瓦屋根の主要な構造であるのが、引き掛け桟瓦葺き工法と土葺き工法の2つです。
引き掛け桟瓦葺き工法は、現在の瓦屋根の住宅で一般的に用いられている工法です。この工法は、屋根の基礎となる野地板の上にルーフィングと呼ばれる防水シートを貼り、その上に瓦を引っ掛けるための桟木を設置します。そして桟木の上に瓦を置くことで、屋根を構成しています。
土葺き工法は、主に昭和の始め頃まで瓦葺き屋根の主流であった構造です。この工法は、野地板の上に葺き土と呼ばれる粘着性のある土を置き、それに瓦をくっつけるような形で構成されています。葺き土は時間の経過とともに土の量が減ることや、土の重さが建物全体に負荷をかけること、そして大きな地震があるなどした時に瓦が落ちやすいというデメリットが知られています。
次に、瓦の素材の違いについてです。瓦の素材には幾つもの種類がありますが、一般の住宅で使用されている有名なものとしては、粘土瓦・金属瓦・セメント瓦の3つがあります。
粘土瓦は本瓦とも言われる瓦で、粘土を焼いて作られます。単純に粘土を素焼きして作られるものや、釉薬を塗って美しさを出す釉薬瓦、素焼きされた瓦を燻して作る いぶし瓦があります。この中でも、特に釉薬瓦は耐久性に強く劣化もしにくいのが特徴的です。
金属瓦はステンレスやガルバニウム、チタンなどが素材として用いられたものです。金属製の瓦の特徴としては、軽いこと、寒さに強いことが挙げられます。その中でも最近登場したチタン性の金属瓦は、耐久性や耐候性にも優れていることが知られています。
セメント瓦は、セメントを主な原料として、その他の原料を混ぜ合わせることで作られる瓦です。この種類の瓦は割れやすいというデメリットがある他、健康に悪影響をもたらすことで知られるアスベストが原料の一部に使用されているという問題点があります。
以上のように、瓦屋根には構造の違いと瓦の種類の違いがあります。
この違いにより、屋根の構造を理解した上で瓦の種類を意識しながら修理作業を行うのは、専門的な知識が無ければ難しいです。それに加えて、瓦の種類によってはアスベストなどによる健康被害を受けるリスクも伴います。
専門業者に作業を依頼することがオススメなのは、自分の住宅に一番ぴったりな瓦の補修を、安心安全に行ってくれるということがその理由の一つになります。
雨漏りを自己判断で放置してはいけない理由
瓦屋根の補修を業者に依頼するべきもう一つの理由として、雨漏りを自己判断によって放置することの危険性が挙げられます。
もしも雨漏りを放っておくと、家の老朽化が加速したり、シロアリが発生してしまったり、さらに健康被害にまで発展するかもしれません。
雨漏りが家の老朽化を加速させる一番の理由であるのが、建材の腐敗です。一般的に瓦屋根は木造住宅に取り入れられていることが多く、そこに使われている木材は雨漏りから来る湿りによって細菌が繁殖し、腐敗しやすくなります。
木を腐敗させる細菌は、ネズミなどの動物が知らない内に運んでくるため、雨漏りの箇所がいつその細菌に感染するか予測がつきません。
次に、雨漏りとシロアリの関係についてです。シロアリが水分を求めて、湿気のある木材の場所に寄り付こうとします。そのため、雨漏りによる木材が濡れた状態を長期間放置するほどに、シロアリが寄り付くリスクを高めてしまうのです。
シロアリの主食は木材であるため、水に濡れた家の木材は水分補給と食事を同時に行えるメインディッシュと同じようなものになります。シロアリを呼び寄せないためにも、雨漏りへの早期介入は必須です。
そして雨漏りがもたらす被害の重大なものとして、そこに住む人の健康被害があります。雨漏りで湿った木材には、木材を腐敗させる細菌だけではなく、数多くのカビや細菌が繁殖します。それらのカビや細菌の中には、人体に危険な作用をもたらす毒素や胞子を巻き散らかすことがあるのです。これらの影響によって、カビアレルギーや肺炎などの感染症を引き起こし、衛生環境を著しく悪くします。
これらの影響によって、カビアレルギーや肺炎などの感染症を引き起こし、衛生環境を著しく悪くします。
雨漏りを放置しておくと、家の腐敗やシロアリによる侵食によって家の耐久性や寿命を短くすることになります。さらに健康被害によって、そこに住む人々の寿命も短くしてしまう可能性すらあるほどです。
このような多様な被害に合わないためにも、雨漏りの自己判断はやめて、専門業者に適切な判断をしてもらいましょう。そして修復が必要となれば、即座に行ってもらうことをオススメします。
損をしないために知っておきたい!雨漏り修理業者の選び方
雨漏り修理業者を上手に選ぶためには大切な4つのポイントがあります。
- 被害状況の把握
- 屋根修理に特化した専門業者の選定
- 電話連絡時の業者の見極め
- 火災保険の利用
このように、段階を踏んだ対応を行っていくべきです。上記に挙げた各項目について、損をしないための業者選びと保険の利用について、細かく解説していきます。
まずは被害状況をチェック!
修理業者を選んで連絡をする前に、まずは雨漏りがしている部分の被害状況をチェックしましょう。このチェックを行う理由は、雨漏りの程度や状況を適切に修理業者に伝えて、確実な作業を行ってもらうためです。
被害状況について最初にチェックするべきなのが、雨漏りの発生時期です。
雨漏りは発生してから対処するまでの期間によって、修理する箇所が違ってくることがあります。いつぐらいから雨漏りがしていることに気がついたのか、記憶を辿るなどしながらその発生時期を特定してください。
次にチェックするべきなのが、雨漏りが発生する際の天候の具合です。
少量の雨でも天井の特定の部分が濡れるようであれば、瓦屋根の破損は大きなものになっている可能性があります。それとは違って、晴天でも天井が濡れる場合、雨漏り意外にその天井濡れの原因があるかもしれません。業者にこれらの分析をしてもらうためにも、天候と雨漏りについて、できるだけ細かく因果関係を見つけておきましょう。
さらに、上記のチェックポイントに加えて、雨漏り部分の見た目や悪臭の有無にも着目してチェックしてください。
雨漏りをしている部分の建築材が白色や茶褐色などになっていると、それは木材腐朽菌が繁殖している可能性があります。また色がついていなくても、悪臭がするようであればその他のカビが繁殖しているかもしれません。
以上の点を基本として、その他にも雨漏りのことで気がつくことがあれば、もれなくメモしておくことをオススメします。情報が多いほど、修理業者へ伝えられる内容も詳細になるので、修理作業への取り掛かりもスムーズに行いやすくなります。
業者選びの上で注意するべきポイント
雨漏りの被害の程度が把握できれば、実際に作業を依頼する業者を選ぶ段階に入ります。この業者選びの段階は、慎重に注意するべきポイントを押さえながら行っていきましょう。
瓦屋根を修理するにあたってまず注意するべきなのが、その作業を屋根業者ではなく屋根修理業者にするという点です。
屋根業者は屋根の取り付けがメインの業態であるため、屋根修理業者のように修理に特化はしていません。屋根業者も雨漏りへ対策の一貫とした屋根修理を行ってはくれますが、修理業者に比べると、適切な作業を行えないケースが多くあります。
次に注意するべきポイントとして、その業者が行っている修理方法のバリエーションの面に着目することがあります。
雨漏り修理の技術が低い業者は、所持している修理方法の数が少ないです。瓦屋根は種類によって、雨漏り修理の方法も多種多様となります。それに合わせられるような、技術のバリエーションを持った業者を見極めて選ぶようにしましょう。
三つ目のポイントとしては、有資格者の有無です。
屋根は家の中の一部であることから、建築士や屋根外装調査士などの住居に関する資格保有者が対応することで、根拠のある知識と技術で対処することができます。業者の中には有資格者が少ないものもあるので、より高度な知識と技術を持つ業者を選ぶためには、有資格者の人数を把握することも欠かせません。
以上の注意点を踏まえた上で、修理対応エリアに自宅が含まれている業者さんをリサーチしてください。そして作業依頼を検討する業者を絞っていきましょう。
電話で優良業者か見極める方法
事前の選別によって業者をある程度絞ることができれば、実際に電話連絡をして屋根修理に関する相談を行いましょう。
そしてこの電話連絡や相談の際にも気を抜かず、その電話をかけた先が優良業者かどうかについて見極めることにも注意を払ってください。
優良業者であるポイントとしてまず該当するのが、電話対応をしてくれたスタッフの接遇が良好であるという点です。丁寧な言葉遣いでの応対をしてくれれば、それだけその業者の人材教育が行き届いていることの証明となります。そのため、実際に雨漏りに関する屋根の修理を行ってくれることについても、信頼度が増します。
電話をした時に、今自分が疑問に思っていることを質問してみるのも、優良業者を見分ける上では便利な方法です。優良業者であれば、こちらが疑問に思っている点について分かりやすく、懇切丁寧に説明をしてくれます。質問をした時に、安心できるような十分な返答をしてくれれば、優良業者である確率はグンと上がるでしょう。
老朽化が原因ではない場合、火災保険が使えるかも!
いざ修理をしてくれる業者に作業を依頼する段階に入れば、次に気にかかるのが費用の面ですよね。その修理費用の部分で、雨漏りの原因が老朽化ではないという場合、火災保険が適用されるかもしれないということです。
火災保険の種類によっては、火災からの被害だけではなく自然災害からの被害が含まれていることがあります。暴風雨による瓦屋根の破損や落雷による屋根の損壊などであれば、火災保険がおりる対象となります。ですので費用を考える前に、どのような火災保険に加入しているのか見直して、屋根の修理がそれに該当するかどうかを確認してください。
火災保険利用の流れとしては、それに該当するようであれば、まず加入している保険会社に自分で連絡をしましょう。その後、保険会社の職員と修理業者の職員が、相互に屋根の破損箇所を確認してくれます。その後、自然災害による雨漏りだと認められれば、修理費用の保険負担が可能となります。場合によっては修理費用の全額を保険でカバーできることもあるので、火災保険はフルに活用しましょう。
まとめ
瓦屋根の雨漏りへの対策について、以下に簡単にまとめました。
- 瓦屋根の雨漏りは、原因が特定できていれば自分でも応急処置ができる。
- 応急処置の主な方法として、防水テープを使う方法と瓦パテを使う方法がある。
- 瓦屋根には構造の違いと、瓦の素材の違いがあり、違いに応じた修理は専門的な知識が必要。
- 雨漏りを自己判断で放置すると、老朽化・シロアリの侵食・カビによる健康被害のリスクがある。
- 瓦屋根の確実な修理をするならば、専門業者への作業依頼がオススメ。
- 専門業者は信頼性の高さや対応の丁寧さを確認し、優良業者を見極めるようにする。
- 自然災害による雨漏りは修理費用に火災保険が使えるかもしれないので、それを有効活用してお得に屋根の修理を行う。
このようなポイントを意識して、応急処置や修理に関する業者への依頼など、適切な対応を行ってくださいね。