「換気扇から水が入り込んできた!原因は一体何?」
「雨が降る度に、換気扇の周辺が水浸しになる…。」
このような症状でお悩みではないですか? もしかすると、これらのトラブルが起こるのは、換気扇が雨漏りをしているからかもしれません。
では、なぜ換気扇から雨漏りが起こるのでしょうか。その様々な発生原因と、原因に応じた適切な対策方法についてまとめてみましたので、詳しく解説していきたいと思います。
目次
換気扇からの雨漏りの原因とその対策方法
換気扇で起こる雨漏りは、住まわれている家屋の築年数によって原因と対策方法が変わってきます。その原因や対策方法について、新築の家と築年数が古い家に分けて見ていきましょう。
新築(築年数10年以下)の家屋の場合
築年数が10年以下の新築の家であれば、換気扇からの雨漏りの原因は
- 換気扇の屋外フードが取り付けられていない
- 防水シートに施工不良がある
以上の2点が考えられます。それぞれ、詳しく見ていきましょう。
換気扇の屋外フードが取り付けられていない
換気扇には、室内の空気を排出する家屋の壁側に取り付けられる、屋外フードというカバーがあります。
新築の家で換気扇からの雨漏りが起こっている場合、この屋外フードが取り付けられていないかもしれません。この屋外フードが無いと、雨を防ぐことができないので、換気した空気の排出口から雨が降り込んでくる可能性があります。
屋外フードが無いことによる換気扇からの雨漏りは、新たに屋外フードを取り付ければ、解決することが可能です。自分で換気扇に合う屋外フードを用意し、取り付けの施工を行いましょう。
まず屋外フードを用意する際には、その種類の選択に注意してください。大まかに種類を分けると、ベントキャップやパイプフード(丸型/深型)、ウェザーカバータイプがあります。
ベントキャップはパイプフードは、ダクトの直径が短い排気口によく使われる傾向です。一方、ウェザーカバータイプは、排気口を広く覆う形状なので、直径が長い排気口や壁に直接取り付けるプロペラ型の換気扇によく用いられます。
換気扇の排気口に合った屋外フードが用意できれば、それを取り付けていきましょう。
屋外フードの取り付けは、外壁に接着させる前に、その裏面へ防水のためのコーキングを施します。ただし、ベントキャップやパイプフードなどは裏面の下部分は20cmほどコーキングを行わず、水抜き用の穴を作らなければいけないため、その点に注意が必要です。
そしてフードをネジで固定し、さらにフードと壁の間やネジ固定した部分にコーキングを施します。このコーキングを行うことで、細かな隙間からの雨水の侵入を防ぐことができるのです。
屋外フードの取り付け作業は、コーキングといった技術が必要な工程があります。それに手順がやや複雑ですし、取り付け場所が高所になるなど、個人で取り付けるのが不安だったり難しかったりするかもしれません。そのような場合は、近くの工務店に、取り付けを依頼するのも一つの手段です。
工務店であれば、屋外フードの取り付けに慣れていますので、コーキングなどの難しい作業も全てお任せできます。それに自宅を建てた工務店であれば、依頼もしやすいですし、自宅の状況が分かっている分、取り付け作業の進行もスムーズです。
屋外フードを取り付けることができれば、雨が直接換気扇に当たるのを防げます。これにより、換気扇の排気口からの雨の侵入を解消できるでしょう。
防水シートの施工不良
家屋の外壁の中には、雨が侵入しないように防水シートが施されています。しかし、換気扇の排気口やダクトは防水シートに穴を開けて貫通させているため、その穴の周辺の防水シートは十分貼られずに隙間ができやすいです。その隙間ができた施工不良部分から、雨漏りが発生することが少なくありません。
防水シートに施工不良があると考えられる場合、その調査や修理をするにあたって、外壁自体を取り外して防水シートを直接見る必要があります。しかし、外壁修理等の技術を持たない個人が外壁を取り外 す作業を行うのは、まず不可能です
外壁の防水シートの加工に不備があったならば、自分での対処は諦めて、工務店といった専門の修理業者に作業を依頼してください。
築年数が古い場合
建築されてから10年以上が経過すると、家の至る所に破損や劣化が見られます。それは換気扇周りも例外ではありません。
上記の点を踏まえて、築年数が古い家で換気扇からの雨漏りの原因を考えると、
- 屋外フードが劣化して雨水が降り込んでいる
- 外壁にひび割れができている
- コーキングの劣化
以上の原因が推測できます。こちらもそれぞれ詳しく見ていきましょう。
屋外フードが劣化している
この場合、屋外フードそのものを新しく交換するのが一番手っ取り早い方法です。
交換作業をする前に、新しい屋外フードを調達する必要があります。その場合、今まで使用していた換気扇や屋外フードの基盤を調べておき、それと同じものを調達しておくと交換しやすいです。基盤は、屋外フードに書かれている、製品番号を確認すると簡単に行えるでしょう。
ダクトや排気口の直径は、その換気扇の製品によって違ってくるものです。そのため、適当に屋外フードを用意してしまうと、それのサイズが合わずに取り付けられないということも起こり得ます。
以前使用していた換気扇と同じ規格や基盤の屋外フードであれば、その換気扇の排気口に合わせやすいので便利です。
外壁のヒビ割れ
家の外壁は、経年劣化はもちろん、自然災害や人為的なダメージによって、築年数の経過とともに傷ついていきます。その外壁の傷が蓄積して発生したヒビ割れは、雨漏りの直接的な原因です。
換気扇を取り付けている場所付近の外壁にヒビが入ってしまうと、そこから雨水が侵入してくることがあります。その侵入した雨水が、あたかも換気扇から雨漏りをしているように見えるのです。
それに、後付けで換気扇を増設した家では、それを取り付ける工事の際に外壁に穴を開けています。その穴を開けた部分の施工が不十分な場合も、外壁に隙間やヒビ割れができて、雨漏りの原因となるケースも考えられるでしょう。
築年数が経過した家ほど、このヒビ割れが起こる可能性は高くなります。古い家に住んでおり、換気扇からの雨漏りが発生した場合は、外壁のヒビ割れから雨水が侵入していないかチェックしておきましょう。
これらの症状への一番の対処法としては、外壁を取り替えるのが最適です。この対処法を行うならば、外壁を取り外して内側に再度防水シートを施工し、その上から新しい外壁を張り替える作業となります。外壁の張り替え作業等は難しいため、基本的には専門業者への依頼が必要です。
とりあえず自分で応急処置だけを行いたい場合であれば、防水テープを使う方法があります。外壁に使用できる市販の防水テープを購入し、それをヒビ割れ部分に貼り付けていきましょう。
防水テープでの処置を行う注意点として、雨で外壁が濡れている日には行ってはいけません。これは雨によって、防水テープの粘着度が弱くなるからです。必ず雨が止んで、外壁が乾いてから施工を行ってください。
コーキングの劣化
換気扇の取り付け工事には、雨水侵入防止として、壁と換気扇との隙間にコーキングが施されます。しかし、このコーキングは経年劣化によって朽ちていくため、古いコーキングは剥がれたり隙間ができたりすることが考えられるでしょう。
築年数が古い家屋になると、換気扇の取り付け時に行ったコーキング施工も劣化してきているため、そこから雨水が入り込みやすくなります。それが原因となって、換気扇の雨漏りへと発展してしまうのです。
コーキングが劣化してしまった場合は、コーキングの打ち直しを行う必要があります。
応急処置的なコーキング施工であれば、劣化した部分にコーキング剤を上塗りする形での、増し打ち施工を行うべきでしょう。しかし、これでは根本的な対策にはならず、短期間で再び雨漏りが再発する可能性があります。
根本的にコーキング部分を修復するのであれば、古いコーキングを除去し、そこに新たなコーキングを打ち替えていく作業が必要です。カッターなどを使って、劣化したコーキングを綺麗に取り去ります。そして、その上に下地剤を塗布し、コーキング剤を注入していきましょう。
ただし、新しくコーキングを打ち替える場合、その周辺の外壁を張り替えなければならないケースも多いです。そうなると作業はかなり難しくなるため、コーキングの打ち替え作業についても、工務店などの専門業者に依頼して行って貰うことをお勧めします。
もしかすると「水漏れ」をしているのかも…?
雨が降り込むことによって起こる換気扇からの雨漏りは、当然ながら雨が降っている時にしか起こらないものです。しかし、雨が降っていないにも関わらず、換気扇から雨漏りのように水滴が落ちてくるという、不思議な現象が起こることもあります。
このような、外が晴れなのに換気扇付近で水滴が落ちている場合、雨漏りではなくダクトからの水漏れである可能性を疑いましょう。
レンジフードタイプなど、天井に取り付けられているような換気扇は、ダクトを通じて外に排気を行うものが多いです。そしてこの排気を行うダクトは、結露によって水分が発生しやすいという特徴があります。
なぜダクトで結露が発生する?
ダクトで結露が発生する原因は、ダクトと室内から排気される空気の温度差です。
結露は、湿気を含む暖かい空気が冷やされることで発生しやすいものです。例えば冬の寒い時期に、ダクトが外気温によって冷やされていると仮定しましょう。その環境下で換気扇を作動すると、室内の湿気を含んだ暖かい空気が冷えたダクト内に流れ込み、冷やされて結露が発生することとなります。
特に換気扇のダクトは、外気温に影響を受けやすい金属製のものも多いです。その部分も、結露が起こりやすい要因の一つとして考えられるでしょう。
結露によって発生した水分が徐々に溜まっていくと、水漏れを起こすだけの量となります。それが換気扇から水滴となって落ち、まるで雨漏りをしているかのように見えるのです。
ダクトからの漏水の対策として、一番簡単にできるのが十分な換気でしょう。
屋内の空気に湿気が多く含まれているほど、温度変化が起こった時に発生する結露の水分量は多くなります。ですので、屋内の空気の湿度を高くしないように、十分な換気を心がけてください。そうすると、結露によって発生する水分量を少なくできます。
その他、ダクトの構造を変えることでも、水漏れを解消できるかもしれません。これは、ダクトそのものを工事して、結露が発生してもそれらが屋外に排出されるような傾斜の構造に変えるという方法です。
ただし、この方法は個人で行うのは難しいですので、工務店などの住宅工事の専門家とよく相談をしながら対応しましょう。
まとめ
今回は換気扇からの雨漏りの、原因とその対策についてまとめてみました。
原因不明のような換気扇からも雨漏りも、よく見てみると、明確な原因があります。「原因が分からないから…」と言って雨漏りを放っておいたままにするのではなく、原因を判明させて、早急な対処を行うようにしましょう。対処が早いほど、雨漏りや漏水による被害が大きくなるのを防ぐことができます。
この記事のポイントとして押さえて欲しいのは、以下の3点です。
- 換気扇からの雨漏りは、築年数によって原因が変わる。
- 雨漏りを防ぐ方法は自分でできないものも多いため、無理をせずに専門業者に作業依頼する。
- 晴れた日にも換気扇から水漏れがあれば、ダクトで起こった結露による漏水が原因。
これらのポイントを押さえた上で、雨漏りをしっかり対処するようにしましょう!