雨漏りは家の劣化を進める大敵です。雨漏りの原因箇所といえば天井や屋根から起こるイメージがありますよね。しかし、それ以外の場所からも雨漏りすることが意外と多いんです。
どこかから雨漏りしていることに早く気がつくことができれば、被害の拡大を防げるでしょう。
ここでは、雨漏りしやすい箇所のひとつである外壁に焦点を当ててみたいと思います。外壁の雨漏りが原因や、修理、雨漏り対策について詳しく解説していきます。
目次
意外と多い外壁からの雨漏り…原因は?
屋根から雨漏りした場合、水滴が床に落ちてきます。もしくは、天井にシミができます。しかも、屋根からの雨水は垂直に落ちますので、雨漏りに気が付くことができるのです。
ところが、外壁からの雨漏りは違います。外壁から侵入してきた雨漏りは、防水紙や断熱材が水分を吸収します。
そのため、壁に雨染みができにくいのです。その影響で、雨漏りの発見が遅れることがあります。ある意味、屋根や天井からの雨漏りよりも危険です。
まずは、外壁の雨漏り原因について理解しておきましょう。
①壁剤の劣化
外壁からの雨漏り原因で多いのが、壁剤の劣化です。外壁材はその種類によって強度や耐用年数が異なります。
耐用年数が短い素材ほど、劣化が早くすすむのです。たとえば、外壁のひび割れ、欠け、シーリングの剥がれ、割れなどが起こりやすくなります。
ひび割れが起こりやすい素材は、モルタルの外壁です。外壁の表面に出てくるひび割れのことを、クラックとも呼びます。
そして、髪の毛のような軽度のひび割れのことを、ヘアークラックと呼んでいます。ヘアークラック程度なら、すぐに雨漏りや大きな被害が及ぶ危険性は少ないでしょう。
しかし、ヘアークラックをそのまま放置しておくとクラックが拡大する危険性大です。クラックやヘアークラックをみつけたら、早めに補修することをおすすめします。
外壁とシーリング材の間はコーキングで埋められています。このコーキングが劣化してくると、隙間ができる(剥離)するようになります。
その結果、そこから雨水が侵入するようになるのです。コーキングの劣化はサイディングやALCに多くみられます。
コーキングは6〜10年程度の寿命しかありません。外壁を塗り直すときにいは、コーキングも塗り直すのがおすすめです。
②施工不良
築年数が浅い住宅で雨漏りが起こった場合、それは施工不良の可能性が考えられます。施工不良と一口にいっても、いくつかのケースが考えられます。
たとえば、換気扇ダクトから雨漏りしていた事例もあります。換気扇のダクト取付位置と、サイディングの継ぎ目部分に適切な処理がされていなかったのです。
他にも、太陽光パネル設置が原因で外壁から雨漏りしていた事例もあります。太陽光パネルを取り付けるときに、外壁に穴を開けたのです。穴はパテで埋めたのですが、その部分から雨漏りを起こすようになりました。
窓の雨仕舞が適切に行われていなかったケースも報告されています。窓を取り付ける際に、建物内部に雨水が侵入しないように、処理をするのが一般的です。しかし、適切に施工されていないと、雨水が侵入してきてしまいます。
新築でも、外壁から雨水が侵入することがあります。新築だからといって安心せずに、しっかり点検してもらうことをおすすめします。
台風・大雨のときだけ雨漏りする?
小雨程度であれば雨漏りは確認できなくても、台風のときだけ雨漏りすることがあります。それは、通常の雨では雨漏りに気が付かないからです。
外壁からも雨漏りは、防水紙や断熱材に吸収されます。そのため、雨染みができにくいのです。それが、雨漏り発見を遅らせる原因です。
その点、台風や大雨のときは、雨の量も多く横殴りの強い風が吹き付けます。そのような雨風を受けると、雨水も家の中に入りやすくなります。
その結果、台風の時だけ雨漏りしていると思うのです。しかし、実際は少量の雨でも雨漏りが起こっていることがほとんどです。
外壁が劣化しているサインですので、早めに外壁をチェックしましょう。
放置は厳禁!自分でできる応急処置の方法
雨漏りを甘くみてはいけません。そのまま放置しておくと家の劣化がすすみ大変なことになります。
また、素人が自分で修理するのも危険です。さらに、雨漏りを悪化させることにつながるからです。
雨漏り修理は専門業者に依頼するのがおすすめです。しかし、被害を拡大させないためにも、応急処置をしておきましょう。
原因がわからない場合は、ブルーシートを使う
雨漏り応急処置の方法にもいろいろあります。雨漏り原因がわからないときにおすすめしたいのが、ブルーシートを使ったやり方です。
準備するものは、大きめのブルーシート、テープです。雨漏りの侵入経路を探すのは困難です。それは、プロでも難しいからです。
そこで、雨漏りが起こっているだろう箇所をある程度特定し、その部分をブルーシートで覆ってしまいましょう。
ブルーシートを被ったら、テープで固定します。テープは防水テープがおすすめです。無理に紐やロープを使ってブルーシートを固定するのも危険です。それは、家を傷つける危険性があるからです。
原因が判明している場合は、コーキングを行う
コーキングの劣化が原因だとわかっているときは、コーキング剤で応急処置しましょう。コーキング剤にもいろいろな種類があります。外壁に使用するときは、防水性があること、変性シリコンが最適です。
コーキング剤を使ってコーキングが浮いているところを埋めましょう。雨風が強いときは、処置をする箇所が濡れやすくなるでしょう。
濡れてしまうとコーキング剤が上手く定着しません。そこで、誰かに手伝ってもらったほうがスムーズに作業を行いやすくなります。
自分でできる応急処置について、詳しくはこちらの記事でわかりやすく紹介しています。あわせてチェックしてみてくださいね。
「【DIY初心者がやってみた】自分でできる雨漏り応急処置&対策グッズ紹介!」へ
壁の雨漏り修理、相場はいくら?
外壁からの雨漏りは、専門業者に修理を依頼しましょう。その際気になってくるのが、費用です。ここでは、費用修理の相場について、考えられるパターン別に紹介していきます。
外壁のちょっとしたひび割れ、シーリングの劣化が原因の場合、修理も簡単なことがほとんどです。
約10万円が費用相場になるでしょう。しかし、大がかりな修理が必要となる場合は、修理費用が100万円単位でかかってきます。
たとえば、防水紙の劣化や不具合で雨漏りが起こっていた場合、修理費用や約180万円です。構造上の不具合で雨漏りが起こった場合は、修理費用や約200万円が相場です。重ね塗りが必要であった場合、費用が高くなりやすいです。
部分的な修理だけでなく、複数の修理箇所が必要になると、費用も高くなります。外壁の状況によって、修理の必要性や必要箇所が変わってきます。
正確に修理費用を出してもらうためにも、業者に現地をみてもらうといいでしょう。
雨漏りの原因は複数である可能性が高い
雨漏りの原因ですが、一つだけとは限りません。複数の原因が積み重なって起こることもあります。
雨漏り原因を特定するためには、複数の業者から見積もりを取ることです。実は、雨漏りの原因を特定するのは、専門家でも困難です。
また、適切に修理してもらえないと雨漏りが再発する可能性も高くなるでしょう。複数の業者にみてもらうことで、新たな雨漏り原因がみつかることもあります。雨漏りは、根本的に解決しないと、大変です。
家が雨水で浸食されてしまうと、劣化が進みます。それが、家の価値を下げることにもつながります。
早く雨漏りに気が付き、早い段階で修理することが非常に重要です。そのためにも、しっかりと原因を特定しましょう。
外壁のメンテナンスは必須!
外壁は雨や風、紫外線と過酷な環境にさらされています。そのため、劣化も進みやすいのです。
外壁の寿命は使われている素材や塗料によって異なります。外壁に使われている塗料ですが、その種類によって大きく耐用年数が変わります。
たとえば、アクリル系の塗料の耐用年数は4〜7年、ウレタン系の塗料は6〜10年、シリコン系の塗料は8〜15年、光触媒系の塗料は10〜15年だと言われています。
ただし、これはあくまでも目安です。一般的な耐用年数よりも早く劣化が進むこともあるのです。
適切なメンテナンスを行わないと、外壁の劣化が早くすすむようになります。その結果、雨漏りや断熱性の低下などが起こりやすくなります。
被害が起こってからだと、リフォームや補修費用が高くなることがあります。そのため、メンテナンス費用を節約しようと思ってはいけません。
快適に、安全に暮らすためにはメンテナンス費用は必須です。それは、外壁の劣化により受けるデメリットが大きいからです。
まず、外壁の劣化は建物の寿命を縮めます。外壁は外部刺激から家を守る大切な役割があります。
その機能を果たせなくなると、建物の強度が落ちます。また、アレルギーリスクを高めてしまいます。外壁の劣化により雨水が入り込むと、家の中がカビっぽくなります。その影響で、アレルギーが起こりやすくなるのです。
また、外壁の劣化は建物の美観を損ないます。クラックやカビ、苔などが生えていると不衛生に感じられます。
外壁の劣化を長く放置しておくと何等かの悪影響が出てきます。その結果、修理費用が高くつくでしょう。小まめにメンテナンスをしておくと、被害の拡大を防げるからです。
外壁が劣化する前に塗料を塗り直して、対策を取ることが大切です。外壁のメンテナンスにかかる費用を抑えるためには、塗料の耐用年数や費用を比べてみることです。
一般的に耐用年数の長い塗料は、価格も高めです。しかし、長い期間で見てみるとその差がはっきりとわかります。
短い耐用年数の塗料は価格もお手頃です。しかし、短いサイクルで塗り直しをする必要があります。
その点、耐用年数の長い塗料は塗り替えのスパンも長くなります。その結果、外壁メンテナンスにかかるコストを抑えることができるようになります。
また、外壁を塗り直すときは塗料以外の費用がかかります。それは、人件費です。足場代や職人さんに支払う費用が想像以上に高くなります。
メンテナンスコストを計算するときは、それらすべての費用を含んで比較するといいでしょう。
壁材劣化の目安
壁材の劣化は素人でも見分けることができるのでしょうか。壁材劣化を見分けるコツを知っておくと、役立ちます。
まず、注意してみておきたいのがチョーキング現象です。画像のように、外壁に手を振れたときに、チョークのような白い粉が手に付くことがあります。
それは、外壁塗料が劣化したサインです。外壁塗料に含まれている膜が、紫外線などの刺激に侵されると、塗料に含まれる顔料が劣化し、粉として外壁に付着するようになります。
このチョーク現象が見られると、外壁の保護機能が失われていることを意味します。チョーキング現象が起こったら、再塗装するのが一番の対策です。
外壁塗膜の膨れや剥がれも劣化サインのひとつです。そのような現象が起こっている場合、塗膜が劣化し、外部刺激から家を保護できなくなっています。
大変危険な状態で早急な修理が必要です。不具合が起こっている箇所をすぐに剥がして、塗装を行いましょう。
苔や藻が生えている場合も、劣化サインのひとつです。北側など日当たりが悪い部分は、苔やカビ、藻が生えやすくなります。
苔や藻が長期間壁に付着していると、外壁の表面が水をはじく機能が低下します。水をはじけなくなった外壁は、逆に水分をつかみやすくなります。
その結果、どんどん苔や藻が繁殖するようになります。
苔や藻が大量発生しているときは、まずは苔や藻をきれいに落とします。高圧洗浄機などを使うときれいに落とせるでしょう。
そして、外壁塗装を行います。また、苔や藻が生えやすい部分は、日当たりの悪い場所です。
外壁塗装を行っても再度、苔や藻が発生してしまうでしょう。そこで、藻や苔が生えやすい部分のみ、藻や苔に強い外壁塗装を選ぶことをおすすめします。
まとめ
外壁から雨漏りが起こることも十分ありえます。
- 新築住宅で雨漏りが起こった場合、施工不良の可能性が高いです。家を建ててもらったハウスメーカーや工務店に調査を依頼しましょう。
- 雨漏りは基本的に業者に修理してもらうことです。しかし、そのまま放っておくと被害の拡大につながってしまいますので、ブルーシートなどで応急処置しましょう。
- 外壁修理はその状況によって相場が大きく異なります。部分的な修理であれば10万円〜。大がかりな修理は100万円単位の修理費用がかかります。早めに修理をすることで、修理費用を抑えることができます。
- 外壁が劣化することで受けるデメリットは大きいのです。被害が起こる前に、適切にメンテナンスしましょう。
- 外壁劣化を示すサインはいくつかあります。早めに劣化に気が付くためにも、劣化サインについて知っておきましょう。