雨漏りを発見したら、できれば見なかったことにしたいですよね。でも木造住宅の場合は特に雨漏りに弱そうだし、放置すると大変なことになるのでは…と不安になってしまうのは当然のことです。
「雨漏りしてるんだけど、どうして?どうしたらいい?」、「木造建築って雨漏りしやすいの?」、「木造と鉄骨住宅、雨漏りの耐性が強いのはどっち?」などといった疑問にお答えします。
今回は「木造住宅で雨漏りが発生した場合の確認すべき原因と対策法」についてまとめてみました。
目次
木造住宅で雨漏りする原因とは?
木造住宅で雨漏りした場合、屋根、外壁、ベランダが原因であることが多いため、まずはそれらの場所から確認しましょう。
それぞれ木造住宅ならではの雨漏りの原因があります。この章では雨漏りの原因について各々紹介していきます。
屋根
構造部材の全てに言えることですが、屋根材も当然のごとく劣化します。
屋根から雨漏りするケースとして、屋根材の劣化、板金の劣化、天窓(トップライト)周りが原因であることが多いと考えられています。
屋根材の劣化
最近の木造住宅で使用されることの多いスレート屋根は経年劣化することによってひび割れし、そこから雨漏りすることがあります。特に古いスレートは水を吸収して湿潤状態になるため、最終的に水が染みこんでしまいます。瓦も経年劣化によって割れやすくなりますし、トタン屋根であれば錆びが原因で穴が開いてしまうことがあります。
通常であれば屋根材の下にある防水シートで雨漏りを防ぐことができますが、そのような状態でさらに防水シートが劣化すると、雨漏りを塞ぎきれなくなります。
板金の劣化
屋根は形が単純であればあるほど雨漏りしにくく、複雑であればあるほど雨漏りしやすくなります。板金は屋根どうしや屋根と壁のつなぎ目など、屋根の中でも雨漏りしやすい位置に取り付けられることが多く、この板金が錆びたり変形したりすることで穴が開き雨漏りしてしまいます。板金はじわじわとゆっくり劣化が進むため、雨漏りもゆっくりと進行することが多いという特徴があります。
天窓(トップライト)周り
天窓周囲のパッキンの劣化による雨漏りはよくあることです。他にも枯れ葉や鳥の糞、巣などのゴミが溜まることで天窓周辺の水はけが悪くなり、雨漏りしてしまうこともあります。また天窓自体の木枠が腐食したりすることによっても、雨漏りする確率は高まります。
窓枠(サッシ)/外壁
雨漏りと言えば屋根からというイメージが強いかもしれませんが、実は外壁が原因で雨漏りするというケースは少なくありません。また窓枠(サッシ)も経年劣化や施工不良などにより雨漏りしやすい場所の1つです。
コーキングの劣化
窓枠から雨漏りしている場合は、コーキングの劣化が原因であることが殆どです。
窓を建物にはめるときには必ず隙間ができます。この隙間を埋めるのがコーキングです。コーキングは雨風や紫外線などによって比較的劣化しやすい部材なので、せいぜい5~10年前の寿命であると考えた方がよいでしょう。
また木造住宅では外壁にパネルを貼り合わせるサイディング壁がよく採用されますが、このときパネルとパネルの継ぎ目には必ずコーキングが施されます。サイディング壁そのものよりもコーキング部分が先に傷み始め、そこから雨漏りに繋がってしまうことがあります。
外壁のヒビ割れ
横殴りの雨が降ると雨漏りがするという場合は、外壁のヒビ割れを疑ってみた方がよいでしょう。木造ではモルタルで外壁が仕上げられることも多いのですが、モルタル造りはヒビ割れしやすく雨漏りが起こりやすい材質であるため注意が必要です。
ベランダ
ベランダは吹きさらしの状態であることが多く、出入りが多いため最も傷みやすい場所の1つです。物置や鉢植えなどを置いている場所はより傷みやすくなります。
木造住宅の場合は昔から水を逃がすという方法が取られていますが、その処理がうまくいかない場合はたとえ新築であっても雨漏りすることがあります。
ベランダ排水口の詰まり
ベランダには枯れ葉やホコリ、鳥の糞や虫の死骸などのゴミが溜まりやすく、掃除をしないままでいると排水口にゴミが詰まり、雨水が流れなくなってしまうことがあります。そのままさらに放置してしまうと、雨漏りに繋がってしまうことがあります。
そのためベランダの排水口を掃除したら雨漏りが解決してしまったというケースも珍しくありません。
床のめくれ・ふくれ(防水加工の劣化)
ベランダは常に雨風や紫外線などで傷み続けている状態なので、ベランダの床の防水加工は徐々に劣化していきます。特に物置や鉢植えなどを置いている場所は床への負担が大きくなるため、劣化も早まります。その結果、床のめくれやふくれ、ひび割れや剥がれといった症状が起きます。
外壁のヒビ割れ
ベランダと外壁の境目は特にヒビ割れが起こりやすい場所です。通常ベランダは排水口に向かって緩やかな勾配や溝があり、雨水はそこへと流れていきますが、排水口が詰まっていたりベランダの床に歪みがあって雨水の流れが悪くなったりすると、外壁部分のヒビ周辺から雨漏りすることがあります。
木造住宅で雨漏りしたら放置はNG!
木造住宅で雨漏りすると、どんなリスクが待ち受けているかということは気になるところですよね。
- 1つ目のリスクとして、雨漏りして湿った木材はやがて腐ってしまうということが挙げられます。木材が腐ってしまうと構造躯体の柱や梁がボロボロになってしまうため、住宅そのものの強度が下がってしまいます。
- 2つ目に、シロアリが発生しやすくなるリスクが挙げられます。湿り気を帯びた柔らかい木材はシロアリの大好物でもあるため、シロアリに狙われやすくなります。
- 3つ目は、住んでいる人にカビなどのアレルギーを発生させるリスクです。木造住宅で雨漏りを放置すると、木材にカビが生え、そのカビは家のいたるところに広がっていきます。カビの胞子は目には見えませんが、体内に入って激しいアレルギー反応を引き起こすことがあります。
これらの木造住宅で起こり得るリスクから、雨漏りは決して放置してはいけないということがわかりますね。
雨漏りに気づいたらすぐに対応しよう
雨漏りしているけど、すぐにどうこうなるわけじゃないし…と対応を先延ばしにするのは厳禁です。雨漏りは放置すればするほど被害が広がります。その被害は建物自体に関わるものから健康に関するものまでさまざまです。雨漏りに気づいたら、すぐに対応するようにしましょう。
雨漏り対策のうち、自分で対応できる範囲、業者にお願いすべき範囲についてまとめてみました。
自分で対応できる範囲
雨漏りの被害が軽微な場合、自分で対応できることもあります。
例えば
- 排水口が詰まっている→掃除をしてゴミを取り除く
- 外壁にヒビ割れがある→自分でコーキングする
- コーキングが劣化している→コーキングの打ち替えをする
作業場所が高所でない場合、かつ雨漏りの原因がはっきりと特定できている場合は自分で対応できる可能性があります。ただし雨漏りの原因は1か所でないことも多く、対応しても雨漏りが直らないこともあります。
対応したのに直らない場合はすぐに業者に依頼しましょう。
業者にお願いすべき範囲
できれば自分で対応して安く済ませたいと思われるかもしれませんが、以下のような場合は業者にすぐにお願いするようにしましょう。
- 雨漏りの原因が特定できない場合
- 屋根など高所での作業が必要になる場合
- 雨漏りの範囲が広い場合
- 雨漏りに気づいてから時間が経っている場合
他にも防水シートや防水加工が劣化している場合は、自分で対処することも可能と言えば可能です。けれども作業工程が多く素人では難しいこと、失敗した場合にかえって修理代金が高くついてしまうことから、自分で対応することはオススメできません。
また雨漏りが発生したのが家を建ててから10年未満の場合で、さらに瑕疵(あるべき品質や性能がないこと)が原因での雨漏りであれば建物を建てた施工業者によって直してもらうことができると法律で定められています。建ててから10年未満に雨漏りが発生したら、まずは施工業者に確認してみましょう。
【木造住宅×雨漏り】よくある質問Q&A
木造住宅に住んでいる人にとって、木造住宅と鉄骨住宅のどちらが雨漏りに強いのかというのは気になるところですよね。またこれから家を建てる人は、木造住宅でも屋上を設置できるかどうかはチェックしておきたいところです。
次に、木造住宅と雨漏りに関するよくある2つの質問についてまとめてみました。是非参考にしてみてくださいね!
木造よりも鉄骨(鉄筋)のほうが雨漏りに強いの?
一般的に鉄骨住宅の方が木造住宅よりも頑丈で、建物寿命も木造住宅の2倍であると言われています。そのため鉄骨住宅の方が木造よりも雨漏りしにくいのでは…というイメージがありますよね。
けれども実際は鉄骨住宅でも雨漏りは起こります。雨漏りは建材そのものに問題がある場合、そして防水処理部分に問題がある場合に起こるため、建築構造の材料の種類と雨漏りには密接な関係はありません。
また木造住宅の場合は雨漏りすると木材が腐ってしまうリスクがありますが、鉄骨住宅の場合は鉄骨が錆びてしまうリスクがあります。どちらも建物の耐久性を低下させてしまうため、被害がひどくなる前に対策を取る必要があります。
木造で屋上をつけるのは可能なの?
オシャレな上に床面積を有効に利用できる屋上はあったらとても便利ですよね。オープンリビングとしても活用できるため、屋上の設置を推奨するハウスメーカーも多く、最近では木造建築においても屋上を設置するケースが増えています。けれども木造住宅に屋上をつける場合に浮上してくるのが雨漏りに対するリスクです。
実は屋上・陸屋根はその構造上、水はけがとても悪く、雨漏りしやすいという特徴があります。屋上に物置を置いたり家庭菜園をしたりという活用の仕方が一般的ですが、物置や土、雨や水やりで生じる排水などの重さも陸屋根には大きなダメージとなることを知っておきましょう。またもしも木造住宅に屋上・陸屋根を設置した場合、通常の屋根よりもメンテナンスを手厚く行う必要があります。
土地の狭い都心ではなおさら屋上の用途は魅力ですが、雨漏りのリスクとメンテナンス費用を考えるとあまりオススメはできません。
まとめ
木造住宅での雨漏りについてまとめてみました。木造住宅でも鉄骨住宅でも雨漏りのリスクはつきものですが、木造住宅の場合は木材が腐ってしまうとカビやダニが繁殖し、結果的に健康被害に結びついてしまいます。家族の健康を守るためにも、自分の健康を守るためにも、雨漏りを見つけたら即刻対処するようにしましょう。
今回の記事でおさえてほしいのは以下の3点です。
- 木造住宅の雨漏りを放置すると木材が腐ったりシロアリ被害に遭ったり、住んでいる人がカビなどのアレルギー症状を引き起こすことがある。
- 建築構造の材料の種類と雨漏りには密接な関係はなく、木造でも鉄骨でも雨漏りのリスクは変わらない。
- 雨漏りの範囲が広い場合や時間が経っている場合、高所での作業が必要なときは無理せずプロの雨漏り修理業者に依頼した方がよい。
上記のポイントをおさえて、正しく、そして素早く雨漏り対策してくださいね!