蜂にもいろいろな種類がありますが、ミツバチは温厚な性格として知られています。しかし、やはり蜂がすぐ近くを飛んでいる、巣を作っているのを見るのは恐怖を感じるものです。
ミツバチが家の近くで巣を作ってしまったら、どうするべきか悩むでしょう。ここでは、ミツバチの巣ができてしまったときの対応について、紹介していきます。
目次
ミツバチの巣がもたらす被害とは?
家の敷地内や近くにミツバチの巣を作られてしまったら、駆除するべきか悩むところです。そこで、ミツバチの巣がもたらす被害について知っておくと役立ちます。
人への攻撃の危険
スズメバチは獰猛で危険性も高く、巣を見つけたら一刻も早く巣を駆除するべきだといわれています。それは、スズメバチに刺されてしまうと命にかかわる可能性もあり、大変危険だからです。
一方で、ミツバチに関してはスズメバチほどの凶暴性はないといわれています。また、毒性も低いため万が一刺されてしまっても、スズメバチほど重篤な被害は起こりにくいといわれています。
しかし、場合によってはミツバチも人間に攻撃を仕掛けてくることがあるのです。それは、自分たちの巣が危険にさらされているときです。ミツバチは他の種類の蜂と比べて、ひとつの巣にいる個体数が多いことで知られています。巣を攻撃してくる敵に対しては、多数で一斉攻撃を仕掛けるのです。
また、それ以外に怖いのが、他の蜂による被害です。獰猛なスズメバチはミツバチを襲うために、ミツバチの巣の近くまでやってくることがあります。場合によってはスズメバチが群れとなって、ミツバチの巣を襲いにくることもあるのです。
その際に、攻撃体勢になって興奮しているミツバチや、スズメバチに刺されてしまうことも考えられます。スズメバチは毒性も強く、しかも執拗に攻撃を仕掛けてきます。また、アナフィラキシーショックのリスクも高いため、とても危険です。
垂れた蜜やミツバチの死骸による汚染
直接的な被害だけではありません。たとえば、ミツバチの死骸による影響を受けることがあります。
ミツバチが巣の中で死んでしまったら、その死骸は働き蜂によって巣の外に出されます。また、基本的にミツバチは巣の外で死にますので、活動時期の終わりごろや外敵に襲われたときは、ミツバチの死骸の量もかなりのものになります。
そして、そのミツバチの死骸を狙って他の害虫や害獣が集まってくるようになります。集まってきた虫や動物の糞や攻撃などによる被害を受けるリスクが高くなるのです。
また、ミツバチは花の蜜を集めます。巣が巨大化してくると、巣の中に蓄えられていた蜜が滲みだしてくることがあります。そして、その滲みだした蜜が原因となり、天井や壁にシミを作ったり、家の劣化をすすめたりしてしまうようになります。場合によっては、家の修繕やリフォームが必要となり、かなりの費用がかかってしまうかもしれないのです。
また、甘い蜜の匂いに誘われて、アリなどの他の害虫が集まってくるようにもなります。それらの害虫によって、新たな被害が生まれてしまうのです。
糞害
ミツバチはとてもきれい好きですから、巣の中もいつも清潔に保ちたいと思っています。そのため、糞も巣の外でします。しかも、ミツバチが厄介なのは飛行中に糞をすることです。洗濯物や布団、車などに糞をされてしまうこともあるでしょう。
ミツバチは巣から100m以内のところ、しかも白っぽいものの上で糞をする習性があります。そのため、ミツバチの糞を見つけたら、近くに巣があることを疑ったほうがいいでしょう。
天敵であるスズメバチを引き寄せる
スズメバチは他の昆虫もエサとしており、ミツバチもその対象となっています。そのため、ミツバチを狙ってスズメバチが攻撃を仕掛けてくることもあるのです。
ミツバチだから安心だと思ってミツバチの巣を駆除せずにいたら、思わぬ形でスズメバチの被害に遭うこともあるのです。たまたまミツバチの巣の近くを通りかかったときに、スズメバチに刺されてしまう危険性も高くなります。
ミツバチの巣は駆除すべき?場所によって正しい対応を!
ミツバチ自体は攻撃性の低い蜂です。しかし、家の近くや敷地内に巣があるのは気分がよいものではありません。ミツバチの巣は、場所によって対処法が変わってくることを覚えておきましょう。
家の中に巣がある場合
万が一、ミツバチが家の中に巣を作ってしまったら、駆除するのが適切な対応です。
それは、被害に遭うリスクが高いからです。家の中をミツバチが飛び回っていると、人間と接する機会も多くなります。こちらがそのつもりはなくても、攻撃を仕掛けてきたとみなされて、刺されることも出てくるでしょう。
また、家の中で糞をされたら大変です。衛生上よくありませんし、ミツバチの糞が固まると落としにくく、家や家電の劣化も進みます。
さまざまな被害が予想されますので、早めに駆除することをおすすめします。
家の外に巣がある場合
ミツバチの巣を家の外で見つけてしまったときは、駆除の必要性についてよく考えてみましょう。
危険性が少ないと判断できれば、無理に駆除する必要はありません。しかし、巣が作られた位置が人間の生活範囲に近い、周辺への迷惑になる可能性が高いときは、駆除したほうがいいでしょう。
駆除は自力か業者か?
ミツバチはスズメバチなどと比べると毒性も獰猛性も低く、自分で巣を駆除できると考えてしまうかもしれません。自力での駆除も可能ですが、業者に依頼したほうがいいこともあります。
まず、自力で駆除するのは15cm以下の小さな巣までにしておきましょう。それは、ミツバチの巣は活動するミツバチの数が多く、攻撃を仕掛けられてしまったら大変だからです。
ミツバチの巣は巨大化する傾向が強く、しかもひとつの巣にいる個体数は他の蜂と比べてかなり多いといわれています。そのため、ミツバチの巣を駆除するときに、集団攻撃に遭うリスクがとても高くなります。 ミツバチは攻撃性は低いのですが、自分たちの巣を守るためなら、必死になって敵と戦います。このとき、最初は1匹もしくは数匹で攻撃を仕掛けてきても、攻撃フェロモンで仲間の蜂を呼び寄せるのです。
ミツバチ1匹の毒性は低くても、大量に刺されてしまったら大変です。アナフィラキシーショックを起こす危険性も高くなってしまいますので、無理は絶対に禁物です。
また、ミツバチの集めたハチミツの処理も厄介なもの。
ベトベト垂れてくる蜜は処理が難しく、駆除の後も残ってしまうかもしれません。
安全に、また綺麗に巣を取り除きたい場合は、ハチ駆除の専門業者にお任せしましょう。
日ごろから意識できるミツバチ対策とは?
ミツバチは温和な性格だと知っていても、蜂がすぐ近くを飛び回っているのはあまり気分がよいものではありません。そこで、日ごろからミツバチを寄せ付けないための対策をとっておくことをおすすめします。
ミツバチを寄せつけない方法
ミツバチを寄せ付けないためには以下のような方法があります。
- 香水をつけない
ミツバチは甘い香りに誘われてやってきます。香水や柔軟剤の香りなど、甘い香りをできるだけ使わないようにするといいでしょう。
- 木酢液
蜂よけに効果的なアイテムです。自分で作ることもできますし、ホームセンターなどで購入もできます。蜂だけでなく他の害虫対策にも効果的ですし、天然成分を使っていることから安心して使えるのも魅力です。
- 殺虫剤
蜂専用のものがあります。蜂が巣を作りそうな場所に定期的にまいておくと、蜂が近寄ってこなくなります。
洗濯物への被害を減らす方法
ミツバチの糞は黄色で、しかも白いものの上に糞を落とす習性があります。そのため、糞も目立ち、しかも時間が経つと落ちにくいのが厄介です。つぎにあげる方法で、未然に防ぎましょう。
- ネットをかける
ミツバチの糞から洗濯物を守るためには、洗濯物をネットで覆ってしまうことです。大きなネットはホームセンターやインターネットで購入することができます。
- 柔軟剤を使わない
柔軟剤の甘い香りを花の蜜の香りと勘違いして、ミツバチが洗濯物の近くにやってきます。それを避けるためには、香りつきの柔軟剤を極力使わないことです。
- 部屋干しする
ミツバチの糞が気になるけど柔軟剤を使いたいときは、部屋干しにしましょう。
【Q&A】ミツバチの巣に関してよくある質問
ミツバチに巣を作られないように対策をするためにも、ミツバチの巣について理解を深めておくことが大切です。
ミツバチに巣を作られやすい場所って?
ミツバチの糞が付いていることが増えた、飛んでいるミツバチをよく見かける、そのようなときは、ミツバチに巣を作られている可能性が高いでしょう。
しかし、ミツバチの巣の場所を特定できなければ、適切な対策をとることができません。ミツバチが巣を作りやすい場所について知っておくと役立ちます。ミツバチは基本的に密閉された空間を好みます。
- 屋根のひさしの下
- 床下の通風孔周辺
- 雨戸の戸袋
- ベランダ周り
- 天井の裏側
- 物干し竿
- ガレージの中
- 自転車のカゴ
- 積み上げたタイヤの中
- 屋根裏部屋
といったように、家の周辺や中だけでもミツバチが好む場所がこれだけあるのです。日ごろから、こういった場所を定期的に点検しておくと、被害の拡大を防げるかもしれません。
また、ミツバチが巣を作っているかもしれないと思ったら、まずはこのあたりを重点的にチェックしてみましょう。
家の軒下や、近くの木にミツバチが大量に集まっているのはなぜ?
ミツバチの巣は他の種類の蜂と比べて巨大化するのが大きな特徴です。そして、ミツバチに見られる大きな特色のひとつに、分蜂(ぶんぽう)があります。
分蜂とはミツバチが大きくなった巣と群れを分けることです。ミツバチはスズメバチなどと比べると、外敵による攻撃を受けやすく、より長く生きながらえるためにこの分蜂を行います。
事実、ミツバチは1年に3回くらい分蜂を行います。つまり、分蜂によってその群れを3〜4倍に増やすのです。しかし、それでもミツバチ全体の個体数が大きく増えないのは、外敵による攻撃やエサ不足などで、群れが消滅してしまう可能性が高いからです。1つの群れが4つくらいに分かれたとしても、翌年まで生き延びることができるのは1つくらいだといわれています。
それくらい、ミツバチの生きる環境は過酷だということです。分蜂したミツバチは、新たに巣を作る場所を探して、適切な場所を見つけたらそこに巣を作ります。このとき、ミツバチは敵からの攻撃から身を守るために、外敵が侵入できないような小さな入口の奥に巣を作るのが一般的です。
分蜂は春先に行うことがほとんどです。主に桜の開花時期から夏までにかけて分蜂が盛んに行われるようになります。
ミツバチの分蜂の時期は、駆除する必要性はありません。そのまま放っておきましょう。
私たちの暮らしに欠かせないミツバチ
ミツバチは見つけたからといってすぐに駆除する必要性のない蜂です。それは、ミツバチによって私たちが受けている恩恵は大きいからです。
たとえば、ハチミツは食べるだけでなく、パックにするなど美容や健康に働いてくれる身近な食品です。このハチミツもミツバチの働きによって集められたものです。
また、ミツバチが巣を作るときに分泌されるミツロウは、口紅やリップクリームなどに使われています。他にも、サプリとして販売されているローヤルゼリーも、ミツバチのおかげで私たちは手にすることができるのです。
さらに、ミツバチは作物の受粉においても大切な役割を果たしています。ミツバチがいなければ、手作業で受粉するという手間が生じることがあります。そのため、農家によってはミツバチを飼育して受粉に役立てているところもあるほどです。
このようにミツバチは、私たちの生活に欠かせない大切な役割を果たしてくれているのです。
まとめ
ミツバチは、私たち人間にとって欠かせない存在ですから、むやみに巣を駆除したり、殺したりしてはいけません。
しかし、人間の身に危険が及ぶようなときは、駆除を考えることも必要です。
- ミツバチは温和な性格だが、人間を攻撃することもある
- ミツバチは糞や蜜による被害もある
- 家の中に巣を作った場合は駆除したほうがよいが、家の外の巣は駆除しなくても問題ないことがある
- ミツバチの巣の駆除は、15cm以下と小さいサイズのものであれば自力でも可能だが、巨大化した巣は業者に任せるのが安心。
上記の点を押さえてミツバチの巣への対応をよく考えてみてください。ミツバチは、私たち人間の生活に欠かせない重要な役割を果たしてくれています。そのため、できることなら共存するのが望ましいと考えられます。
しかし、場合によっては人間の受ける被害が拡大してしまいます。
そのときは、業者に相談するなど適切な形で駆除するようにしましょう。