人を襲うこともある凶暴なスズメバチ。
そんなスズメバチの駆除や対策を安全かつ効率よく行うためには、スズメバチがどのようなスケジュールで活動しているのかを知っておく必要があります。
しかし、一般的にスズメバチの生態は広く知られているものではないため、
「スズメバチは日々の生活をどんなスケジュールで過ごしているの?」 「安全にスズメバチをやっつけるために、どんな時間帯や時期に駆除を行えばいいか知りたい!」
このような疑問が浮かび、その答えを知りたいという方も多いのではないでしょうか。
スズメバチが活動する時間帯や時期といった行動パターンを知ることができれば、それを利用してスズメバチの活動性が低いタイミングで、安全に駆除や対策を行うことができます。
それでは、スズメバチの活動時間や時期、安全に駆除をするための注意点について解説していきましょう。
目次
あるスズメバチの1日〜スズメバチの活動〜
スズメバチのタイムスケジュールについて、あるスズメバチの1日を例に見てみましょう。
6時頃〜
スズメバチの働き蜂たちが巣から出て、餌や巣の材料を集める活動を開始します。
8時〜9時頃
一旦巣に帰り、収集した餌や巣の材料を搬入します。
10時〜11時頃
巣に戻ってきていたスズメバチが、再び活発に活動を開始する時間帯です。
12時〜14時頃
日差しが強くなる時間帯なので、スズメバチの活動は少し低調になります。
15時〜17時頃
日差しが弱まり、再び餌や巣の材料を集めるために多くのスズメバチが活発に活動する時間帯です。
18時〜19時頃
日が暮れてくるため、外に出ていたスズメバチのほとんどが巣に帰ってきます。
19時〜翌朝
巣に帰ったスズメバチたちは、幼虫に餌を与えたり休息をしたりします。活動性が低くなり、おとなしく過ごしている時間帯です。
スズメバチの1日の活動は、上記のような流れになっています。
夜に巣に帰るのはなぜ?
基本的にスズメバチは、夜になると巣に帰るという特性があります。
その主な理由であるのが、夜は視界が悪くなるからです。
スズメバチの目は、光や紫外線を感知することによって外界を認識しています。日が暮れてしまうと、紫外線も光も少なくなってしまうため、ものを認識しづらいのです。
そのため、必然的に活動性は低下してしまいます。
しかし、夜は昼に比べて活動性が低下するだけで、完全に活動をストップするわけではありません。
巣の中ではゆったりとしつつも、幼虫の世話をしたり巣の見張りをしたりするなど、24時間体制で働いています。
夜も注意!〜モンスズメバチ〜
スズメバチの多くは夜になると活動が減りますが、スズメバチには一部、夜間でも活動をする種類がいます。その1つが、モンスズメバチという種類のスズメバチです。
【行動の特徴】
モンスズメバチの1番の特徴は、日が沈んで暗くなってもしばらく活動を継続する点です。もちろん、その間に人が刺される危険性もあります。
モンスズメバチは餌として様々な昆虫を食べますが、その中でもセミが好物です。
また、果物の果汁や花の蜜、樹液も食べるため、これらのある場所にも寄ってくることがあります。夜間にカブトムシなどを捕りに行って、樹液を舐めに来ていたモンスズメバチに刺された、という事例もあります。
【見た目】
見た目については、キイロスズメバチやオオスズメバチといった一般的なスズメバチに似ています。そのため、区別がつきづらいです。
強いて特徴を挙げれば、お尻の黒いシマシマ模様が波のような形状をしているという点があります。
【生息場所】
日本に広く分布しています。閉鎖的な空間を好んで住み、民家の屋根裏や壁の隙間などに巣が作られることもあるため、私たちの身近に生息している可能性が高いスズメバチです。
【モンスズメバチの注意点】
- 夜にも活動をするので、暗くなってからでも刺される危険性がある。
- 巣が見えにくい場所に作られるので、知らないうちに身近に巣が作られていることが多い。
- 攻撃性が高いため、近づくだけでも襲ってくる可能性がある。
スズメバチの1年の生活
スズメバチは1年間の中でも、時期によっては活動性が低くなったり、個体数が減ったりします。したがって、駆除や対策をするためには、スズメバチの1年間の活動スケジュールを知っておくことも重要です。
それではスズメバチが1年間を通して、どのような生活を送るのか、その一例をご紹介しましょう。
4月後半〜5月中旬
冬眠から目覚めた女王蜂が、巣作りの場所を探し始める時期です。
この時期は、冬眠中に消費したエネルギーを補うため、樹液やアブラムシの排泄物(甘露)などから栄養を摂取し、体力を回復します。
5月中旬〜6月
女王蜂が1人で巣を作りながら、働き蜂の卵を産みます。
この時の巣はまだ小さいことや、形状も球体ではなく、傘のついたような形で巣穴を視認できたり、とっくりを逆さまにしたような形であったりするのが特徴です。
7月上旬
初期に生まれた幼虫が成長し、成虫の働き蜂となります。
まだこの時点では働き蜂の数は数十匹と少なく、攻撃性も低いです。
7月中旬〜8月初旬
生まれた働き蜂と女王蜂が、共同で巣作りをする時期です。徐々に巣が大きくなり、働き蜂の数も増えていきます。
巣の形状も、球体状へ変化する時期です。
この頃から、スズメバチの攻撃性が高くなる点に気をつけなければなりません。
実際に、駆除しようとして刺される被害も多いです。
もし駆除を検討しているのであれば、安全のためにも、ハチ駆除の専門業者にお任せすることをオススメします。
8月中旬〜8月後半
働き蜂の数が増え、女王蜂はより働き蜂の数を増やすために、産卵に専念する段階となります。
巣もかなり大きくなっている時期です。
8月後半〜9月中旬
働き蜂の数がピークを迎える時期で、種類によっては数百匹規模までその数が増えます。
この時期は、巣が1年の中で1番大きくなるのも特徴です。
9月下旬〜11月中旬
オス蜂と新女王蜂が生まれ、この二者が交尾を行う時期です。
オス蜂は新女王蜂より1週間から2週間早く生まれる特徴があります。
さらに翌年の繁殖を担うこれらの新女王蜂やオス蜂を守るため、多数いる働き蜂の攻撃性がピークに達します。
11月後半〜12月末
新女王蜂が冬眠する場所を探し、越冬する準備に入ります。
巣にいるスズメバチは、徐々に死んでいくため、活動性・攻撃性も徐々に弱くなってくる時期です。ただし、活力のある働き蜂は人を襲うことがあるため、襲われないように注意しておきましょう。
12月〜4月後半
新女王蜂だけが冬眠し、冬の寒い期間を乗り越えます。
以上がスズメバチの、1年の活動の流れです。スズメバチの駆除を行う上では、この活動の流れの中で活動性が低い時期や、働き蜂の個体数が少ない時期を狙う必要があります。
スズメバチの活動時間・活動時期を駆除や対策に役立てよう!
スズメバチが活動する時間帯や、1年間を通した活動スケジュールを知ることができれば、次はそれを利用して駆除や対策を行いましょう。
以下に、スズメバチの駆除や対策を行うのに適したタイミングについて、詳しくご紹介していきます。
スズメバチの巣の駆除に適した時期・時間帯
スズメバチの巣を駆除する場合、その時期によっては、自分での駆除が危険なため業者に駆除を依頼する必要があります。
さらに、自分で駆除をする場合でも、ハチの活動性が低い時間帯を選んで行うことが重要です。
【自力で駆除できる巣の条件・時期】
巣が作られ始めたばかりであれば、自力で駆除できるケースがあります。
自力で駆除できる巣の条件は、
- 巣の形状が、育房の巣穴が見え、傘のようなものがついている形か、とっくりを逆さまにしたような形
- 巣のサイズが10センチ以下と小さい
- 出入りしている働き蜂がいない、もしくは数匹と少ない
などです。
上記の条件に該当する時期は、4月から5月にかけてです。
この時期は巣が作られ始めたばかりの段階で、働き蜂の数も少なく、攻撃性もそれほど高くありません。そのため、自力での駆除が可能なタイミングとなります。
なお、時間が経過するほどに働き蜂の数は増えていきますので、駆除をするのは早ければ早いほどよいでしょう。
【業者に駆除を依頼するべき巣の条件・時期】
巣が大きくなり、働き蜂の個体数が増えた巣は、自力で駆除することが困難です。そのため、その駆除は業者に依頼して行うことが最善策となります。
業者に駆除を依頼するべき巣の条件としては、
- 巣がマーブル模様の球体状になっている
- 巣のサイズが10センチ以上と大きい
- 多くの働き蜂が出入りしている
などが挙げられるでしょう。
このような条件の巣になるのは、6月から11月後半にかけての期間です。
特に7月から11月にかけては、働き蜂の数も多くなり、攻撃性もかなり強いです。それゆえに、駆除作業をするのもかなり危険な時期となります。
【自分で駆除する際に適した時間帯】
もしも自分でスズメバチの巣を駆除するのであれば、太陽が沈んで暗くなってから2〜3時間後が良いでしょう。
この間であれば、外に餌を求めて出かけていた働き蜂も巣の中に帰り、休息を取るために活動性も低下します。ですので、巣ごとまとめてスズメバチを駆除することが可能です。
ただし、夜間でもスズメバチは完全に活動をしないわけではありません。暗くなっても、確実に安全に巣が駆除ができるわけではないという点に留意しておきましょう。
逆に、日中は外出している働き蜂も多いため、巣を駆除しても外出している働き蜂を駆除できません。
それに日中は活動性も高いので、外出から戻ってきた働き蜂に襲われる危険性があります。
冬の巣の駆除は危険性が減る?
スズメバチの巣は冬になると、女王蜂が冬眠のために巣から離れ、働き蜂も徐々に死んでいくので、最終的に空になります。
そのため冬の巣の駆除は、夏場の最盛期に比べると簡単です。
ですが、その巣の駆除をすることにおいては、安全性の確認と、いくつかの注意点があります。では、それらを順に確認していきましょう。
【冬の巣の駆除の安全性】
冬になると、巣の中にいるスズメバチの数は徐々に減っていきます。
そのため、活動の最盛期である夏から秋に比べると、冬の巣の駆除は安全です。
しかし、冬になってもしばらく生き延びている働き蜂がいることもあるため、襲われるリスクがゼロになるわけではありません。
もしも駆除をするならば、働き蜂が完全に死んで巣が空になる1月から2月頃まで待って行うと良いでしょう。
【駆除をする際の注意点】
冬のスズメバチの巣は比較的安全に駆除できますが、それでも駆除を行う際には注意しなければならないポイントがいくつかあります。
- 駆除した巣は、袋に包んですぐに処分する
巣の中にスズメバチが残っているかもしれないため、それが出てこないように、袋に入れて密封しておきましょう。
燃えるゴミとして処分できるため、公的なゴミ処理場に持ち込むなどして、早い内に廃棄することをお勧めします。
- 1度巣を駆除しても、翌年の春にまた巣が作られる可能性がある
1度巣が作られた場所は、スズメバチにとって住みやすい場所です。ですので、冬場に巣を駆除したとしても、春になると同じ場所に巣を作られるケースは多くあります。
冬に巣を駆除したからといって安心せず、春になって再び巣が作られないように気をつけておきましょう。
- 駆除の際には防護服を着用して、完全防備しておく
冬の巣でも、少数の働き蜂が残っている可能性があります。
1匹でもスズメバチがいれば、刺傷を受けたり毒に侵されたりする危険性があるため、巣を駆除する際の防備は防護服などを着用して完璧にしておきましょう。
春がスズメバチの巣の対策に最適な時期!
スズメバチから被害を受けないようにするためには、身近な場所に巣が作られないように対策を行っておくことが1番です。
そしてその対策を行うのは、春、特に巣が作られ始める4月から5月にかけてに行うのがベストなタイミングとなります。
この時期は働き蜂がおらず、女王蜂が単体で活動をする時期です。
そのため、巣が作られそうな場所にあらかじめ予防策を講じておいたり、女王蜂を見つけたら駆除したりすることで、巣が作られるのを防ぐことができます。
対策の方法については、主に以下のものが有効です。
- 忌避剤を散布する
スズメバチが嫌いになる忌避剤として、ハチ専用の殺虫剤や、ハッカ油、木酢液などがあります。
これらの忌避剤を巣ができそうな場所に散布しておくことで、女王蜂を寄せ付けなくすることが可能です。
- 水を撒いて湿らせる
スズメバチは乾燥した場所に好んで巣を作る傾向があり、湿った場所は苦手です。
その特性から、軒下などの屋外であれば、定期的に水で濡らすことでスズメバチが巣を作るのを防げるでしょう。
- 防虫ネットを使用する
ベランダなどに巣を作られるのを防ぐためには、防虫ネットを張って女王蜂の侵入させない方法が効果的です。
ネットを購入する際には、確実に侵入を防ぐため、ネットの目の細かいものを選びましょう。
スズメバチ対策に役立つミニ情報〜気温と活動の関係〜
スズメバチの活動性と気温には、密接な関係があります。
種類にもよりますが、主なスズメバチは外気温が18度から20度を超えると活動できるようになり、逆にそれより気温が低くなると活動性が下がるのです。
気温が18度から20度を超えるようであれば、スズメバチが活動し始める目安となります。
そのため、気温が18度から20度を超える前に、巣作りの予防を開始しましょう。
また、作られ始めた巣を駆除するならば、夜になって気温が18度以下になった時が狙い目となります。
これは、スズメバチの活動性が低下するため、スズメバチに襲われる危険性を低くできるからです。
このように、スズメバチと外気温の関係は深いため、春にスズメバチの巣の予防や対策を考えているならば、気温にも目を配っておきましょう。
まとめ
スズメバチは常に危険性が高いわけではなく、働き蜂の数が少ない時期、夜間のものが見えづらい時間帯、そして気温が低い時など、駆除を行いやすいタイミングが存在しています。
巣を駆除しようとしているのであれば、このベストなタイミングを逃さないようにすることが重要になるでしょう。
それでは、安全にスズメバチの駆除や対策をするために押さえておいて欲しいのは、以下の3点です。
- スズメバチは暗くなったり、外気温が18度以下になったりすれば活動が低下するため、そのタイミングのほうが駆除が行いやすくなる。
- 巣作りは女王蜂が4月から5月にかけて行うため、巣を作らせない予防策を講じるのもこの時期がよい。
- 巣が大きくなり、働き蜂の数が増えてきたら、自力での駆除は難しい。無理せず、業者に依頼をする方がよい。
これらのポイントを押さえて、安全かつ効率よく、スズメバチの駆除や対策を行うようにしましょう。