家にコウモリが住み着いて、糞害や衛生面の不安などに苦労されていませんか?しかし、どれだけコウモリに苦しめられていても、自力での対処法が分からずに困っている方も多いと思います。
「コウモリを追い払いたい!けれど、効果的な方法が見つからない…。」、「強力磁石がコウモリ撃退に効くと聞いたけれど、それって本当?」など、さまざまな疑問を持たれている方へ、コウモリへの対処法に関する、正しい情報と効果的な手段についてご紹介していきましょう。
目次
磁石・超音波を使った対処法は効果なし!?
巷では、コウモリへの対策として、磁石が効果的という情報が流れています。しかし、磁石の力はコウモリに効果がありません。
磁石がコウモリに効果があると言われている理由として、磁力によってコウモリが発している超音波を妨害する説が有名です。
コウモリは超音波を発し、その反響を感知することで周囲の状況を把握しています。そのため、超音波を妨害することができれば、確かにコウモリを撃退することはできるでしょう。しかし、超音波の正体は、高い周波数の音に過ぎません。
普通の音を磁石で変化させられないように、超音波も磁石では変化させられないため、どれだけ強力な磁石を使ってもコウモリが発する超音波へ影響を与えることは不可能です。
また、コウモリ撃退グッズとして、超音波を発生させる機器もありますが、これもコウモリへの効果はあまりありません。先述した通り、超音波そのものは単なる高周波の音なので、磁力と同じように超音波に影響を与える力はないからです。
ただし、超音波発生装置から出る音をコウモリが聞いて、混乱したり警戒したりすることはあります。ですが、コウモリはすぐにその超音波に慣れるため、効果があったとしても一時的なものとなってしまうでしょう。
このように、磁石や超音波には根本的にコウモリを追い払う上での効果は、あまりないと考えることができます。
動物は体内に生体磁石を持っているため、強力な磁石であれば、その磁力で動物の体に影響を与えられるかもしれません。ですが、その影響もほんのわずかなレベルですので、磁石を設置したからといってコウモリを確実に家から追い出すことは難しいです。
コウモリ駆除に効果のあるグッズとは
磁石や超音波よりもコウモリ駆除に効果があるグッズとして、忌避剤が挙げられます。
忌避剤とは、コウモリが嫌う成分が入った製品です。コウモリは、ハッカや唐辛子のような、刺激性のある成分を嫌います。忌避剤にはこれらの有効成分が含まれているので、コウモリはそれを回避するため、忌避剤のある場所へ寄り付かなくなります。
この忌避剤には、いくつかの種類があるのも特徴です。使う場所とそれに適した忌避剤の種類の組み合わせは、以下の例のようになります。
- 広い部屋などには、燻煙タイプの忌避剤
- 狭い場所ならば、忌避スプレーを使用
- ベランダなどの屋外は、忌避ジェルを設置
それでは、具体的に使用場所に合わせた忌避剤の使い方を解説していきましょう。
広い場所で、燻煙タイプの忌避剤を使う場合の使い方
燻煙タイプの忌避剤は、煙の力によって部屋全体にコウモリが嫌がる成分を拡散します。煙であれば、部屋の隙間や天井裏まで忌避成分が入っていくので、手の届かない部分に生息するコウモリにも効果的です。
その使用方法は、その製品ごとに定められた方法でセットし、部屋から出て2時間ほど放置します。その後、換気を十分に行えば完了です。時間はかかりますが、手間が少ないのがメリットでしょう。
なお、燻煙タイプの忌避剤でコウモリ専用の製品が見つからなければ、ネズミ用の製品でも代用が可能なものもあります。
狭い場所で、忌避スプレーを使用する場合の使い方
忌避スプレーの特徴は、約20〜30平方メートルの範囲において、強力な噴射で忌避成分を塗布できるという点です。即効性もあるので、すぐにコウモリを追い払いたいという場合にも使えます。
ただし、スプレーで噴射した忌避成分については、3時間から6時間程度しか保持されません。ですので、短期的な駆除作業に適したグッズだと言えるでしょう。
スプレーの使い方は、トリガーを引いてコウモリを追い払いたいスペース全体にその忌避成分を吹き付けるようにするだけです。またコウモリの巣があれば、直接そこに噴射して追い出す手段を取ることもできます。
小スペースの部屋や雨戸を仕舞うための戸袋、壁の隙間など、多様な場所でスプレータイプの忌避剤は使用が可能です。それに、スプレーの噴射によって手が届きにくい場所にも薬剤を吹き付けることができます。
使用上の注意点としては、噴射の威力が強いため、連続使用をしているとすぐに薬剤が切れる点が挙げられるでしょう。スプレーは1平方メートルあたり3秒ほど噴射すれば効果を発揮します。ですので、細切れにスプレーを噴射させて使うのも費用対効果を高めるテクニックとなるでしょう。
ベランダなどの屋外で、忌避ジェルを使う場合の使い方
最後に、ベランダなどの屋外や開けた場所にコウモリが住み着かない為に使用する、ジェルタイプの忌避剤についてです。
ジェルタイプの忌避剤は、専用のトレイに忌避成分が入ったジェルを入れ、それを設置する形でコウモリを追い払います。また、ジェルタイプですので、建物そのものに忌避剤を塗り付けることも可能です。
ジェルタイプは設置したり塗りつけたりすることから、ほかの忌避剤に比べて効果が持続します。そのためコウモリを追い払うだけではなく、継続してコウモリを侵入させない予防面でも活用できる駆除グッズです。
トレイに入れてベランダに設置した場合、効果は1ヶ月程度続きます。ですので、1ヶ月単位で定期的に交換をしていれば、継続的にコウモリの侵入を防ぐことも可能です。
ジェルタイプの使用上の注意点として、ジェルを入れたトレイの設置間隔を10センチ以内にし、間隔を広く取りすぎないようにしましょう。間隔が開きすぎると効果が薄れてしまいます。また、壁に直接塗る場合は、雨でジェルが落ちることも多いので定期的に塗り直すようにしてください。
コウモリは追い出した後の対策が重要!
コウモリ対策は、忌避剤で追い出すだけで終わりではありません。なぜならば、コウモリを追い出した後、再び家に住み着かないようにすることが重要だからです。
コウモリは帰巣本能と言って、一度巣を離れても、再び巣へ帰って来る性質があります。それゆえに、追い出しに成功しても、環境を変えずに放置したままだとまたコウモリが再び住み着くことが考えられるでしょう。
このようなコウモリの再来と再被害を防ぐためには、もともと巣があった場所や新たにコウモリが住み着きそうな場所の侵入経路を塞ぐ必要があります。
確実に侵入を防ぐためには、コウモリが入り込むのを防ぐ道具を使って、手順を踏みながら入り口を塞いでいきましょう。
準備する道具
よく使われるものとしては、金網、パテ、シーリング材があります。比較的大きな侵入口には金網、壁の割れ目や隙間、小さい穴などにはパテやシーリングを使うなど、用途によって使い分けすると良いでしょう。
コウモリの侵入口を塞ぐ手順
まず、この侵入口を塞ぐ作業は夕方から夜にかけての時間帯に行います。この時間帯に行わなければならないのは、上記の時間帯ならばコウモリが外で活動しており、巣に帰ってくることが少ないからです。
コウモリを追い払い、塞ごうとしている場所に残ったコウモリがいないことを確認したら、先ほど紹介した金網やパテを使って侵入経路を塞いでいきます。
金網を使用する場合
金網は、侵入口よりやや大きいくらいに切り取り、固定していきましょう。固定するには、ネジや接着剤を使用します。ネジで止められるスペースがある場所ならばドリルを使って固定し、ネジでの固定が難しいならば接着剤でくっつけてください。
金網を固定する際、隙間ができないように注意をしておきましょう。取り付けに失敗して金網に隙間ができた場合、その隙間からコウモリが入り込むかもしれません。コウモリはほんの僅かな隙間からでも入り込むので、取り付け作業は正確に行うことが重要です。
パテを使用する場合
この場合は、手袋等を着用した上でパテをちぎり、細かな隙間に詰めていきます。そしてその上からさらにパテを塗って、侵入口を完全に塞ぎましょう。特に家にできたヒビの部分には、分厚くパテを塗ることがポイントです。
シーリング剤を使用する場合
壁の隙間やひびの部分にシーリング材を注入して、乾燥するのを待ちます。シーリング剤がくっつきやすいように、作業を行う箇所を拭き掃除し、綺麗にしておくことも大切です。
侵入口を塞ぐことができれば、コウモリが近寄りにくい環境を作ることも大切です。コウモリが人の家に近寄るのは、住処として使用できる最適な隙間があること、そして餌となる小さい虫が居ることなどが考えられます。
隙間は先述した金網やパテで塞ぐことが可能です。餌になる虫が家に寄り付くのを防ぐ点については、虫除け剤を置いたり、ベランダを防虫ネットで囲ったりするなどの対策が効果的な方法となります。なお、防虫ネットはコウモリそのものが入ってくるのを防ぐ上でも有効な方法です。
以上のように、コウモリを追い出した上で侵入口を塞ぎ、コウモリが寄り付かなくなるような環境づくりをすることで、コウモリ被害の再発を防ぐことができるでしょう。追い払うだけで一安心せずに、追い払った後の作業も重点的に行ってください。
糞の掃除も忘れずに、必ず行う!
コウモリからの被害を防ぐという点では、コウモリが排泄した糞の掃除も忘れてはいけません。
糞を放置しているままだと、
- 家にシミができるなど、汚れの原因になる
- 寄生虫が発生する
- 病原菌が繁殖して感染症のリスクが高くなる
などの被害を受ける危険性があります。これらの被害を避けるためには、必ず糞を掃除しておく必要があるでしょう。そして上記の被害の中でも気をつけるべき点であるのが、寄生虫の発生や病原菌の繁殖です。
コウモリの糞の中にいるとされる寄生虫は、コウモリマルヒメダニやマダニ類、コウモリトコジラミなどが挙げられます。
コウモリトコジラミの主な被害は、血を吸われてしまうことです。血を吸われた部分は痛みや痒み、腫れを起こします。コウモリトコジラミは夜間に活動をする性質があるので、寝ている間に血を吸われているケースも多いです。
コウモリマルヒメダニやマダニ類の寄生については、噛まれるといった被害に加えて、アレルギーの発症や感染症の媒介をされてしまうという被害も起こります。ダニアレルギーを持っている人はダニの死骸でもアレルギーが出るので、注意が必要です。
それに、ダニが媒介する感染症には、重症熱性血小板減少症候群といった死亡リスクもある病気も含まれています。ですので、命を守るためにも、コウモリの糞は確実に処理をしておかなければなりません。
コウモリの糞を掃除する際の3つの注意点
いざ糞の掃除をするという際にも、上記の寄生虫や感染症のリスクを防ぐ上で、掃除方法にいくつかの注意点があります。
その注意点としてまず挙げられるのが、糞を吸い込まないようにするということです。掃除中に誤って微量の糞が口に入ったり、空気中に舞い上がった病原菌を吸い込んでしまったりする可能性が考えられます。
このような不意の事故を防ぐためには、マスクやフェイスガードをして、口に糞が入らないようにする対策が効果的です。
また、コウモリの糞は手や服を経由して口に入り込むこともあります。それを防ぐ点では、糞掃除の時にビニール製のエプロンを着ける、不要な服を着て糞掃除後に服を捨てる、靴にもビニールカバーを取り付けておくなどの方法も効果があるでしょう。
それに、掃除をしてゴミ袋などに入れた糞の管理も、十分に配慮しておいてください。寄生虫・病原菌の蔓延を避けるために、糞を家の中では保管しないようにして、できるだけ速やかに廃棄しましょう。お住いの地域を管轄しているゴミ処理場に持ち込むといった方法でも、スムーズに糞の廃棄ができます。
コウモリの糞は放置するのも危険ですが、掃除をするのも危険です。そのため、十分な予防策や準備を行った上で掃除を行いましょう。そして掃除をした後の糞の処分にまで気をつけておいてください。
自力での対処が難しい場合は、業者に相談しよう
コウモリは害獣であるものの、その駆除は慎重にならなければなりません。なぜなら、コウモリは勝手に捕獲したり傷つけたり、殺処分をしたりしてはいけないからです。
実はコウモリは、鳥獣保護法で保護される動物に含まれています。そのため、捕獲・殺傷をした場合、法律違反となって罰せられてしまうのです。
家の中からコウモリを追い出す過程では、加減を知らないとコウモリを傷つけてしまう危険性が高いです。そのため、コウモリに優しく、しかし確実に追い出すには、相当な技術力が必要となるでしょう。
このようにコウモリ対策に関する作業は個人で行うには難しいケースも多々あります。そのような場合は、業者に相談して、作業を委託するのも選択肢の1つです。
業者に作業を依頼すれば
- 高い技術力で確実にコウモリを追い払える
- 侵入口を塞ぐなど、十分な予防策を行ってくれる
- アフターフォローが付いているので被害の再発時も安心
- 危険な糞も掃除してくれるので衛生面でも安心
このようなメリットがあります。
安全性・確実性の面では、業者に作業を行って貰うことはお勧めの方法です。些細なことでも相談に乗ってくれるため、コウモリ対策で気になることがあれば、業者へ相談してみると良いでしょう。
まとめ
今回は、コウモリを磁石で追い払えるのかという点についての検証、そして自力でできる効果的なコウモリの対処法についてまとめてみました。
コウモリは放置してしまうと、個体数が増えていったり、糞害の程度も酷くなったりします。ですので、できるだけ早めに対処を行うようにしましょう。
この記事のポイントとして押さえていただきたいのは、以下の3点です。
- 強力磁石や超音波はコウモリ対策にほぼ効果がない
- コウモリを追い払うには、用途に合わせた忌避剤を使うことが効果的
- 再びコウモリが住み着かないように、家の隙間や侵入口を確実に塞ぐ
これら駆除のポイントを踏まえた上で、コウモリを正しく駆除してくださいね!