ハクビシンが畑の近くに住み着いていると、野菜や果実が食べられる被害が起こります。丹精込めて育てた作物が被害にあうのは、とても心が痛みますよね。
しかし、このような被害にあわれていても「冬まで耐えれば、ハクビシンが冬眠するから被害は無くなるはず!」と期待されているかもしれません。ですが、実はハクビシンは冬眠をしない動物なので、冬になっても畑を荒らされる被害は継続してしまいます。
では、ハクビシンは1年を通してどのような行動をするのでしょうか。賢くハクビシンへの対策を取るために、冬の行動パターンを中心に季節別の行動パターンについてお伝えします。
ハクビシンは冬眠しない!
ハクビシンは、冬になっても冬眠をしない動物です。
冬眠をしない理由は2つあります。
- ハクビシンは、恒温動物(哺乳類)であり、自分で一定の体温を維持できること。
- ネズミやリス等の冬眠が必要な小型哺乳類と比べて体が大きく、体温を作り出す力があること。
上記2点の理由により、ハクビシンは冬の寒い環境下でも生命維持に必要な体温を保つことができます。それゆえに、ハクビシンは冬眠をせず、冬の寒さの中でも活動できるのです。
また、冬でも体温を維持して活動ができるということは、エネルギーを作るために必要な食料を得る行動もできます。つまり、食料を得て食べる→体内で熱を作って体温を維持する→活動ができる→食料を得て食べる、という活動の好循環を作り出せるのも押さえておくべきポイントでしょう。
以上の点から、冬になってもハクビシンの活動は止まりません。そのため、冬を待っていても畑や家屋への被害も止まることはないと心しておいてください。
そもそも冬眠って?
冬眠をしている動物は、なぜ冬眠をしているのでしょうか。そして、冬眠をしている最中は、どのような状態なのでしょうか。
ハクビシンが冬眠をしないということについて、下記の2つのポイントについて知っておくと、理解しやすいです。
- 動物が冬眠をする理由
冬眠をする動物には、2つの種類がいます。1種は、周囲の温度が下がると体温も下がってしまい、動けなくなる変温動物です。
もう1種は、本来は寒い冬でも体温を維持できる恒温動物で、リスやクマなどがこれに当てはまります。
リスやクマが冬眠するのは、冬は食料が少なくなるので、体温を保つ上で必要な熱を作り出すためのエネルギー補給があまりできないためです。
このような厳しい冬の寒さと環境を生き抜くためには、活動量を減らし、できるだけエネルギーを使用しないことが必要です。冬眠をすれば、消費エネルギーを少なくしても生命を維持できますので、体の中に蓄えたエネルギーだけで冬を乗り越えることができます。
これが、冬になると一部の動物が冬眠をする理由です。ハクビシンはこの理由に該当しないため、冬眠をしなくても問題なく生命活動ができています。
- 冬眠中の状態
冬眠の間の動物は、消費エネルギーが少ない状態です。この状態を作り出すために、冬眠をする動物は、代謝活動を極限まで少なくさせています。
冬眠をする際にまず起こるのが、体温の低下です。そして体温が下がることによって、心拍数が減少します。冬眠によってこの状態を作り出すことで、体内のエネルギーの消費を大幅に抑制することができるのです。
ネズミやリスなどを含むげっ歯目(げっしもく)の冬眠の例では、冬眠時に体温が0度近くまで下がり、心臓の動きが1/50に減少、消費エネルギーは1/100まで減少します。
このように、冬眠中の動物は、想像できないほどに極限の状態で生命を繋いでいると言えるでしょう。そして、消費エネルギーを抑えることで、体内にある限られたエネルギーを有効活用して、長い冬を乗り切ることを可能にしています。
冬のハクビシンの行動パターン
冬眠をする動物とは違って、寒くても体温を維持できるハクビシンは、冬でも行動をします。その行動パターンとして、民家の天井裏や物置、床下といった人間が住んでいる家の空いているスペースで生活しているのが特徴です。
ハクビシンは冬眠はしませんが、体温を一定に保つ必要がある恒温動物なので、寒いのが得意というわけではありません。そのため、冬はできるだけ動かずに暖かい環境で過ごそうとする傾向があります。
その点で、民家の天井裏や物置、床下は、断熱材によって保温されていますし、冷たい風や雨で体が冷えない絶好の環境です。このような環境は、ハクビシンにとって、とても過ごしやすいのでしょう。それゆえに、民家に好んで住み着こうとします。
そして民家に住み着いたハクビシンは、そこで糞尿をし、溜め込むのでかなり迷惑です。
ハクビシンの糞尿は、悪臭を放つだけではなく、天井や床などにシミを作ったり、病原菌の温床となったりします。糞尿は不快感を与えるだけではなく、健康被害にまで発展することがあるため、冬のハクビシンの行動には十分な注意を払っておかなければなりません。
また、ハクビシンは記憶力の良い動物です。それゆえに、1度巣として住み着いた屋根裏等の場所も覚えているため、次の年以降も継続してハクビシンが定住する可能性が高くなります。
ですので、翌年以降に健康被害を受けずに過ごすためにも、ハクビシンが自宅に侵入しない対策を取ることも重要となるでしょう。
春・夏・秋のハクビシンの行動パターン
ハクビシンは四季を通して活動をしており、その行動内容はそれぞれの季節によって変わってきます。冬以外の季節で、ハクビシンはどのような行動をしているのか確認していきましょう。
- 春
春は徐々に暖かさを取り戻す季節であるため、ハクビシンもその外気温の暖かさと比例して、行動的になります。巣やその周辺に限定されていた行動範囲も、春になると広がっていく傾向です。
さらに春は、ハクビシンが主に繁殖行為をする季節でもあります。そのため、春までにハクビシンの対策を取っておかないと、その子供が多くできてしまい、その後の被害が拡大する可能性もあるでしょう。
- 夏
夏になって気温の高い日が続くようになると、ハクビシンはさらに行動範囲を広げ、今まで行動の中心となっていた屋根裏などの寝床から出て行きます。
屋根裏から出て行く理由は、暖かくなって木の上など屋外でも寝泊まりできるようになることや、保温性が高い屋根裏などの空間が夏場は高温になって過ごしにくくなること等です。
そして、夏場はハクビシンの食料となる、野菜・果物といった農作物の生産なども盛んに行われます。これらが栽培されている畑や家庭菜園などが荒らされるのも、夏場のハクビシン被害の1つです。
それに農家など、農作物を収穫して家に保管しているような場合、1度屋根裏から出て行ったハクビシンがその収穫後の作物を狙って再び家に住み着く可能性もあります。
また、春の繁殖行為によって妊娠をしたハクビシンが出産を多くするのも、この季節です。1度の出産で平均2匹から3匹の子供を産むため、夏はハクビシンの個体数が増えるという点も気をつけなければなりません。
- 秋
秋は徐々に気温が低くなってくる季節であるため、ハクビシンはこの期間に冬に向けての準備を行います。
冬に向けての準備として、まず挙げられるのが民家の屋根裏等への引っ越しです。ハクビシンは記憶力が高いため、前年にハクビシンが巣を作っていた家は、その記憶力によって再びハクビシンの巣を作られる可能性が高いかもしれません。
そして民家の屋根裏等に住み着いたハクビシンは、そこを生活の拠点とするため、糞尿をしてそれを溜め込みます。
溜め込まれた糞尿による家の建材のシミや、悪臭、健康被害などが起こり始めるのも、秋頃からです。秋を過ぎて、家でシミがあったり悪臭が出てきたら、ハクビシンが家に再び住み着いているのかもしれません。
次に秋の行動の特徴として挙げられるのが、食事内容の変化です。夏場は植物性のものを中心に食べていたのに対し、秋は
- 虫
- カエル
- ネズミ
- 鳥類
- 鳥が産んだ卵
などの肉類を食べる割合が増えます。
上記のような肉食を食べるようになるのは、多くのエネルギーを得るためです。このエネルギーを秋の内に蓄えておくことで、寒い冬を越すことができます。
以上のように、ハクビシンは上手に生きる術を知っており、その季節に応じた行動を取れる動物です。季節によって行動パターンは変わり、その行動によって被害の内容も変わってくることを意識しておきましょう。
季節を問わず、早めの駆除をオススメします!
ハクビシンが自宅やその付近に生息しているならば、季節は関係なく早急に駆除作業を行うことが大切です。そうすることによって、被害を未然に防いだり、最小限に抑えたりできます。
先述した通り、ハクビシンは暖かい時期だけではなく、秋から冬の寒い時期にも活動が可能な動物です。そのため、暖かい時は農作物が荒らされ、寒い時は家に糞尿の害をもたらすという、1年を通じて被害をもたらす害獣と言えるでしょう。
冬だからといってハクビシンを放置していると、家が糞尿だらけになっていたという事が起こるかもしれません。そうなると、悪臭や見た目の環境被害や、糞尿から感染する細菌の健康被害によって、その家で暮らす人の生活に支障を来してしまいます。
では、その迷惑なハクビシン駆除する方法についてですが、1番オススメなのが駆除業者を利用することです。
ハクビシンは鳥獣保護法によって保護対象となっています。ですので、その駆除を行うには特別な許可が必要です。駆除業者に依頼すれば、めんどうな許可申請もまとめて請け負ってくれるので、手間がかかりません。
それに、専門業者はハクビシンの行動特性を理解した上で、専門的な道具や技術を使用して、的確な駆除作業を行ってくれるのもポイントでしょう。個人で行うと駆除は失敗する可能性が高いですが、駆除業者の中には保証期間を設けているところもあるので、万が一ハクビシンの被害が再発しても安心です。
ハクビシンの駆除は、早ければ早いほど良いです。なので、「ハクビシンに住み着かれてる…?」と気になった段階で、すぐに駆除業者に連絡を入れましょう。
まとめ
哺乳類の仲間には冬眠をする動物は多くいますが、ハクビシンは冬眠の必要性がないので、冬でも行動をします。この特性から、冬であってもハクビシンの被害はなくならないことが分かりました。
だからこそ、ハクビシンの特性を知った上で、季節関係なく被害を防ぐための対策が必要となります。冬だからといって、油断してしまわないように気をつけたいですね。
では、ハクビシンの被害を防ぐために、この記事のポイントとしておさえてほしいのは、以下の3点になります。
- ハクビシンは冬でも冬眠をせず、屋根裏等の屋内に住み着き、糞尿などを溜め込んで環境・健康被害をもたらすことがある。
- ハクビシンは季節によって行動パターンを変え、1年を通じて活動するため、どの季節でも駆除をする必要がある。
- ハクビシンは早期対策が重要なので、早い段階で専門の駆除業者に依頼して追い払ってもらう。
ハクビシンの行動パターンを把握した上でしっかりと対策をとり、もう被害にあわないことを願っております。