「家のベランダに、いつの間にかドバトの巣ができてしまった!けど、なぜわざわざ人の家に巣を作るんだろう。」
「巣を撤去するのはかわいそう…。このまま放っておいても大丈夫…?」
普段から公園などで慣れ親しんでいるドバトも、自宅に巣を作られてしまうと「かわいい」などと悠長なことは言っていられなくなります。それは、鳩に巣を作られてしまうと、鳴き声や糞の被害に悩まされることになるからです。
もし巣を作られてしまったら、いったいどうすればよいのでしょうか。この記事ではドバトの生態やベランダに巣作る理由、巣がでてきてしまったときの対処法などについてお伝えします。
そもそもドバトって?
町や公園でよく見かけるドバトですが、その生態については一般的にはあまり知られていません。ドバトによる被害を受けないようにするためには、まずはドバトの生態をよく知ることが大事です。
ドバトの基本的な生態を知ろう
日本でよく見かける鳩はドバトとキジバトの2種類です。このうち、わたしたちが街中でよく見るのはドバトです。そして人間に害を及ぼすのも、主にこのドバトなのです。
ドバトにはカワラバトという原種名があります。北アフリカや中央アジアに生息していたカワラバトを日本で家禽(かきん)化したのがドバトです。
それが何らかの理由によって飼い主の元を離れ、再野生化したものが今では全国各地に生息しています。
ドバトの特徴
まずはドバトの基本的な生態を確認しましょう。
見た目
全体的にグレーや黒っぽい色をしています。首の周りにエメラルドグリーンの毛が生えている個体もいますよね。
鳴き声
「グルグル」「クックー」「ポッポ」と小さな声で鳴きます。公園にいる鳩がこんな風に鳴くのを耳にする機会は多いのではないでしょうか。
天敵
カラス・ワシ・タカ・フクロウ・猫・ヘビなどです。
餌
穀類や小さな虫を中心に、色々なものを食べます。人間の出した生ごみをあさって、餌とすることもあります。
ドバトの他に、日本でよく見かけるのはキジバトであるということをさきほど紹介しました。2種を見分けるには羽の模様と鳴き声に注目してください。
羽の色
キジバトは羽に黒と赤褐色のウロコのような模様があります。キジバトの写真が見たい方はこちらのキジバトについての記事を見てみてくださいね
鳴き方
キジバトは「デーデー ポポー」と、大きい声で繰り返し鳴きます。それに対してドバトは、喉の奥から絞り出すような小さな声で鳴きます。
厄介な生態?帰巣本能と執着性
ドバトには帰巣(きそう)本能と執着性という特徴的な習性があります。それぞれどのようなものか、見ていきましょう。
ドバトの帰巣本能
ドバトの帰巣本能はとても強く、500km~1000km離れたところからでも、巣のある場所に戻ってくると言われています。古くから伝書鳩として重宝されているのはこのためです。
ドバトの執着性
ドバトは場所に強く執着する習性があります。1度糞をした場所は縄張りだと認識し、また戻ってきます。
この2つの習性があるため、ドバトは巣を作った場所には何が何でも戻ろうとします。そしてあなたが巣を放置すると、ドバトはその場所を安全だと確信するため、追い出すのがとても難しくなります。
ドバトの巣の特徴は?
発見した巣がドバトのものであるかどうかは、巣材と巣のある場所で確かめることができます。
巣材は小枝・わら
巣の材料は小枝やわらなどで、作りはとても簡素です。 ベランダなどにプランターが置いてある場合は、プランターの土の上に直接卵を産み付けることもあります。
どんな場所に巣を作る?
ドバトが好んで巣を作るのは、以下のような場所です。
- 天敵に狙われない安全な場所
- 高いところ
- 空の上から見つかりにくいところ
- 普段、人が行かないような場所
- 雨に濡れない場所
このため、自然界では岩棚の隙間や洞窟などの、外からは見えにくい場所に巣を作ります。そして街中でも同様に、物陰や小さい隙間に巣を作る傾向があります。具体的には次のような場所です。
- ベランダ
- 室外機の上
- 屋根と太陽光パネルの間
- 軒下
巣を作るのは何のため?放置してもいいの?
「ドバトが自宅のベランダに既に巣を作ってしまった…。」でもなぜ他の場所ではなく、我が家のベランダが選ばれたのか気になりますよね。
巣が作られてしまった理由として、以下の2点が考えられます。
- 安全な場所と認識したため
- 卵を産み、ヒナを育てるため
鳩が巣を作るのは繁殖のためです。だから天敵の来ない安全な場所を選びます。既に巣を作られているのは、鳩がそこを安全だと判断し、気に入っているからです。
作られてしまった巣は放置してはいけません。巣をそのままにすると、さまざまな被害が拡大してしまいます。
この項ではドバトの巣が作られるまでの段階と、巣を放置してはいけない理由を詳しくお伝えします。
巣があるのは被害度MAX状態!
ドバトは巣作りを始めるまでに、決まった手順を踏みます。そして、その段階が進むごとに、被害のレベルも上がっていきます。最終的に巣を作られてしまうと、被害は最も大きくなります。
ドバトがどのようにベランダに巣作りをするのか、段階を追って見ていきましょう。
被害レベル0 偵察期
目を付けたベランダが見える向かいの家の屋根や電線などにとまって、こちらの様子を伺っています。これは、そのベランダが安全かどうか遠巻きに偵察するためです。この時点では、直接的な被害はほとんどありません。
被害レベル1 休憩期
外から様子を見て安全が確認できたら、今度は近くまで飛んできます。そしてベランダの手すりなどにとまって、しばらくそこで羽休めします。まだ様子見の段階なので滞在時間は短めです。糞を落としていくこともあります。
被害レベル2 滞在期
ベランダが安全であることがわかったら、滞在時間は徐々に伸びていきます。この頃には手すりにとまるだけではなく、ベランダの中まで入ってくることもあるでしょう。仲間を呼び、数羽同時に滞在することも増えます。この頃には鳴き声の騒音や糞の被害がだんだん増えてくるのです。
被害レベル3 宿泊期
その場所をすっかり気に入ってしまうと、今度はベランダで寝泊まりするようになります。昼間だけでなく、早朝や夜も鳴き声が響くようになり、大量の糞被害に悩まされるようになります。
被害レベル4 営巣期
ここまで何も対策をとらなかった場合、遂には巣を作られてしまいます。卵からヒナがかえると、騒音や糞の被害はMAXになります。また、巣を作られてしまってからではドバトを追い出すことは非常に困難です。
巣の放置NG!放置で起こる4つのこと
では、もしもドバトの巣をベランダで発見したらどうすればよいのでしょうか。撤去するor放置するの2択となりますが、ドバトの巣はできるだけ早く撤去しなければいけません。なぜなら、放置すると次のような4つの被害が起ってしまうからです。
①糞被害
巣があると、その周辺にドバトが長時間滞在するようになります。それに伴い糞の量がどんどん増えます。
ドバトの糞は、人にさまざまな悪影響を及ぼします。そして糞を放置すると、直接的な被害だけでなく二次被害も引き起こしてしまいます。 具体的には次のとおりです。
- ベランダの汚れ・悪臭
- 糞に潜む病原菌が原因でアレルギーなどを発症することがある
- ドバトの糞は酸性で金属を腐らせるため、太陽光パネルシステムなどの故障の原因となる
- 鳩の糞をエサとするゴキブリなどの発生原因となる
②騒音被害
巣を作られると羽音や鳴き声による被害も大きくなります。特に早朝の鳴き声は睡眠を妨げるため、ストレスの元となります。また、卵からヒナがかえって鳩の数が増えるとと、ますます被害が増えます。
③産卵
ドバトが巣作りをするのは、卵を産み、ヒナを育てるためです。ドバトは1年中繁殖が可能で、多いと年に5~6回卵を産む場合もあります。ヒナが大きくなり巣立っても、また次の卵を産むので、巣を放置するとドバトは長期間そこに居座り続けます。
④ドバトの執着心が増す
巣を放置すると、ドバトはその場所を安全だと確信し、ますます執着します。そのため巣を発見したら早めに撤去しないと追い出すのがどんどん難しくなってしまいます。
ドバトの巣を放置すると起きる4つの被害について見てきました。巣を放置することは大変危険だということがおわかりいただけたでしょうか。 糞や騒音の被害は、近隣住民にも迷惑になります。ドバトの巣を見つけたら早めに対処したいですね。
次の項からは、ドバトの巣を発見したときの対処法を詳しくお伝えします。
ドバトの巣を見つけた!撤去してもいいの?
ドバトの巣を発見したらすぐにでも撤去したいところです。しかし、鳩や鳩の巣は勝手に駆除できません。なぜなら「鳥獣保護管理法」という国が定めた、鳥獣を保護するための法律があるからです。これに違反すると処罰を受ける可能性があります。
ただし巣の状況によって撤去可能だったり、自治体に申請すれば撤去ができたりすることもあります。どのように対処すればよいのか、状況別に見ていきましょう。
ドバトの巣が空の場合
巣の中にドバト・卵・ヒナがいない時は、基本的には巣を撤去することができます。ただし、自治体によっては対応が異なることもありますので、念のため、撤去前に自治体に問い合わせましょう。
ドバトの巣に卵やヒナがある場合
ドバトの巣に卵やヒナがあるときの対応方法は以下の2つです。
①自治体や業者に相談する
鳩の卵・ヒナを撤去や移動するには自治体の許可が必要です。
自分で撤去する場合は、自治体へ申請し、許可を得てから撤去作業にとりかかりましょう。
ただし、個人で申請を行う場合、複数の書類を用意する必要があったり、許可が出るまでに時間がかかったりすることがあります。その間にも、鳩の卵やヒナは成長し、被害が拡大してしまうので、
「自分で許可申請や撤去作業をするのは不安…。」
「一刻も早く、巣を撤去したい!」
そんなときは、鳩対策の専門業者に作業を依頼するのがおすすめです。
鳩対策の専門業者なら、自治体への撤去の許可申請などもすべて行ってくれます。また、知識と経験が豊富なので、卵やヒナを傷つけずに移動したり、効果的な再発防止策をとったりすることができます。
②卵がかえり、ヒナが巣立ってから巣を撤去する
ヒナが巣立ち、巣が一旦空になるのを待てば、自治体の許可なく撤去できることもあります。
しかし、ヒナがかえってから巣立つまでにはおよそ20日間の日数を要します。その間にも糞や騒音の被害はどんどん大きくなります。そして、ドバトの執着心もますます強まってしまいます。
ドバトの巣を発見したら、やはり早めに撤去することをおすすめします。
撤去したあとの対応が大事!不安な時は業者に頼むのも手
ドバトの巣は、撤去してしまえばそれでおしまい、というわけにはいきません。ドバトは長い時間をかけて安全を確認し、その場所を気に入って巣を作っています。そのため、巣を撤去されても同じ場所に戻ってきて、再び巣を作ることがあります。
では、再びドバトに巣を作らせないためには、どうすればよいのでしょうか。
自力でできる巣作り防止策は?
巣を作られてしまう前に、自力でできる巣作り防止策をご紹介します。
初期段階でベランダへの侵入を防ぐ
ドバトに巣を作られないようにするには、まずベランダへの侵入を防ぐことが大事です。そのためには次のような、鳩が嫌がるモノとニオイを使用します。
テグス
透明なテグスやワイヤーを手すりの上に張っておくと、鳩が手すりにとまるのを予防できます。テグスはピンと張らずに、少したるませておくのがポイントです。手すりにとまろうとしている鳩は、羽に何かが当たると驚いて逃げていきます。
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スパイク(剣山)
室外機の上や窓際にスパイクを設置し、鳩のとまる場所をなくします。いくつかのスパイクを連結し、隙間なく置くのがポイントです。
防鳥ネット
ベランダの周りにネットを張り巡らせば、物理的に鳩の侵入を防ぐことができます。隙間があるとそこから入られてしまうので、きっちり張るのがポイントです。
うまく張れれば効果は高いのですが、高所の作業になるので危険が伴います。素人には少し難易度の高い予防方法になります。
忌避剤
鳩の嫌がるニオイの忌避剤(きひざい)を使い、鳩を寄せ付けない方法です。主に「スプレー」「ジェル」「固形」の3タイプが市販されています。
ドバトの飛来を防ぐには、これに加えて徹底的に糞の掃除をすることが大事です。ドバトは糞を落とした場所を縄張りだと思って、また戻ってくるからです。臭いが残っているだけでもドバトを呼んでしまうので、糞を完全に除去するのは大変な作業になります。
巣作りのサインを見逃さない
ドバトは巣を作り始める前に、こんなサインを出しています。
- 2羽ペアになってベランダにやってくる
ドバトは子育てのための巣作りの場所を探しています。つがいでやってくる鳩には要注意です。
- 小枝の集まりがある
ドバトの巣はとても簡素です。小枝を数本並べただけで、そこに卵を産み付けてしまうこともあります。小枝があれば巣作りが既に始まっていると考え、すぐに対処しましょう。
業者なら巣の撤去から再発防止まで全てお任せ!
ドバトの巣を撤去し、再発防止までを自力で行うのは至難の業です。ドバトは、一旦巣を作るとその場所に強く執着し、何が何でも戻ってこようとするからです。完璧に駆除したつもりでも、再び被害にあってしまうケースが後を絶ちません。
ドバトの習性を熟知している専門の業者に依頼すれば、巣の撤去後の再発防止策も高い効果が期待できます。自力での駆除に少しでも不安がある場合は、業者に依頼されることをおすすめします。
業者に依頼すると、状況に合わせて次のような作業を行ってくれます。
- 被害状況の調査
- 撤去許可の申請
- 巣・卵・ヒナの撤去
- 防鳥ネットの設置
- 忌避剤の塗布
また優良な業者は、作業の後も保証期間を設けています。駆除できるまでサポートしてくれるのは安心ですね。
まとめ
この記事ではドバトの習性と、ベランダに巣を作られてしまったときの対処法を主にお伝えしました。
記事のポイントとしておさえてほしいのは以下の4点です。
- ベランダは、鳩が敵から身を隠したり、雨風を防いだりできるので、鳩がよく巣を作る
- ドバトは帰巣本能が強く、1度巣を作った場所には何が何でも戻ってこようとする
- 巣を放置すると、糞や騒音の被害がどんどん大きくなる
- 巣を発見したら、なるべく早く駆除し、再発防止を徹底する
ドバトの被害でこれ以上悩まずに済むよう、早めに対処しましょう。