天窓(トップライト)は、天井という特殊な位置に取り付けられた窓です。だからこそ、そこから雨漏りが起こっていると、「雨漏りを止めるには、普通の窓よりも対処が面倒なの?」「修理するにはお金が沢山かかる?」と、色々な不安が頭を過ってしまいますよね。
では、天窓の雨漏りはなぜ起こり、どう対処するべきなのか。詳しい原因や修理の方法、そして費用の面についてまとめましたのでご覧ください。
目次
天窓は雨漏りしやすい?
壁に取り付けられている一般的な窓と比較して、天窓は雨漏りをしやすいです。その理由として、屋根に穴を開けた上で天窓が設置され、屋根がつぎはぎ状になっている点が挙げられます。
天窓によってつぎはぎ状になっている部分は、雨が経年劣化によって破損したり、雨水がたまりやすかったりするのが特徴です。それゆえに、破損した部分や雨水を避ける構造の隙間に雨水が入り込み、雨漏りが起こりやすくなってしまいます。
天窓から雨漏りが起こる主な原因は3つある!
天窓からの雨漏りには、次の3つの主要原因があります。
1. コーキングの劣化
天窓の窓枠部分には、窓のガラスを固定したり隙間を埋めたりする為に、コーキング処理が施されます。このコーキングは問題なく施工されたばかりであれば、雨が隙間から入ってくることはありません。
しかし、コーキングを施した部分は、年数が経過するとともに劣化によって脆くなり、穴が開く、剥がれるといった破損が起こりやすくなります。そしてその破損部位の隙間へ雨水が入り込み、雨漏りになってしまうのです。
なお、コーキング部分が原因で雨漏りが起こっているのであれば、家の中から雨漏りを見たときに天窓の内側部分から水が垂れてくるのを確認できます。原因を判断する際の、一つの材料として確認してください。
このコーキングの劣化が起こる年数は、一般的に10年程度と言われています。ですので、取り付けてから10年前後が経過した天窓からの雨漏りは、コーキングの劣化の可能性が高いでしょう。
ただし、天窓を取り付けた業者の施工が十分でなかったり、雨風が強い環境だったりすると、コーキングの劣化は早く発生します。ですので、10年を経過せずとも、コーキングの劣化による雨漏りは起こるかもしれません。
2. ゴミの蓄積により雨水が溜まったことによる雨漏り
屋根の上には、風で飛ばされてきた枯葉や草などのゴミが溜まることがあります。これはどのようなご家庭の屋根でも起こり得るため、珍しいことではありません。そしてこのゴミの蓄積が、天窓の雨漏りにも直結するケースがあります。
ゴミによる雨漏りを理解する上で、まずは天窓の構造について知っておきましょう。
天窓を断面図にしてみると、水切りと呼ばれる雨水避けの金属板と屋根本体に、僅かな隙間があることが分かります。通常の雨ならばすぐに流れていくので、この隙間から雨水が入ることはありません。それに少々雨水が入ったとしても、その奥にある防水テープや屋根の下葺き材が雨水の侵入を防いでくれています。
しかし、ゴミが蓄積していると、そのゴミが水を堰きとめる役割をします。そうすると雨水が溜まっていき、水切りと屋根本体の隙間にまで雨水が侵入してしまうのです。
雨水があまりにも多く入り込んでしまうと、防水テープや下葺き材を通り越して、屋根本体にどんどん雨水が染み込んでいってしまいます。この症状は、施工したばかりの天窓であったとしても起こり得るものです。
ゴミが溜まっただけで雨漏りになるなんて信じられないかもしれません。ですが、天窓は構造的に、屋根と屋根の間に隙間ができてしまうことから、このような雨漏りが起こってしまいます。
特にゴミは掃除をしなければずっと蓄積しつづけるので、それに伴って雨水の溜まりも継続する可能性は高いでしょう。ですので、天窓の雨漏りの中でゴミが蓄積することによる雨漏りは、慢性的で重症化しやすいという危険性があります。
3. 防水シート(スカート・エプロン)の切れや剥がれ
天窓の下の部分には、スカートやエプロンとも呼ばれる防水シートが施工されます。この防水シートが切れてしまっている場合にも、天窓からの雨漏りは発生します。
防水シートの働きは、天窓から下に流れてくる雨水が、スムーズに下へ落ちるようにすることです。そうすることで、雨水が屋根の下地に流れ込むのを防げるので、雨漏りのリスクを軽減してくれます。
そのような働きを持つ防水シートが破損してしまうと、多量の雨が降ってきた際に、その雨水が瓦などの屋根材の下に入り込むのを防げません。そして屋根材の下に入った雨水は、屋根の下葺き材に徐々に浸透し、やがて天井に染みができて雨漏りとなります。
防水シートは、主に鉛やアルミなどの金属でできています。これは屋根の形によって形状を変形させやすいためです。しかし、これらの金属は耐久性の面で、20年程度すれば経年劣化が起こり、切れたり剥がれたりしてしまいます。
それにアルミでできている防水シートは、軽量化されている反面、強風によってめくられやすいというデメリットがあります。天窓を設置して10年以上が経過すると、防水シートを取り付けた接着剤の力も弱くなるので、剥がれの症状が起こりやすいです。
防水シートの破損による雨漏りも、屋根の下地をゆっくりと浸透して雨漏りを起こします。そのため被害が深刻なものになりがちなので、注意をしておいてください。
実は雨漏りじゃない…?「結露」が起こっている可能性
天窓から水が漏れているように見えていたとしても、それは結露によって発生した水分かもしれません。特に天窓は結露が起こりやすいため、雨漏りと見間違えやすいのも特筆すべき点です。
結露は外気温と内気温の差によって、空気中に含まれる湿気(水蒸気)が水滴になる現象を言います。外と内の気温差が大きいほど、そして空気中の湿気が多いほど、結露は起こりやすいです。
それでは、なぜ天窓は結露するのでしょうか。まずその主な原因として考えられるのが、以下の3つです。
- 暖かい空気は天井に溜まりやすい
空気の性質上、暖かい空気ほど家の上層部に移動します。冬場の寒い時期だと、天井の暖かい空気と外気の温度差が大きくなりがちなので、天窓での結露は発生しやすいです。
- 天窓のガラスが断熱性が弱い
結露が起こりやすいのは、断熱性のの低い素材で作られているものです。結露防止機能がついているようなガラス以外は、断熱性が低いため、天窓に用いられているガラス自体が結露の原因になっていることがあります。
- 室内の湿度が高い
室内の湿度が高ければ、それだけ空気中に水分が多く含まれていることになります。そのような場合も、結露は発生しやすいです。
雨漏りと結露の見分け方
天窓から発生する水濡れについて、雨漏りなのか結露なのかを判断するには、まず雨が降っていない時の天窓の状態を確認してください。
雨漏りは雨水が浸透して発生するため、基本的に雨が降っている最中から雨が上がったすぐ後に起こることが多いです。その点、結露は雨の有無によらず、湿度のある空気と外気温と室内気温の差があれば発生します。
このような理由から、雨の時以外の天窓の水濡れは、結露である可能性が高いと判断できるのです。
それに、冷暖房などの空調機器をつけた後の天窓にも着目しましょう。その時に水濡れが起こっていれば、それも結露によるものかもしれません。
特に冬場の暖房は、室内が暖かく外気が寒いため、天窓の内側に結露が起こりやすいです。
結露を対策する方法
このような天窓の結露には、適切な対策を取ることで、それを防げます。その対策として挙げられるのは、以下の3つです。
- 換気を行う
室内の温度は保持したままで結露を少なくするためには、部屋の中の湿度を低くすることが重要です。湿度が高くなってしまわないように、適度な換気を行うことで湿度を低く保つことができます。
- 結露防止シートやスプレーを使用する
結露の大きな原因である、天窓のガラス部分の断熱性の低さ。その断熱性を補う方法であるのが、結露防止シートやスプレーの使用です。
市販されているこれらの製品を、天窓のガラス部分に貼り付けたり吹き付けたりすることで、断熱性を少し上げることができます。これによって、ガラス部分に結露による水滴が付着するのを防げるでしょう。
- 断熱性の高い特殊なガラスを天窓に採用する
より天窓に使われているガラスの断熱性を高め、結露を防止するのであれば、特殊なガラスを天窓に採用する方法があります。
複数のガラスでできた複層ガラスや、二枚のガラスの間に真空が入った真空ガラスなどが、断熱性の高い特殊なガラスの種類です。これらのガラスに交換することによって、天窓は結露しにくくなります。
天窓の雨漏り、自力で直せる?
雨漏りが天窓からしてきたならば、頑張れば自分の力だけで直せる場合と、自力では直すことができない場合があります。
では、自力で直すことができる範囲や、自力で直すべきではない雨漏りはどの程度のものなのか。その詳細や対処法について、確認していきましょう。
自分でできる雨漏りの原因と対処法
天窓のからの雨漏りの発生原因において、自分で対処ができるものとしては、コーキングの劣化とゴミの蓄積の二つが挙げられます。いずれも、安全面を考慮すると、写真のように家の中から行うことができる範囲になります。
コーキングの劣化については、新しいコーキングを施工することで改善できます。
劣化によって破損してしまった天窓のコーキングは、打ち替え工法を行いましょう。これは古いコーキングを除去して、いちから新しいコーキングを施す方法です。
打ち替え工法は、まずカッターで切り込みを入れる、ペンチで引っ張り出すなどして、古くなったコーキングを綺麗に除去します。そしてプライマーと呼ばれる下地剤を塗り、その上にコーキング剤とコーキングガンを使って新しいコーキングを注入していくのが大まかな流れです。
コーキングの打ち替えについては、古いコーキングの除去が不十分になりがちですし、プライマーが上手に塗れない、コーキング剤を均等に注入できないなどの難しいポイントが多々あります。
少しでも工程に不備があると、コーキングはすぐに隙間ができるので、注意が必要です。少しでも自力で行うのが難しいと感じた場合や、確実にコーキングを施したい場合は、迷わずに専門業者に依頼しましょう。
詳しいコーキングの仕方については、こちらの記事でわかりやすく紹介しています。「自力でどうにかしたい!」という方は、こちらもあわせてチェックしてくださいね。
「【DIY初心者がやってみた】自分でできる雨漏り応急処置&対策グッズ紹介!」へ
次に、ゴミの蓄積についてです。この原因の場合は、天窓付近に溜まったゴミを片付けるだけで、雨漏りそのものは改善します。
しかし、ゴミの蓄積によって起こった雨漏りは、防水シートや下葺き剤に既にダメージを与えてしまっているかもしれません。場合によっては屋根の素材の交換も必要というケースもありますので、その点を意識して対応しましょう。
また、コーキング修理やゴミの片付けを自分で行うにあたっては、屋根の上に登らなければなりません。この時に、屋根から転落してしまう危険性があります。
安全帯や足場といった事故防止設備を用意できれば良いですが、個人ではそれらを用意できないことがほとんどです。そのため、必要な安全策が取れない場合は、自分で直せる雨漏りの原因であったとしても、安全面を重視して専門業者に作業を依頼することが適切だと考えられます。
自力で直すことができないケース
天窓の雨漏りは、自力では絶対に直すことができない原因もあります。その代表的なケースであるのが、天窓そのものの破損や、防水シートが破損している場合です。
天窓のフレームやガラス部分が破損し、雨漏りがしているならば、天窓本体を交換しなりません。
フレームの修理はメーカーに応じて、専用の部品を使って専門的な修理を行わなければならないです。それにガラスは、破損したものを取り外すのも新しいものを取り付けるのも、かなりの技術力が必要となります。これらの作業を個人では行うことは、ほぼ不可能です。
防水シートが破損して、そこから雨漏りが起こっている場合も、個人での修理は難しいと考えた方が良いでしょう。
破損してしまった防水シートを交換するならば、まずその古い防水シートを剥がす作業が必要です。しかし、防水シートは接着剤で頑丈に固定されているので、技術が無ければそれを剥がす最中に屋根を傷つける可能性があります。
そして新しい防水シートを取り付ける際には、瓦の形状にシートの形を調整したり、天窓の水切り部分に接着させたりしなければなりません。これが十分でなければ、新たな雨漏りの原因となってしまいます。
自力だと、これだけの高い技術力を要する作業は難しいです。ですので、これらの原因によって雨漏りが起こっているならば、個人での対応は行わないようにしましょう。
それに加えて、原因不明での雨漏りや、複数の原因が併発して雨漏りを起こしていることもあります。このような場合、闇雲に修理作業を行ってしまうと、無駄足に終わったり却って症状を悪化させたりする可能性があるので注意が必要です。
雨漏りの原因特定をすること自体、知識や見識がなければ判断ができません。それゆえに、自力修理ができない原因の雨漏りや、原因の特定がはっきりしない雨漏りならば、専門業者に修理作業を依頼をするようにしてください。
天窓の修理費用はいくらぐらいかかる?
業者に天窓の修理を依頼するとなると、その費用の面が気にかかりますよね。
一般的な天窓の雨漏り修理にかかる費用はどのくらいなのか、さらに無償で修理ができてしまう場合についてもご紹介いたします。
一般的な天窓修理にかかる費用の目安
まず、天窓修理で行われる一般的な作業で、かかる費用についての相場の額をお伝えします。
コーキング修理
天窓からの雨漏りの原因として一番多いコーキング破損の修理は、天窓一枚あたり3万円から7万円ほどが費用の相場です。
コーキングの費用は、それを打つ長さによって変わってきます。ですので、天窓が大きいほど費用がかかるのが特徴です。
天窓の交換
経年劣化による損傷などで天窓の交換が必要な場合、その費用は20万円から40万円が相場となります。内訳としては、天窓本体の費用や、天窓が取り付けられていた枠や防水シートの補修・交換などが含まれます。
また、天窓のフレームはそのままで、破損したガラスを交換するという場合は少し費用が安いです。交換するガラスの種類によって費用は変わりますが、普通のガラスへの交換ならば8万円前後の費用で交換ができます。
ゴミの清掃
ゴミが蓄積することで天窓から雨漏りをしているケースでは、その清掃費用に3万円から4万円の費用がかかるのが一般的です。
ただし、ゴミによる雨漏りで天窓付近の屋根材にダメージがあるならば、瓦、防水シート等を交換する可能性があります。その場合、交換する規模にもよりますが、10万円以上の費用がかかる可能性があります。
これら修理にかかる費用は、天窓の種類や住宅の状況によって差が出てくるものです。また、散水調査など、水漏れ箇所の点検の費用も含まれることもあります。より正確な費用の額が知りたい場合は、専門業者に修理費用の見積もりを取ってもらいましょう。
新築(10年以内)なら、無償で直すことができる!
天窓の修理の必要が出てきた場合、その家の築年数を確認してみてください。もしも築10年以内の新築物件であれば、無償で修理ができます。
なぜ10年以内ならば、無償で直せるのか。それは、住宅の瑕疵担保責任保険があるからです。
築10年以内の物件に起こった不具合は、住宅を建てた業者等の側にあります。その根拠となるのが、瑕疵担保責任保険です。
住宅の一部である天窓も、瑕疵担保責任保険の適用範囲となっています。それゆえに、築10年以内で天窓からの雨漏りなどの不具合が生じた場合、建築業者等が責任を持って修理費用を負担するため、無償での修理が可能となるのです。
新築物件であるにもかかわらず、天窓からの雨漏りが起こった場合は、この保険をまず活用しましょう。
まとめ
- 天窓はコーキングの劣化、ゴミが蓄積することによる雨水の滞留、防水シートの破損によって雨漏りが起こりやすい
- 雨漏り修理は自分で行える場合もあるが、安全面や修理技術の面を考えると業者に依頼する方が良い
- 天窓修理は部位や破損の規模、築年数によってかかる費用が変わってくる
以上の点が、天窓の雨漏りに関するまとめとなります。
天窓はその構造上、雨漏りが起こりやすいです。それに正確に取り付けられている天窓でも、経年劣化によって雨漏りは起こります。
雨漏りは早期に対応するほど、その雨漏りが重症化せずに済むことが多いです。そのため、天窓やその周りに雨漏りの兆候があれば、すぐに対応を行うようにしましょう。
雨漏りは自分で対処できる場合もありますが、事故を起こしたり、屋根を傷つけたりする危険性もあります。それを防ぐためにも、天窓のトラブルに対応している専門業者に頼んで、確実な修理を行ってもらうことがおすすめです。