フラットな屋根はオシャレな上に屋上としても活用できるメリットがある反面、勾配がなく雨水が溜まりやすいため、雨漏りしやすい場所の1つでもあります。
「陸屋根からの雨漏りはどうして起こるの?」「自分でも直せるの?」「やっぱり業者に頼んだ方がいいのかな…?」そんな不安な気持ちを解決するお手伝いをします。
今回は「陸屋根・屋上からの雨漏りはなぜ起こる?原因と対策方法まとめ」についてまとめてみました。
目次
陸屋根・屋上は雨漏りしやすい?
陸屋根(りくやね・ろくやね)とは住宅建築用語で、勾配のほとんどない平面な屋根のことをいいます。スカイバルコニーやルーフバルコニーと呼ばれることもあります。
陸屋根・屋上のメリットって?
陸屋根にするメリットは、屋上を作ることが可能であるということです。日当たりがよいため、ガーデニングや家庭菜園、太陽光パネルの設置が可能です。また通行人の視線が気になりにくくバルコニーやベランダ代わりにもなるため、洗濯物をのびのび干すことができます。
他にも建築スペースを広く取ることができる、屋根の清掃や点検に足場が必要ないなどのメリットもあります。
陸屋根・屋上のデメリットって?
陸屋根にも若干の勾配はありますが、三角屋根に比べると水はけが悪いため、どうしても雨漏りしやすくなります。鉄筋やコンクリート造りの建物には向いているのですが、木造の建造物は陸屋根にするのが難しいと言われています。そのため木造家屋で陸屋根にする場合は、特に高性能な防水処理や定期的なメンテナンスをしっかりとする必要があります。
他にも陸屋根の下の階が夏になると暑くなりやすい、ロフトを作ることができないといったデメリットもあります。
陸屋根・屋上の雨漏りはどこから?主な原因3つ
陸屋根・屋上の雨漏りの原因は主に3つあり、防水シートの劣化、ドレン(排水口)の詰まり、パラペットの天板や内樋の劣化が挙げられます。
中にはハトなどの鳥によって防水層が損傷したり、鳥の糞や羽によって排水口が詰まってしまったりといった理由もあります。
防水シートの劣化
陸屋根や屋上は三角屋根のように雨水を流し落とすという構造にはなっていないため、どうしても湿っている時間が長くなります。防水素材は湿っている時間が長ければ長いほど劣化しやすくなります。また壁面と違って常に太陽熱や紫外線にさらされていることも劣化を加速させる要因となります。
もしも陸屋根や屋上の床にひび割れ・ふくれ・めくれがあった場合は要注意です。防水塗装の施工が中途半端だったり、経年劣化だったりと理由は様々ですが、防水シートが劣化している可能性があります。放置したままでいると被害が広がってしまうため、早めの処置が必要です。
ドレン(排水口)の詰まり
雨漏りが発生した際、最初に確認すべき場所がドレン(排水口)と言ってもよいでしょう。ここに落ち葉やゴミ、虫の死骸などが詰まってしまうと屋上に水が溜まってしまい、雨漏りしやすくなってしまいます。 この場合、詰まっている異物を取り除くだけで雨漏りが解消することもあります。
また中にはウレタン防水施工時に排水口にまでウレタンが流れ込んでしまった結果、排水口が狭くなって雨漏りを誘発するというケースもあります。防水処理をしてもらったにもかかわらず、施工不良によって雨漏りするというのは皮肉な話ですが、業者によって仕上がりに差が出るので必ず排水口が狭くなっていないかどうか確認しておきましょう。
他にもドレンとパイプの接合部から雨漏りしているケースもあります。この場合はドレンを改修する必要があるため、自力で解決することはできません。
パラペットの天板や内樋の劣化
パラペットとは、屋上や陸屋根の端部から立ち上げられている壁のことを言います。パラペットには屋上からの転落防止、手すりといった機能の他に、美観を保つため、防水のためといった目的があります。一方でその形状から傷みやすい場所でもあります。
またパラペットの上部には天板と呼ばれる板金が設置されています。これは笠木とも呼ばれ、パラペットが痛むのを防ぐ役割があります。強風や豪雨などに晒されやすいために劣化しやすい場所です。特に横殴りの雨などによって、雨が吹き込むことでも雨漏りしやすいという弱点があります。一度損傷するとあっという間に雨漏りが進んでしまうこともあるため、特に注意が必要です。
雨樋を外から見せない造りになっている内樋は、隠し樋とも呼ばれ、美観的に優れています。けれども手入れがしにくく劣化しやすい・詰まりやすいため雨漏りしやすいといったデメリットがあります。
陸屋根・屋上からの雨漏り対策方法
陸屋根・屋上からの雨漏り対策をするには防水加工をする必要があります。防水加工にはどんな種類があるのか、自分で治すことは可能なのか、といった疑問にお答えします。
防水加工をする
陸屋根・屋上の雨漏り対策をするには、防水加工がかかせません。防水加工の種類には主に塗膜防水、シート防水、アスファルト防水があります。
それぞれの工法によって施工内容や費用は変わります。
塗膜防水
塗膜防水とは、防水機能を備えた塗料を塗り、硬化したゴム状にさせて防水層を作る工法です。塗膜防水工事には、ウレタン防水工事とFRP防水工事があります。メンテナンスがしやすく、形状が複雑な場所であっても施工することができますが、耐用年数が低く硬いものや重いものを乗せる際に注意が必要なこと、耐久性にやや劣るため結果的にコストが高くついてしまうといったデメリットがあります。
- ウレタン防水工事…液状のウレタン樹脂を数回塗布する方法。廃棄やニオイが殆ど生じず、場所を選びませんが、耐用年数が低く業者の技術によって仕上がりに差が出やすいというデメリットもあります。費用相場2,500~7,000円/㎡
- FRP防水工事…ガラス繊維が含まれたプラスチック塗料を塗って雨漏りを防ぐ工法です。耐久性・耐水性共に優れており、すぐに乾く半面、プラスチックの塗料であるため、免震性や耐候性が低く、メンテナンス時に廃棄が必要になること、施工時にニオイ対策が必要になるといったデメリットも存在します。費用相場4,000~7,500/㎡
シート防水
シート防水とは、2~3mm厚さのシート状の防水材を張り合わせて防水層を作る工事のことを言います。耐久性に優れている反面、継ぎ目の接着部が劣化すると漏水しやすくなるため、凹凸があったり形状が複雑だったりする建物には不向きであるという面もあります。費用相場2,000円~7,500/㎡
アスファルト防水
アスファルト防水とは、アスファルトを染みこませた合成繊維のシートを重ねながら貼り、さらにアスファルトを塗っていく工法です。他の工法に比べて耐久性、耐用年数に優れていますが、費用が高くなりがちです。アスファルト防水にはトーチ工法、熱工法、常温工法があります。費用相場5,500円~8,000/㎡
- トーチ工法…防水シートに含ませたアスファルトを、専用のバーナーであぶって溶かして加工面に接着します。
- 熱工法…熱で溶かしたアスファルトとシート状のアスファルトを交互に積み重ねて防水層を作り上げます。
- 常温工法…熱でシートを貼りつけるのではなく、粘着剤でシートを貼りつける方法です。
diyで修理できる?
DIYで防水シートを貼って修理する方法を紹介いたします。防水シートを貼る作業をするときは梅雨時期を避け、晴天が続く日を選ぶようにしましょう。面倒でも施工前にしっかりとゴミや汚れはしっかりと取り除いておくようにします。失敗した場合に建物へのダメージが大きくなってしまうので、丁寧かつ迅速な作業が求められます。
防水シートの貼り方
- 施工場所の清掃をし、排水口のゴミも取り除いておく
- 下地と防水シートをしっかり密着させるためにプライマーを塗布する
- 屋上の四隅、配管周辺、ルーフドレンなどに養生する
- 下地と防水シートの両面にムラができないように接着剤を塗布する
- 接合部分を100mm以上取りながら防水シートを貼る
- 防水シートの端を固定し、防水シートの上からローラーで圧力をかけて密着させる
- 最後に仕上げ材を塗布する
diyは避けた方が無難?
DIYで防水シートを貼って修理することも可能ですが、とても作業数が多く面倒であること、素人では難しいこと、失敗した場合に損失が大きくなるため却って修理代金が高くついてしまうことが危惧されます。
失敗した場合、構造躯体にまで影響を及ぼしてしまう可能性があります。よほど腕に自信がある場合を除き、DIYで防水工事をするのは避けた方が無難であると考えた方がよいでしょう。
雨漏りの原因をしっかり突き止めてから修理しよう
雨漏りを直すにはDIYであってもお金と手間がかかります。せっかくお金をかけて防水加工したにも関わらず、実は直した場所以外の部分の施工不良だったということもあります。
雨漏りの原因を突き止めるのは難しい上に、原因も一つではなく複合的である可能性もあります。素人判断では余計に雨漏りを悪化させてしまうこともあるため、雨漏りの専門業者に依頼して原因を突き止めてもらう方が確実である、ということは知っておくべきです。
どんな業者を選べばいいの?
雨漏り対策をする際、防水工事のみで済む場合と建物に影響が及んでしまっているなどして防水工事のみでは済まない場合があります。ついつい安価を売りにする業者にひかれてしまいがちですが、雨漏りの工事はもっとも疎かにできない場所の1つでもあり、知識と技術力を伴う業者を選ぶ必要があります。中には受注だけをして防水工事は下請け業者に丸投げという業者もいるので注意が必要です。
見積もりの際に、どんな工法で施工するのか、どうしてその施工法が適しているのかなどをしっかりと説明できる業者を選ぶようにしましょう。値段と施工内容が見合っているかどうかも確認すべきポイントです。
また「すぐに契約すればお値引きできます」、「早急に工事をしなければ被害が広がるので契約書にサインを…」と契約を急かす業者には注意が必要です。迅速な対応は必要ですが、業者選びは焦らないようにすることが大切です。
まとめ
この記事では、陸屋根・屋上の雨漏りについてまとめてみました。 災害の多い日本においては、経年劣化だけでなく様々な災害によって躯体にダメージを食らい、そこから雨漏りが発生してしまうことがあります。特に災害の後は見える範囲はもちろん、見えない場所が傷んでいる可能性もあるため注意が必要です。
この記事のポイント
- 陸屋根・屋上はその構造上雨漏りがしやすいため、定期点検やメンテナンスが欠かせない。
- 雨漏りの原因は排水溝の詰まり、防水シート・パラペット・天板などの劣化が原因であることが多い。
- 雨漏りの原因を特定するのは素人では難しいため、専門業者に依頼することを考えた方がよい