アシナガバチの生態を徹底解説!活動時期や特徴、危険性など

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アシナガバチのイラスト

あたたかくなってくると、家の周りや公園でよく見かけるアシナガバチ。刺されてしまわないか心配ですよね?

日本に生息するハチは、攻撃性をもたず人を刺さないハチがほとんどです。しかし、このアシナガバチは、人を刺すハチに分類されます。そして、アシナガバチは強い毒性をもっていますので、見かけたときは刺されないよう注意が必要です。

もしアシナガバチに遭遇しても刺されてしまわないように、ここでは、アシナガバチの特徴危険性見かけたときの対処法などについて、まとめてご紹介します。

アシナガバチの特徴

アシナガバチと巣

アシナガバチには、その長い足以外にも、他のハチと見分けるためのポイントがいくつかあります。また、遭遇しやすい場所や、その他の特徴についても見ていきましょう。

アシナガバチの外見的な特徴

体長  2.5cm未満

体形  腰がくびれている

色   胴体は黄色と黒の縞模様 翅の色は茶色

飛び方 後ろ足をだらりと下げて、フラフラ飛ぶ

アシナガバチはスズメバチ科に属しているため、一見スズメバチとよく似た色や形をしています。見分けるポイントは体つきと飛び方です。スズメバチに比べると、アシナガバチの体は全体的にほっそりしています。また、スズメバチがまっすぐ速く飛ぶのに対して、アシナガバチはフラフラとゆっくり飛びます。

アシナガバチの生態

アシナガバチは市街地・公園・草むらなど、わたしたちの身近な場所に生息しており、毛虫・アオムシ・蝶・蛾などの虫をエサとしています。 性格はおとなしく、こちらから刺激を与えない限りは、攻撃してくることはありません。ただ、巣を荒らされると、怒って攻撃をしかけてくることがあるので、巣には近づかないようにしましょう。

アシナガバチの巣の特徴

アシナガバチの巣は特徴的なので、他のハチの巣と容易に区別できます。

形状
シャワーヘッドのような形をしていて、六角形の穴が綺麗に並んでいる


白~薄い灰色

巣を作る場所
屋根の軒下・エアコンの室外機・ベランダ・庭木など

アシナガバチは人の生活圏にも入ってきて、さまざまな場所に巣を作ります。ひと目見ただけではわからないような物陰などに小さな巣を作ることも多く、気づかずに巣に近づいてしまい、刺される事故が多発しています。

ベランダなどよく出入りする場所に巣を見つけた場合、被害が出る前に駆除するのがベストです。
ご自身で対処するのが不安な場合は、ハチ駆除の専門業者などに相談してみましょう。

アシナガバチの1年について

四季

アシナガバチは他の昆虫と同じように、1年中活発に動いているわけではありません。じっと越冬している時期もあれば、反対に攻撃性が高まる時期もあります。ここではアシナガバチの季節ごとの活動を見ていきましょう。

春:越冬から目覚め、巣作り〜産卵の時期(4~5月)

春、日中の気温が高くなると、女王バチが冬眠から目覚めます。この頃に飛んでいるのは、エサや営巣のための材料を探している女王バチです。

女王バチは1匹だけで、産卵のための巣を作ります。部屋がひとつできると卵をひとつ産み、また部屋を作るということを繰り返します。なので、アシナガバチの巣には、巣穴の数だけ卵が産みつけられていることになります。

春先のまだ気温の低い時期に産みつけられた卵は、ふ化するまでに3週間程度かかります。この間、女王バチは巣作りと産卵をこなします。

初夏:家族が増える時期(6月)

卵がふ化すると、女王バチは幼虫のエサやりも1匹で行います。エサをとってきては、ひとつひとつの部屋をまわり、幼虫へエサを与えます。この頃の女王バチは、営巣・産卵・幼虫へのエサやりと、1年のうち最も忙しく働いています。

幼虫は成長すると、巣穴の入り口に糸を張ってフタをし、部屋の中でさなぎになります。その後2~3週間すると、いよいよ働きバチが誕生します。ちなみに、働きバチというとオスをイメージしてしまいますが、実は働きバチはメスばかりです。

夏:巣の最盛期に入り、攻撃性が高まる(7月~8月)

夏になると、巣作りがいよいよ本格化します。先に誕生した働きバチが、新しくふ化した幼虫のエサやりや巣作りをするようになると、女王バチは産卵に専念することができます。そのため、巣はどんどん大きくなり、ハチの数も増えます。増えたハチが、巣作りの材料やエサ集めのために外を飛び回るため、夏はハチに遭遇する機会が多くなるのです。

そして、大きくなった巣を守るために、アシナガバチの攻撃性が1年のうちで最も高くなるのがこの時期です。

秋:翌年の女王バチとオスバチの繁殖時期に入る(9月~10月)

この頃になると、オスバチが誕生し始めます。また、翌年の繁殖に向けて、新女王バチも誕生します。新女王バチとオスバチは交尾のために外を飛び回るため、この時期もまだアシナガバチには注意が必要です。

冬:越冬への準備(10月後半)

朝晩が冷え込むようになると、交尾を済ませた女王バチは、寒さをしのげるような越冬場所を見つけ、移動します。その場所で、冬の間はじっとして動きません。働きバチやオスバチは寒さを迎える頃には全て死滅してしまいますので、晩秋~冬の間はアシナガバチに刺される危険はほぼありません

アシナガバチの危険性

リスクの減少

日本に生息するハチの中で人が刺されることが多いのは、スズメバチ、ミツバチと、このアシナガバチの3種です。

この中で攻撃性・毒性ともに最も強いのは、スズメバチと言われています。スズメバチに比べると、アシナガバチは普段はおとなしく攻撃性が低いのですが、巣を刺激されると、一斉に威嚇・攻撃してくることがあります。そして、アシナガバチの種類によっては刺されると激痛をともなうこともあるのです。毒性は強く、アシナガバチに刺されてアナフィラキシーショックを起こす事例もあります。

※「アナフィラキシーショック」とは、重度のアレルギー症状が極めて短時間のうちに全身に現れ、命の危険が迫った状態を指します。

アシナガバチは民家の周りに巣を作ることが多いので、わたしたちが普段の生活の中で最も遭遇しやすいハチとも言えます。では、アシナガバチに遭遇してしまったときはどうすればよいのでしょうか?次の項でいくつかの対処法をご紹介します。

アシナガバチを見かけたらどうすればいい?

ハチに刺されないためには、ハチを興奮させるような状況を作らないことです。特に、アシナガバチのようなおとなしい性格のハチに対しては、次の2つのポイントをおさえておけば、刺されることは滅多にありません。

  1. アシナガバチを刺激しない
  2. アシナガバチが好きそうなものを身の周りに置かない

いったいどういうことなのか、具体的に見ていきましょう。

アシナガバチを刺激しないためには

巣に近寄らない

ハチの巣を発見したら、不用意に近づいたり、巣の周りで大声をあげたりしないようにしましょう。ハチは巣に対する防衛本能がとても強く、普段は攻撃性の低いアシナガバチも人が巣に近づくと一斉に攻撃をしかけてくることがあります。

ハチが近づいてきても慌てない

ハチが近くまで飛んできたときに、手を大きく振って追い払おうとしたり、急に動いて逃げ出したりすると、ハチが驚いて襲ってきます。自分の周りでハチが飛んでいたら、ハチを興奮させないよう、ゆっくりとした動作で静かにその場を離れましょう。

ハチを寄せ付けないためには

匂いの強いものを身に着けない

ハチは香水・化粧品・洗濯物の柔軟剤などの強い匂いにも敏感です。中でも特にフルーツやフローラル系の匂いが好きで、寄ってくるようです。よく晴れた日に、外に干してあった洗濯物を取り込んだら、洗濯物にくっついていたハチを家の中に取り込んでしまい、慌てたことはありませんか?洗濯物にハチがとまるのは、柔軟剤の匂いをエサ場と勘違いしてしまうからだ、とも言われています。フローラル系の柔軟剤を使用している場合は、洗濯物を取り込む際に特に注意が必要です。もし、頻繁にハチが寄ってくるようなら、夏~秋の間だけでも他の匂いの柔軟剤に変えてみることも考えましょう。

黒っぽいものを身に着けない

ハチは攻撃態勢に入ったとき、黒色のものを敵だと認識し、襲ってくる習性があります。ガーデニングなど庭で作業するときや、キャンプや山歩きなどの行楽シーズンのアウトドアには黒色の衣服は避けたほうが無難です。また、髪の毛の黒も攻撃対象になることがあるので、帽子を被っておくとよいでしょう。

甘いものを置いておかない

ハチは甘いものも大好きです。駐車場で、車の窓を少し開けたまま車を離れていたら、車内の飲み残しのジュースにハチが寄ってきていた、なんてこともあります。また、公園で広げたお弁当の中の果物などに寄ってくることもあるのです。屋外では、ハチのエサになりそうなものを置きっぱなしにしないよう注意しましょう。

まとめ

この記事では、アシナガバチの見分け方や活動時期、危険性などについてご紹介しました。

アシナガバチの特徴を最後にもう1度まとめて振り返りましょう。

  • アシナガバチは日本にいる代表的なハチの1種であるため、わたしたちの近くに生息しており遭遇しやすい
  • 物陰などに小さな巣を作るため、気づかず巣を刺激してしまうことがある
  • 巣に近づく・大声をあげる・手をふりまわすなどの刺激を与えると攻撃してくる
  • 7~8月に攻撃性が最も高くなる
  • 毒性は強く、刺されると激痛をともなうこともある

これらの注意点をよくおさえて、アシナガバチに遭遇しても、刺されないよう細心の注意を払いましょう。

また、もし巣を発見したら、不用意に近づかずに、専門の業者に相談することも身を守るための大事なポイントです。