「ベランダにいつの間にか鳩の卵が産みつけられていた…。駆除したいけど、ヒナがかえって巣立つまで待ったほうがいいの?」
「鳩の巣からヒナが落ちていた!保護しても大丈夫!?」
鳩のヒナや卵に関してこんな疑問をお持ちの方のために、この記事では
- 鳩の子育ての特徴
- 巣立ちまでの時期
- 鳩の巣に卵やヒナがいる場合にとるべき対処法
などについて解説します。
あわせて、巣に取り残されたり、巣から落ちているヒナの保護についてもお伝えしていきます!鳩の巣や卵、ヒナにお困りの方は要チェックです!
目次
鳩の子育てについて
日本で主に生息しているのはドバトとキジバトという種類の鳩です。ここではこの2種の鳩の子育てについてご紹介します。
鳩の繁殖期
鳩は春~初夏にかけて最も盛んに繁殖すると言われています。
しかし、条件さえ揃えば季節はあまり関係なく、多いときは1年で5〜6回卵を産むこともあります。また、子育てをしながら、さらに新しい卵を生むこともあるんです!
だから鳩の繁殖期はほぼ1年中ずっと続くと思っておいたほうがよいでしょう。休む間もなくずっと子育てしているなんて、大変ですね。
鳩の営巣からヒナの巣立ちまで
ここでは、鳩が巣を作るところから、ヒナがかえって巣立つまでの期間を順を追って見ていきましょう。
営巣時期:1年中
鳩は最も繁殖の盛んな春〜初夏に営巣することが多いようですが「この時期しか営巣しない」ということではありません。
子鳩は巣立っていった6か月後には繁殖を迎えるため、次々と新しい『つがい』ができ、巣作りをします。
また、鳩の巣は数本の枝を置いただけの、簡素な作りのものも多く、営巣に時間をかけません。だから、ベランダなどに「いつの間にか巣ができていた」ということがよくあるのです。
産卵時期:1年中
営巣時期と同じく、春〜初夏以外も産卵します。ひとつの巣にたいてい2つの卵を産みつけますが、この2つの卵は同時に産むわけではなく、間隔を空けて1つずつ産んでいます。
鳩の卵もニワトリの卵のような白い楕円形をしていますが、大きさは長いほうを測ると4cm弱くらいで、ウズラの卵よりひとまわり大きいくらいです。
卵のふ化:産卵から2〜3週間後
卵が産みつけられてからふ化するまでは16〜20日前後で、抱卵はオス・メスが交代で行います。
卵があるうちは基本的には親鳩も必ず巣にいますが、子育てを放棄して巣に戻ってこない鳩もいます。つがいで子育てする親鳩のどちらかに出先で何かあり、片親が巣に戻って来なくなると、抱卵していたもう1羽の親鳥も巣を離れてしまうのです。
また、ヘビやカラスなど天敵の襲来で巣が危険だと判断した場合にも親鳥は巣に戻らなくなり、結果的に育児放棄することになります。
ヒナの巣立ち:ふ化から約1ヶ月後
ヒナがかえってからしばらくの間は、親鳩は自分の体内から分泌されるピジョンミルクをヒナに与えます。鳩の場合はこのピジョンミルクをオス・メスどちらも生成することができるので、つがいで子育てをすることができるのです。
ヒナが生まれたばかりのときは親鳩もヒナのそばにいますが、だんだんと巣での滞在時間が短くなり、そのうちエサを与えるときにしか巣に戻ってこなくなります。巣にヒナだけが残されて、親鳩をあまり見かけないのはそのためです。
ヒナはそのうち自分でもエサを集めに行くようになり、最後には巣立っていきます。その後、親鳩はまた戻ってきて同じ場所で次の産卵準備に入ります。
鳩と他の野鳥との子育ての違い
鳩の子育てにはいくつか特徴的な点があります。他の小型・中型の野鳥の子育てと比較してみると、大きく違うのは次の2点です。
- 鳩のヒナはある程度大きくなってから巣立つ
- 鳩はピジョンミルクをヒナに与える
スズメやヒヨドリ、ツバメなどのヒナはふ化から10日〜2週間前後で巣立ちます。
それに対して鳩のヒナが巣立つのはふ化してから約1ヶ月後。かなり大きくなってから巣立ちます。わたしたちが普段鳩のヒナをあまりみかけないのはそのためです。
また、鳩はピジョンミルクを自ら生成することができ、昆虫などを捕獲する必要がないので、エサが少ない時期でも子育てすることができます。そのため、1年中繁殖することが可能なのです。
鳩が増えると鳴き声や糞による被害も増えるため、鳩の繁殖は人にとってはあまり嬉しくないことですね。
特にわたしたちの生活しているテリトリーに鳩が入り込んできたときは、やはり撃退する必要があります。次の項では、鳩の巣の駆除やその後の再発防止策についてお伝えします。
鳩に巣を作られたら?対処法や注意点
ここからは、もし自宅のベランダなどに鳩に巣を作られてしまったらどう対処すればよいか、具体的な方法をご紹介します。
でも、そもそも鳩はなぜマンションなどのベランダに巣を作るのでしょうか?
鳩がベランダに巣を作る理由
鳩がマンションのベランダに巣を作るのはそこが鳩にとって安全な場所だからです。
ベランダは三方を囲まれており、鳩の天敵であるタカやカラス、ヘビ、猫などから見つかりにくいのです。
また、ベランダに室外機やプランターなどが置いてあると、その陰に巣を作れば外からより見えにくくなるので、なおさら鳩に気に入られてしまう原因になります。
鳩の巣の放置は絶対にNG
ベランダの鳩の巣を放置すると、ヒナも生まれて糞や鳴き声の被害はどんどん拡大します。また、鳩は1年に何度も産卵するため、ヒナが巣立ってもまた次の卵を産みつけます。
だから待っていても鳩が勝手に出て行ってくれることはなかなかありません。
鳩の巣はやはり人の手で撤去する必要があるのです。ここは一刻も早く対処したいところですが、鳩の巣に卵やヒナがいる場合は巣を勝手に撤去できないことをご存じでしょうか?
鳩の巣は勝手に移動できない!?法律で守られている鳩のヒナや卵
実は、鳩は「鳥獣保護管理法」という国の定めた法律によって守られています。そのため、鳩の巣の卵やヒナを傷つけたり勝手に撤去したりすると罰せられてしまうこともあるんです。
だから、もし鳩の巣をベランダで発見したら、卵が産みつけられないうちに素早く撤去するか、ヒナが巣立つのを待ってから撤去することになります。
しかし、待っている間に鳩被害はどんどん拡大するので、どうしても耐えられない場合は、役所に撤去申請するか、専門の業者に依頼して駆除してもらうことも検討しましょう。
自力でできる鳩の巣対策
ここでは、鳩の巣を自力で撤去する際の具体的な方法についてご紹介します。
鳩の巣の撤去
鳩の巣をみつけたら、以下の手順を参考に駆除してください。
準備物
- 手袋
- 帽子
- マスク
- 長袖
- 長ズボン
- 長靴
- ゴミ袋
- 雑巾や新聞紙
- 水
- 消毒液(エタノール)
必要なものについては、こちらのページでオススメの商品もいくつか紹介していますので、参考にしてくださいね。
手順
- マスクや手袋を着用する
鳩の糞や羽毛には、さまざまな病原菌が潜んでいます。触ったり吸い込んだりすると、感染症を発症する恐れがあるため、鳩の巣を除去するときはマスクや手袋などを必ず着用しましょう。
- 巣の中に卵やヒナがいないか確認する
巣の中に卵やヒナがいる場合は、ヒナが巣立つまで待つか、最寄りの役場へ許可申請をしてから撤去することになります。
また、撤去ではなく巣や卵を移動するのもNGです。巣を移動すると親鳩は警戒して巣に戻ってこなくなり、結果的に育児放棄させてしまうことになるからです。これは、野鳥の保護という観点からみると、法律違反になってしまうのです。
- 巣をゴミ袋に入れる
巣の中に何もなければ、まずは巣を片付けます。撤去した巣は新聞紙などに包んでゴミ袋に入れましょう。
- 周りにこびりついた糞や羽の掃除をする
次に、落ちている糞や羽毛を綺麗に掃除します。鳩は自分の落とした糞の臭いのする場所にまた戻ってくる性質があるからです。
このときホウキを使うと乾燥した糞が空気中に舞い、吸い込んでしまうおそれがあります。糞は水で湿らせて、雑巾や新聞紙などで拭き取ることをおすすめします。
使用した雑巾は捨ててしまいましょう。
- 水で洗い流し、消毒液をかける
最後に水で流して、エタノールで消毒し、糞の臭いを徹底的に除去しましょう。
- 再発防止策をする
再発防止策については、次の項で詳しくご紹介します。
再発防止策
鳩の巣を撤去し、掃除や消毒を徹底しても、鳩はしつこくやってくることがあります。
これは鳩が強い帰巣(きそう)本能をもっているからなんです。鳩は一度巣を作った場所は自分の縄張りだと認識するため、巣を撤去されてもまた戻ってきて同じ場所に巣を作ろうとします。
これを防ぐには、その場所を鳩の嫌がる環境にするなどの再発防止策が必要です。主な方法は2つあります。
- 忌避剤を使う
忌避剤とは鳩の嫌がるハーブなどの臭いの成分が入った薬剤です。物干しざおなどに吊しておくものや、ベランダの手すりなどに塗布するジェルタイプのものなど、さまざまな商品が市販されています。
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これを巣のあった場所に施用すると、鳩は不快に感じ、その場所に寄り付かなくなる効果が期待できます。ただし、巣を作るほどその場所に執着していた鳩は簡単にはあきらめてくれないこともあるので、確実に効果があるとは言えません。
また、忌避剤を使用するときは、事前に糞の臭いを完全に除去しておくことが重要なポイントです。
- 防鳥ネットを張る
防鳥ネットは、ベランダ全体を被うように張ると物理的に鳩の侵入を防ぐことができます。しかし、わずかな隙間でも鳩の侵入を許してしまうので、フックの間隔を狭くするなどして、隙間なくネットを取り付けましょう。
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もしこれらの対策をしても鳩が戻ってきてしまった場合や、自分で対策するのが難しいと感じる場合は、専門の駆除業者に依頼することも検討してみてください。
鳩のヒナは保護してもいいの?
「鳩の巣をみつけて撤去しようと思ったけど、巣にヒナがいるのに親鳩が帰ってこないみたい…。このままで本当に巣立ってくれるの?」
「鳩のヒナが巣から落ちていた!飛べないみたいだけど、保護したほうがいい?」
ここからは、こんな場面に遭遇したときのヒナの保護についてお伝えします。
ヒナが巣に取り残されている場合
鳩の巣をのぞくと、巣にヒナだけが取り残されているように見えることがあります。
しかし、そもそも育児も後半に入ると、親鳩はヒナにエサを与えるときくらいしか巣に戻ってこないものなのです。それを人間が育児放棄と勘違いして巣に近づくと、親鳩は警戒して巣に戻ってこなくなり、逆に育児放棄を促すことになってしまいます。
ヒナだけが巣に残っていて心配になっても、少なくとも2日間くらいは遠くから様子を見守りましょう。ヒナに元気があれば、親鳩がちゃんとエサやりに戻ってきている証拠です。
ヒナが巣から落ちている場合
落ちているヒナは基本的には拾ってはいけません。巣立ったばかりのヒナはまだうまく飛べないことがあり、落ちているように見えてもその大半は元気なヒナであることが多いのです。
人間が下手に手を貸し、人工保育したものを自然に返すのは難しいもの。しかも、野鳥を許可なく捕獲したり飼ったりすることは鳥獣保護管理法で禁じられています。
野鳥の保護とは、人がむやみに野鳥に近づかず、その姿を静かに見守ることなのです。
ヒナがケガをしている場合の連絡先
明らかに弱っていたり、ケガをしたりしているヒナを見つけたときは、行政の野生鳥獣の担当窓口まで相談し、指示を受けてください。勝手に保護すると、違法捕獲になってしまうことがあります。
もしも、休日で役場に連絡できずに困ったときは、鳩を扱う専門の業者に相談してみることもひとつの方法です。
まとめ
この記事では鳩の子育てや巣立ち、巣をみつけたときの対処法、弱ったヒナの保護などについてお伝えしてきました。
記事のポイントとしておさえてほしいのは以下の4点です。
- 鳩は、環境が整えば、年中子育てをしている
- 鳩のヒナの巣立ちはゆっくりで、親鳩は子育て中にも産卵することがある
- 鳩の巣は、巣の中に卵やヒナがいないときに素早く撤去する
- 衰弱したヒナをみつけたら、最寄りの行政や専門の業者に連絡をとり、指示を受ける
鳩の子育てや巣立ちについての知識があれば、巣やヒナを見つけたときに適切に対処できますね!