みなさまこんにちは!
無類の鳥好き、スミカル編集部の白井です。
突然ですが皆さん、日本に生息するハトは一種類だけではない事をご存知ですか?
公園で、路上で…都会でもしょっちゅう見かける事のできるあのグレーのハト。
よく見る彼らを含めて、なんと日本には6種類ものハトが生息しているんです!
ある日街中でそんなハト達に混ざって、普段見かけないハトがいるのを発見したら…
その正体、すっごく気になりませんか?
今回は私たちの生活圏で見かけることができるハトから、森の中で暮らす珍しいハト、
さらに海外の美しいハトについて、
始まりから終わりまで「ハト」一色の内容でお送りいたします!
「ハトについてそんなに話すことある?」
そんな声が聞こえる気がしますが…
あなたの予想に反して、話すことはたくさんあるんです!
つまらなそうに思えて実はとっても奥が深くて面白いハトの世界の一部を、この記事で楽しんでもらえたら嬉しいです。
それでは行ってみましょう!
目次
実は奥が深い?鳩の世界
皆さんはハトについてどれぐらい知っていますか?
日常でもよく見かけるごくありふれた鳥なので、どれぐらいと言われても…という方も多いかもしれませんね。
では、世界にハトが何種類いるかご存知ですか?
50?80?100…?
まだまだ足りません!
何と世界には、全部で321種類もの鳩が生息しているんです。
こんなに種類があるなんて、すごくないですか?
「ハト」と一口に言っても、その分類はとても細かく分かれています。
例えば私たちがよく見かけるのは「ハト目ハト科カワラバト属」の中の、ドバトと呼ばれているハトです。
ハト目ハト科の下に細かく分類された属が42属、その下にさらに種類が321種いる…
という分かれ方です。
今回は今回は膨大なハトの種類の中から、身近なハト、面白いハト、美しいハトなど
悩みに悩んで10種類を厳選いたしました!
この記事で紹介している色々なハトを知ったら、きっと彼らについてもっと知りたくなるはずです。
身近で暮らすハト3種類
ドバト(カワラバト)【レア度 ★☆☆☆☆】
【情報】ハト目ハト科カワラバト属
【分布】北極・南極以外の世界中に分布
【全長】30-35cm
【主な特徴】
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「ハト」と言われて多くの人がまずイメージするのはこの鳥ではないでしょうか?
人間の近くで生活しているドバトは、街でもしばしば見かける事ができます。
街中に溢れているドバトですが、厳密には「野生のハト」ではありません。
ドバトは「カワラバト」というハトを家畜として品種改良したハトであり、現在街で見かけるハトは
- 飼われているレース用のハトで、放し飼いされているドバト
- 飼われていたが、なんとなく飼い主の元から家出したドバト
- 家出したドバトから生まれたドバト
だからです。
(あんなに街に溢れてるならもう「野生のハト」でいいんじゃない?と思うかもしれませんが、この辺りはなかなか厳密なんですよね…)
紀元前3000年に遡る、ドバトと人類の深〜い関係
ドバトと人間は切ってもきれない長く深〜い関係があります。
その歴史を遡ると、もっとも古い記録はなんと紀元前3000年前!
ドバトの強い帰巣本能を利用し、紀元前3000年前のエジプトで通信手段として伝書鳩の仕事をお願いしていたようです。
そんなドバトが日本にやってきたのは今から1500年前、聖徳太子が活躍した飛鳥時代の頃とされています。
日本での歴史も十分長いですが、本当の起源をたどると紀元前にまで遡ってしまうとは驚きです!
「トリ頭」とは呼ばせない!ドバトの意外な能力
皆さんはドバトに対して、賢さの面ではどんなイメージがありますか?
「首を振って歩いてるし、なんだかバカっぽい…」
「トリはトリ頭だから、三歩あるいたら何でも忘れちゃうんでしょ?」
…そんな事を言おうものなら、ハトはきっとカンカンに怒ります!
鳩は元々、紀元前3000年前から伝書鳩として利用されるほど強い帰巣本能を持っています。
これだけでも十分賢いと言えそうですが、まだまだ驚きの能力があるんです!
ドバトだけでなく鳥類全般に言える事ですが、彼らはもともと非常に優れた視覚を持っています。
その鋭さは、人間には見えない色まで感知できるほどです。
その特性を生かしちょっと訓練さえすれば、ドバトはピカソとモネの描いた絵を見分けたり、初めて見る絵の上手い下手を判断したりできるそうです。
「ピカソとモネの絵を見分けるハトの研究」で、1995年に人々を笑顔にした業績に送られるイグノーベル賞を受賞した渡辺茂氏によると
ハトは人間が絵画を鑑賞するのと同様の感性で
「この絵のタッチはピカソっぽいな」「この色遣いはモネっぽいな」と言ったように
画風のイメージで絵画を捉え、誰が描いたか区別できるそうです。
さらに、複数人の子供が描いた上手い絵と下手な絵を比較させる実験で、ハトは絵に対して人間が感じる上手い下手という評価も理解できることが分かりました。
https://www.ipros.jp/technote/interview-ig-nobel-prize5/
(参考『ハトがピカソとモネの絵を見分ける!?動物から学ぶ人間の心理:渡辺 茂氏【イグノーベル賞インタビュー】』)
伝書鳩の仕事をこなせるのはもちろんの事、芸術に敏感な一面も持つドバト。
こんな一面を知ってしまったら、もう彼らのことを「バカっぽい」なんて言えません!
キジバト【レア度 ★☆☆☆☆】
【分類】ハト目ハト科キジバト属
【分布】ユーラシア大陸東部・日本
【全長】30-35cm
【主な特徴】
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首元の縞模様とオレンジ色の羽がアクセントのボディをもつおしゃれな鳩です。
主に自然が比較的豊かな郊外で見かけられるキジバト。最近では街中でも見かける機会が増えてきているようです。
郊外だと、スズメたちと一緒に住宅の庭先に出没することもあるらしいので、
見慣れている方も多いかもしれません。
よく早朝に「ボーボホーホホー(繰り返し)」と独特の鳴き声で鳴いている鳥はいませんか?その正体がこのキジバトです!
(筆者が田舎出身なのがバレてしまいますね…)
(https://www.youtube.com/watch?v=qYAOo43QQYo)
鳴き声のわかる動画がこちらです。聞いたことのある方も多いはず。
ちなみに筆者は、この鳴き声の主はフクロウかと思っていました。
まさか鳩だとは…驚きです!
シラコバト【レア度 ★★★☆☆】
【分類】ハト目ハト科キジバト属
【分布】ユーラシア大陸・北アフリカ 日本では関東地方北東部
【全長】30-35cm
【主な特徴】
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真ん丸の瞳に落ち着いたベージュが可愛らしいこちらの鳩。国の天然記念物に指定されています。(1956年に制定)
https://www.city.koshigaya.saitama.jp/citypromotion/rekisibunka/bunkazai/sirakobato.html
(参考:埼玉県越谷市公式サイトより)
埼玉県の鳥、また埼玉県越ヶ谷市の鳥として制定されており、埼玉県では「ポッポくん」「コバトン」などのマスコットキャラクターのモデルとして起用されるなど
埼玉県民に愛されているハトです。
日本に生息する個体は江戸時代に移入されたものが野生化したと言われていますが、
もともと日本に生息していたという説もあります。
一時期個体数が激減してしまいましたが最近では個体数が回復し、街で見かける機会も多くなってきているようです。
日常生活でこんな可愛いお顔のハトに出会えたら、ワクワクしてしまいますね!
こんな鳩もいる!日本に生息する野生の珍しい鳩
アオバト【レア度 ★★★☆☆】
【分類】ハト目ハト科アオバト属
【分布】中国・台湾・日本では本州・四国・九州
【全長】30-35cm
【主な特徴】
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オリーブ色の体が印象的な野生のハト。
ハト科の中では珍しく、性別によって羽の色が異なります。
街中ではほとんど見かけることはありませんが、日本の広葉樹林帯に多く生息しています。
「アオ」バトという名前の由来は体の色かと思いきや、特徴的な鳴き声のようです!
https://www.youtube.com/watch?v=9TgH6Y7vtyA
「アーアーオー」と、オカリナの音のような美しい声が魅力です。
山に入ったことのある方は聞いたことがあるかもしれませんね。
そしてアオバト最大の変わった生態といえば、「海水を飲む」という点!
通常生き物は、海水はほとんど飲みません。
塩分濃度が高すぎて飲めば飲むほど、体から水分が奪われ喉が渇いてしまうからです。
しかしアオバトは夏から秋にかけてわざわざ海岸に現れ、ミネラル補給のために海水を摂取します。
アオバトは主に果実を食べて生活していますがそれだけだとナトリウムが不足してしまう為、海水を飲み補おうとするようです。
海水摂取のために荒波にも果敢に挑むアオバトの様子です。
波に呑まれ溺れてしまうのはもちろん、天敵であるハヤブサなどの猛禽類に狩られてしまうことも少なくないため、これは文字通り「命懸け」のミネラル補給。
なぜこのような過酷な道を選ぶのでしょうね…
カラスバト【レア度 ★★★★☆】
【分類】ハト目ハト科 カワラバト亜科 カワラバト属
【分布】中国山東省・大韓民国 日本では本州中部以南・四国・伊豆諸島・沖縄諸島など
【全長】40cm
【主な特徴】
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日本に生息する野生の鳩の中では最も体が大きいハト。
体に対して尾羽が長く、頭部は小さいのでスタイル抜群です。
こちらのカラスバトも国の天然記念物に指定されています。
https://www.pref.kagoshima.jp/bc05/hakubutsukan/tennen/kuni_tennen/23karasubato.html
(参考:鹿児島県公式サイトより)
日本の中部以南、比較的暖かい地域に生息するハトで、普段はあまり人に手入れされていない山間部で生活しています。
郊外では、空を飛ぶ姿が見かけられることもあるようです!
全身がカラスのような黒く光沢のある羽で覆われていることから「カラスバト」の名前がつきました。
ただ真っ黒なだけでなく、光の当たり方によって羽が鮮やかな緑色に輝きます。
お写真をご用意できなかったのが残念ですが…その様子は宝石みたいでとても綺麗です。
キンバト【レア度 ★★★★★】
【分類】ハト目ハト科
【分布】日本では八重山諸島、宮古諸島(沖縄県)にのみ生息
海外ではインド・インドネシア・オーストラリア・カンボジアなど温暖な地域に生息
【全長】25cm
【主な特徴】
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絶滅が危惧されている国の天然記念物。
黒目がちな大きな瞳と背中から翼にかけて鮮やかな緑の羽が特徴的なハトです。
https://miyakojimabunkazai.jp/bunkazaiinfo521/
(参考:宮古島市教育委員会公認アプリ「綾道」より)
全長約25cmと、30cm前後の個体が多いハト科の中ではやや小柄な方。
キンバトは日本の中では八重山諸島・宮古諸島というごく限られた地域でのみしか観察できない上、森の中に生息し薄暗い環境を好むので人目につくところに出てくることはほとんどありません。
見たことがある人は相当ラッキーと言えるでしょう!
見た目のインパクト大!ペットとして人気の鑑賞ハト
さて、ここまで日本で見ることのできる野生のハトを紹介して参りましたが
お次はとにかく見た目のインパクトがすごい、ペット・鑑賞用のハトを2種類ご紹介いたします。
どちらも「こんなのアリ!?」と驚くような、予想外のビジュアルを持つハトです。
それでは参りましょう!
ジャコビン
【分類】ハト目ハト科
【分布】ペットとして世界各国で飼われている
【全長】30-35cm
なんと行っても首周りのふさふさの飾り羽が特徴のジャコビン鳩は、ドバトの祖先であるカワラバトの品種改良を重ねて生まれた観賞バトです。
その貴婦人のようなゴージャスで美しい見た目から、19世紀のイギリスを治めたビクトリア女王にも寵愛されていたという記録が残っています。
現代でもジャコビン鳩の美しさを競うコンテストが開催されており、時代を問わず多くの人に愛されている鳩です。
ちなみに彼らは首回りの羽がボリューミーすぎて、左右はほとんど見えていないそうです。
(おしゃれには我慢が必要、ということでしょうか…)
ポーター
【分類】ハト目ハト科
【分布】ペットとして世界各国で飼われている
【全長】品種により様々(30-35cm前後)
ハト胸すぎる胸に鳥類らしからぬ長い美脚…
ツッコミどころ満載のビジュアルを持つこのハトも、カワラバトの品種改良により生まれた鑑賞バトです。
(筆者は初めて見たとき、心の中で「足が!胸が!」と何度ツッコミを入れたか分かりません。)
鳩が求愛や威嚇の際に胸を膨らませる習性を利用して改良され、このように個性的な外見を手にしました。
彼らは肺とは別に空気で膨らませられる器官を胸元に持っており、ここに息を吸い込むことで魅力的なハト胸を作っているそうです。
ポーターは観賞用のハトとしてはとても歴史が古く、14世紀のドイツで初めて誕生しました。
現代でも主にヨーロッパでペットとして好まれており、愛好家も少なくありません。
同じ鳩とは思えない…海外の美しいハトたち
ここから先は、日本から飛び出し海外に生息する野生のハトについてお話していきます!
300種類もいるハトの中から、日本の自然界では見られないような派手な外見のハトを2羽ピックアップしてみました。
「えっ!これがハト!?」とびっくりすること間違いなしです。
ミノバト
【分類】ハト目ハト科
【分布】東南アジア・インドネシア・ニコバル諸島(インド領)
【全長】40cm
【主な特徴】
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首から背中にかけて体を覆う長い羽が、まるでミノをかぶったようであることからこの名がつきました。
生息しているニコバル諸島からとり、別名「ニコバルバト」とも言います。
体が大きく、通常の鳩が全長30cm前後なのに対しミノバトは全長約40cmもの大きな体を持っています。
虹色に輝くしっとりとした羽が幻想的で、ファンタジーに出てきてもおかしくないようなハトです。
非常に貴重なハトですが、日本では福岡市動物園、上野動物園、熊本市動物園の三ヶ所で見ることができます。
気になる方はぜひ会いに行ってみてください!
カンムリバト
【分類】ハト目ハト科 カンムリバト亜科 カンムリバト属
【分布】インドネシア、パプアニューギニア
【全長】66-75cm
【主な特徴】
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その名の通り頭のカンムリ羽が立派なカンムリバト。
全長は66〜75cmと、ハト科の中で最も大きな体の持ち主です
標高の低い森林や湿地帯で生活していて、日中は主に地面の上で過ごします。
夜間のみ樹の上に作った巣で休息をとりますが、この大きな体で樹の上に留まるのはなかなか大変そうですね…
羽毛の美しさから装飾品・ペット用として乱獲され、生息数が激減してしまったため、インドネシアでは保護の対象とされています。
まとめ
今回は初めから終わりまで、鳩という生物についてひたすらお話させていただきました。
この記事を通して鳩の世界の面白さが少しでも伝わったのなら嬉しいです。
人間の周りで生活している鳥はハト以外にもたくさんいます。
今回の内容がきっかけに少しでも野鳥に興味が湧いてきた方は、見かけた鳥を観察したり調べることで、より毎日が楽しくなると思います!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!